読書録

シリアル番号 1335

書名

B.C. 1177 古代グローバル文明の崩壊

著者

エリック・H・クライン

出版社

薩摩書房

ジャンル

歴史

発行日

2018/1/25第1刷

購入日

2018/03/24

評価



原題:B.C. 1177 The Year Cicilization Collapsed by Eric H. Cline

朝日新聞で書評を読んで気になっていた本である。たまたま立ち寄った藤沢の書店で衝動買い。

地中海周辺の後期青銅時代は、碑文とか粘土版の記録が多量に残っていて、かつ遺跡発掘も盛んで全ての記録を突き合わせるとラムセス3世の時代のB.C. 1177前後にラムセス2世と戦って講和したヒッタイトを含めミュケナイ、カナン、キュプロスの都市の破壊が発生して青銅器文明は滅んだ。しかし鉄器文明 をもっていたヒッタイトが「海の民」により滅ぼされたため秘密にしていた鉄器製造法の拡散はゆっくりしていた。こうして鉄器時代がはじまるまでに遺物が存在し ない暗黒時代が見られる。この文明の崩壊とでもいえることは何で生じた のかと考察している。結論は青銅器時代は銅と錫が王国の国境を越えてトレードされるグローバル交易で成立していた。そこに何らかの原因で一つでも欠けたと ころがでると全体が崩壊する現象が生じたように見えるというのが結論。これは現在のグローバル経済の内包する脆弱性を暗示しているのではないかと嫌な予感 がした。

因みに旧約聖書 士師記 13-16章に書かれたペリシテ人はこの「海の民」の一派ではないかと考えられている。現代のパレスチナ人はペリシテ人が住んだ土地に移った人たちであることは確か。

November 21, 2018


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