読書録

長らく石油開発公団の天然ガス部門で活躍された、山村政彦氏（現在サハリン石油開発取締役）がその生い立ちと公団での活躍の裏話を記録されたもので、この業界で同じ空気を吸ってきたものにとってまことに興味深いお話しが次ぎから次ぎと出てきて時間の経つのも忘れる。その几帳面な記録は歴史の資料としての価値も高い。

著者は技術者であるから日本が関係した天然ガスプロジェクト、LNGプロジェクトについて技術面も含めほぼ全てを記述している。登場人物も全て実名である。むろんグリーンウッド氏もささやかな登場人物の１人である。 名前が正しく書かれていないところもあるがご愛嬌。この方面の歴史に興味のある方には大いに参考になる。

いまどきこんなことを公表したら問題になるだろう。そのくらい開けっぴろげで誰と誰がどこで飲んだとかゴルフした書いてある。いい悪いはべつにして昔はおおらかだったのだと思う。

その赤裸々度はキャリアのAに疵がつくことを避けるために著者が自ら配転を買ってでるところだろう。配転先で「長州奇兵隊が使い始めた、部下を君つけでよぶのはやめよう」と挨拶して嫌われる逸話など官庁の内部事情をさらけ出して興味深い。

Rev. February 2, 2009