読書録

シリアル番号 1323

書名

ゴルゴダの火

著者

白木正四郎

出版社

花乱社

ジャンル

伝記

発行日

2017/2/10第1刷

購入日

2018/2/4

評価



安井氏のご紹介で鎌倉ユネスコ協会主催の「地球冷却化問題」と題する講演会(NPOセンターで開催)に出席。この本は著者がIPCCの欺瞞について書いたミテラン・コードに次いで書いた3作目の小説

出版社の売り口上:2016年秋,日本でサミットを狙った国際テロが発生した。標的は原発。日本はあの時,なぜ地熱に舵を切らなかったのか──。 日本のエネルギーの救世主である地熱発電を殺したのは誰か。世界を震撼させた福島原発事故を経て,なぜ,なおも原発を選ぶのか。阿蘇カルデラの地熱開発に 挑む男たちの物語『龍の塔』(1988年刊)から30年。相次ぐ国際テロ,大規模自然災害,大きく変化する世界情勢を踏まえ,大幅加筆し再編実際に地熱開 発に携わった著者による,現在起こりつつある「エネルギー問題」に挑んだ渾身の近未来小説。

かなり自伝的な要素がある。特に出光の滝上地熱発電所の掘削はそれであろう。加えてセミサブ・リグによる海底油田掘削の臨場感あふれる描写は迫力がある。無論男女間の御話しもそつなく織り込んで飽きさせない。

小説のテーマ「ゴルゴダの火」はローマのピサロがキリストを助けたいとおもい、ユダヤの民(日本)にキリスト(地熱)をとるか、悪人のバルバ(原発)をと るかと問うた故事に由来する。日本人は当時のユダヤの民のように愚かなのにはなぜかと自問し、その原因を宗主国米国の工作だという説を某官僚に語らせる。石油 危機後、日本は再生可能エネルギーへの技術開発を加速したが、米国留学の通産官僚の内田元亨が ベクテルを巻き込んで順調に掘削していたが、突然資金を絶たれ掘削をやめてしまった。ついで通産内で人事抗争を引き起こし地熱はタブーとなった。こうして 日本は原発建設にのめ り込んでゆく。これ全てウランを日本に売りたい米国の産軍複合体などが日本の役人とメディアをつかって扇動したからという。欧州は火力発電も阻止しようと 人為的温暖化説をでっち上げ、あまつさえ排出権売買で儲けようと画策し、国連も動かし、ゴア元副大統領はノーベル賞という権威を身にまとって、ウランセー ルスに邁進。日本のマスコミを巻き込んで国民を洗脳した。そして2016年、北九州で再稼働した原発がドローン6機をつかったテロにやられる。結局、日本 は米国の核の傘をでてEUを離脱した英国と軍事同盟を締結し、ミサイル搭載原子力潜水艦4隻を建造し、もし日本の原発施設を攻撃されたり核攻撃された ら、敵原発をターゲットにするミサイルによる報復攻撃をする体制をとるにいたったという御話しである。

小説の後に著者は原発は通常兵器で攻撃されても核攻撃と同等の被害が出る。したがって日本は仮に核兵器を持っても核報復は出来ない。米国は民主主義のくに だから安保条約にしたがって、リスクを冒して核報復するという保証もない。国民はここを冷静に考えてどうするか日本の将来を決めなければならない。

巻末に以上の論考を裏付ける参考文献リストがある。最後にスコットランド出身の詩人チャールズ・マッケイの「狂気とバブル」にある名言

人は集団で考え、集団で狂気に走る。だが、分別を取り戻すのは一人ずつである

そこで、個人として思考してみた。

憲法改訂して米国に協力して集団的安全保障の名下に世界の警察官になりたいと日本の指導層は考えているようだ。しかし警察官になるには暴力組織を 持たねばならない。そしてその暴力組織は強い兵器、すなわち核兵器でなければ意味がない。ということは警察官は米国と、ソ連、中国しか担えないことにな る。なぜなら暴力行使は双方向だから広大な国土を持たないとすぐ降参せずを得なくなるからだ。他にも若干の国が核保有しているが国力が中途半端。

とはいえ、その他の国も自衛のための暴力組織がないと他国の暴力を呼び込むことになる。そして相手も怪我をする程度の報復能力も必要だ。日本は核兵器を持つ米国の抑止力に頼るという のが現在の建前だが、民主主義国の米国が核で報復してくれると期待するのはあまりに甘いといわれてもやむを得ないだろう。

翻って我が国をみれば狭い国土に50基以上の原発を持つ日本は通常兵器で攻撃されるだけで核攻撃と同等の被害が出る脆弱な国になってしまっている。なぜそうなった かといえば米国が守ってやるから、米国発の原発を買ったらとそそのかされて、疑うことなく従ったつけが回ったということだ。原発に一撃を喰らうだけで米軍すら逃げだ し、反撃も出来なくなる。ではどうしたらよいか?

日本が陥った罠はじつはすべての核兵器保有国も陥った罠とおなじなのだ。この事態を利用すれば自前の核兵器を持たずとも、報復能力が持てる。すな わち 侵略国の原発やダムは巨大なエネルギーをたくわえている。どの国にもある巨大ダムを通常弾頭を持つクルーズミサイルをリチウム電池駆動潜水艦から発射する 能力をもつだけで核抑止力と同等の抑制力は持てるのだ。クルーズミサイルは太陽電池の電力から合成したアンモニア燃料を使う。戦争継続のための燃料輸入も 必要ない。分散故、どこかの太陽電池を攻撃されても、能力低下は微々たるものだ。この反撃力はまず自国のダムや原発のような大きなエネルギーを閉じ込めて いる構造物をまず廃棄して、風車とか太陽電池で自活できるようにしておくという準備が 必要となる。国土の1.8%に太陽電池をしきつめるだけで日本の電力は100%まかなわれる。自動車は100%EV車にすれば石油も不要となる。そして日 本の荒野は国土の60%もあるのだ。

化石燃料を使う以上、その貿易線を確保しなければならないため、その護衛費もエネルギーコストを押し上げる。たとえ人為的温暖化説がまちがっているとして も、トランプの真似をしてパリ協定をいきなり脱退するのは国際社会のお付き合い上、日本にはできないだろう。化石燃料購入費にパリ協定の排出権購入費、そして護衛費を加 えると、火力発電は再生可能エネルギーにコスト的に負ける。加えて排出権を再生可能エネルギー発電業者から買うと再生可能エネルギーの競争力は更に増す し、化石燃料を海外から購入する外貨が不要になるので国家の収支も良くなる。こうして太陽電池による分散発電はますます普及し、将来の中心的なエネルギー 源となり、原発もダムも廃棄しても困らない。こうして日本は米国という軛から自由に なれるのだ。すなわち分散エネルギーは権力と力の分散と平和をもたらすのだ。



「地球冷却化問題」と題する講演会の内容

白木正四郎氏は資源探索が専門であるが、日本での地熱開発が進まないので湯布院の地熱発電を最後に出光をやめ、実家のある九州でTVの司会者になって20 年間メシを食べてきた、このたび民主党から議員会館で石炭エネルギーの公演をたのまれたので、上京ついでに兄の白木大五郎にたのんで鎌倉ユネスコ協会でも 同じ話をさせてもらうことにしたという。大五郎氏は私はアホウ学部出身だが、弟はリコウ学部出身なので確かな話を聴けると期待出来ますと紹介。

正四郎氏はかなり長い期間、TVの世界で生きてきたからTVなどマスコミの裏事情を知っている。そこからいえることは、彼らがいうことにウソはないが都合 の悪いことは報道しないという権利をしばしば行使することだ。政治家を批判しないと読者がいなくなるのでかなり突っ込むが、官僚が記者クラブで発表するこ とを批判したり報道しないと記者クラブ出入り禁止になるのでそのまま垂れ流しであることに注意。温暖化大本営発表による洗脳はこの垂れ流しの典型である。 物事を考え、行動する必要がある。そのメリットとして佐藤一斎の「言志晩録」第60条をあげる。(言語録1328

少くして学べば、則ち壮にして為すことあり
壮にして学べば、則ち老いて衰えず
老いて学べば、則ち死して朽ちず

北極海の氷が解けていますと報道しているときは氷は確かに減っている。しかし増えた時は具合が悪いので沈黙。したがって聞く人は溶けてしまったと思い込む がじつは増えたりへったりして、長い目でみれば変わりはない。そもそもグリーンランドは発見された時、緑だったことがあるからそういう名がついた。緑が消 えたのは江戸時代の小氷期のことなのだ。北極熊が融けた氷の上で困っている写真は合成されたものだ。統計をみればホッキョクグマは増えている。

NHKは明白なウソは言わないが、都合のわるいことを沈黙する権利を持っている。都合のわるいことを報道すると官僚をこまらせることになり、意地悪され る。民放は広告収入が減る。世の中の構造はこうなっている。無論、今日は私は石炭派の代弁者なので皆様だまされないように裏を取りましょう。広く情報をあ つめで自分で考えるのが正しい方法。

二酸化炭素が地表からの赤外線を吸収することは事実だが、水蒸気はそれよりも温暖化効果が大きい、ただこれは雨になったり、雲になったりして挙動が複雑の ためコンピュータモデルはつくれない。だからプラスマイナスゼロと仮定してモデル化している。科学者はウソを言わないと思っている人はナイーブだ。サイエ ンスは仮定を前提にしていて、仮定がおかしければすべてご破算になるものだ。このいい加減なモデルに都市化で上がり気味の気温データを入力してパラメーターをきめているか ら、予測温度は実態からすぐずれてくる。これは過去10年予測から外れた原因だ。そもそもモデルには平安時代の温暖化、江戸時代の寒冷期の気温は入力され ていない。無論10万年サイクルのデータなど完全に考慮外だ。これだけインチキなものをNHKやマスコミが神御宣託の奉るのはおかしい。

このインチキな人為的温暖化説とパリ協定にしたがってがロスチャイドがビジネスとして提案した排出権売買制度に従ってまじめに排出権を買っ ているのは日本くらいだ。お人よしも程がある。このお人よしであることを一般大衆に自覚させないようにNHKやマスメディアが温暖化利権をもつ環境省の大 本営発表をそのまま垂れ流している。日本の産業が高コストになって中国に流出するのは当然。こういう構造は民主党の政権時に出来上がった。こうして環境省は 石炭火力プロジェクトをいくつもつぶした。過去10年間で日本は30兆円を排出権売買に使っている。これは毎年5兆円の防衛費に匹敵する額だ。(環境省の HPを見ると大きな差はない)

ところで排出権売買が3兆円と聞いて驚いて燃料輸入代金を計算してみた。日本の年間発電量は9,000億kWhとすれば、年間0.9兆kWhだ。発電用化石燃料は


% 燃料費yen/kWh
LNG 44 1.7
Coal
31 2.5
Oil
9 5

とすれば燃料費は平均1.973yen/kWh。年間発電量0.9兆kWhの燃料費は1.8兆円となる。

排出量取引に3兆円支払うなら、化石燃料は全て再生可能エネルギーに転換したほうがよろしい。またはアメリカにならってパリ協定を脱会することであろう。

NHKなどは自分のウラン資源の価値を高めようと温暖化説を担いだゴア元副大統領をまねいて、直後に数十年ぶりの寒波に見舞 われてもケロッとしているくらい売国奴である。

オーストラリア産褐炭は露天掘りできて安価なのだが、輸送途中に発火するため、輸送できない。九州電力はこれを新日鉄住金エンジニアリングの高温乾燥、揮 発分除去法で安定化させる技術を開発した。これを燃料にしてガス化コンバインドサイクルで発電すれば安価な電力が得られる。米国のように非科学的なパリ協 定を離脱すれば日本の製造業の競争力は戻る。北海道や九州にだって露天掘りできる褐炭はいくらでもある。

日本は人口が減っているが、移民数はドイツ、米国、イギリスについで4番目だ。これで日本の製造業は再興できる。言わんとするところは石炭火力と再生可能 エネルギーで立国をというもの。5日に議員会館で民主党の代議士連中を洗脳するミッションである。二酸化炭素ニュートラル説にたつので原子力は不用という とになる。むしろ原子力は熱効率が低いので、その廃熱で日本海が温められないため、ジェット気流が激しく蛇行するためかもしれない。

原子力は不用であるというのは2018年に終了する日米原子力協定の結果、現在日本は47トンのプルトニウムを溜め込んでいる。トランプ政権下では自動延 長をなるもようだが、その後、2018年の期限切れ後はどちらかの一方的通告で破棄できる状態になる。斬られたらプルトニウムは米国に没収される。いずれ にせよ、ウラン235は22.8kg、プルトニウムは5.6kgあれば、ドローンで半分づつ運んで爆発させることができる。最も安価な凶器となりえる。こ とほどかように核燃料は厄介で関わらないほうが尊米攘夷の束縛から解放され自由度を確保できる。

ついでに財務省はプライマリーバランス狂であり、現在の国の借金1,000兆プラスは民間がもっている貯蓄や国債1,500兆円とバランスしており問題な い。だから日本の株は高いのだ。これを指摘した経済評論家三橋貴明氏は10代の妻の顔を殴るなどしてけがを負わせたとして警視庁高輪署に傷害容疑で逮捕さ れた。財務省に刃向うのは用心しなければいけない。あぶないのは日本より米国のほうだ。中国が米債を多量にもっており、脆弱。とはいえ、米国をつぶしたら 中国も共倒れとなるので中国は動けない。


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