読書録

シリアル番号 1354

書名

ニュートンとマルクス 文理融合をめざして

著者

土井日出夫

出版社

幻冬舎

ジャンル

経済学

発行日

2018/4/20第1刷

購入日

2018/10/19

評価



加畑氏蔵書

著者は横浜国大で経済学を学び、現在母校の教鞭をとっている。

小学校5年までは機械好きの少年だったが、鉄棒から落ちて鼻中隔が折れ曲がる怪我をしてからカメラすら取り扱えない機械音痴になった。ところが同時に長い 文章も頭に入らないが、数学は好きという脳みそになった。ニュートン力学などはよく理解できた。語学はしかい苦手のまま。長い文章が頭に入らない。 高校2年の時、機械嫌いでは理系は無理だろうと考え、少し数学を使う文系の経済学に進学することにした。

そこでマルクスの資本論と取り組むことになった。ところがマルクスの科学観と自然科学の整合性が無いことに悩む。マルクスは下向法(top down)と上向法(bottom up)の両方が経済学にとって大切といいながら自然科学はマルクスのいう下向法(top down)だけでよいとしている。これでは経済学は自然科学とは言えなくなると悩んだ。ニュートンは白色光の分解と合成実験をしているので、上向き、下向き両 方をしていることになる。だからマルクスが自然科学を完全には理解していなかったこととして納得。

日本の封建時代は鎌倉時代からではなく、太閤検地から始まる。それ以前は家父長的奴隷制度。・・・安良城盛昭

明治維新は予防的独立革命。

明治期の4-5割という高率小作料は宇野弘蔵がとなえた日本資本主義が自由主義段階に十分な時間を費やさないで帝国主義段階に突入したため、雇用吸収力の少ない大資本を上から導入せざるを得ず、農民の多くが小作として農村に滞留せざるを得ず過当競争で高率になった。

機械の「仕組」についての説明がない経済史は不十分。

資本蓄積の二次微分をみれば資本蓄積にともなって短期的には過剰人口が減少するものの、中・長期的には過剰人口の増大は避けられない。→貧困化が宿命となる。⇒(ベーシックインカムなどの対策が必要となる)

資本はAIを生みだしたから、ますます過剰人口の増大となる・・・くわばらくわばら。かといって借金して大学でても職はない。


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