読書録

シリアル番号 1363

書名

プログラミング教育はいらない・・・GAFAで求められる力とは

著者

岡嶋裕史

出版社

光文社

ジャンル

コンピュータ

発行日

2019/2/25第1刷

購入日

2019/2/23

評価



藤沢で発売日より2日早く購入。

文部省が英語教育とともにプログラミング教育小学校教育に取り入れると新聞でよんで??と思ったものだが、この本は多分売れると思う。なぜならストレ スフリーで心地よ く響くからだ。この著者は文系出身で文系としては組織末端のプログラマーの仕事は給与も低く、自由裁量もないので職業としては賢明に避けた方が良いとア ドバ イスしている。私も若い頃Fortranで自分の知見をプログラムに書いた経験があるので批判はできない。彼が言っていることは彼の日本社会での 経験の範囲 内では妥当だとは思うが、このような価値観の人が日本のソフト開発者を育てかつ本まで書いているので日本のソフト能力は落ちるわけだと痛切に思った。 要するに日本のコンピューターソフト開発能力は2流ということの裏事情がここに書いてあるのだ。これでいいのかという視点はこの著者にはない。彼の経験の 外の話なのだろう。

その経験の外の話しというのが少なくとも世界のスマホユーザー2億人の85%がお世話になっているグーグルOSの開発責任者になっているヒロシ・ロック ハイマー氏のことだ。彼は日本人の母とドイツ 人の父を持ち、麻布六本木で育った。建築家になろうとテキサスのライス大に留学するが、そこでUNIXマシンを発見してプログラミングに目覚める。日本に 帰って、家にあったMacを使い独学でプログラミングを習得し、BeOSに出会う。このOS向けのテキストエンジンを開発してオープンソースにしたら BeOSの開発者の目にとまった。BeOS はマルチスレッド・マルチタスク化されており、並列・並行処理のパフォーマンスが優れていた。このオープン版はHaikuと呼ばれている。ヒロシは BeOSの開発者のジャン=ルイ・ガセーCEOの目にとまり、直接採用を言い渡されてテクノロジー業界入りした。ジャン=ルイ・ガセーはヒロシ・ロックハ イマーの抜群の頭脳を評価。次にヒロシは2003年にAndroidを立ち上げ、買収されてGoogle入りし、Android全般を統括したことで、 Androidの父と呼ばれるようになったアンディ・ルービン氏に見いだされ、2006年にグーグル入社。こうして2008年にアンドロイドOSが世に出 たのだ。

この本には最近の厚生省の労働統計のお粗末な話しはいまだ厚生省が統計処理にCOBOLを使っているからだという厚生省役人の説明が紹介されていたが、 20年以上前に会社 の給与計算がIBMのメーンフレーム上で動くCOMOLで計算していて、いつもベースアップ時期になるとプログラマーが1名しかいないので心配したも のだ。こんなものは一般的な給与計算アプリで計算できるのだが、汎用アプリ類を使うことは日本の企業はハンコついて自分の権力を誇示したいがゆえか出来合 いのアプリ類を使わず大同小異の独自システムを巨額の金を支払って開発して低効率な作業をして墓穴を掘っているという指摘がされている。この風習をつくっ たのはIBMとか富士通の商魂たくましい連中だがこれは同感。ベク テルなどと一緒に仕事してそう思う。

AIプログラムはPythonで書いているとあった。私もPythonのCD買ってきてPCにインストールしたことを思いだし、探したが見つからない。

ここでエクセルのマクロはプログラムといっているがエクセルそのものがプログラミングツールだろうに。

話題としてマインクラフトという有料のゲームが紹介されているがレゴのようなものだ。

次にScratch (スクラッチ)と いう、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが開発したプログラミング学習用ソフト初歩的プログラミング・ツールが紹介されてい る。これは無料だ。ただしこれを卒業したあとの受け皿がないと指摘しているがこれはなにもしないよりはいい。すくなくとも不要なPCを子供に与えてこれで 遊ばせることはありかも。



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