読書録

シリアル番号 1306

書名

少年

著者

ロアルド・ダール

出版社

早川書房

ジャンル

自伝

発行日

1989/10/31初版
1989/12/15再版

購入日

2017/8/1

評価



娘の蔵書

短編作家であるロアルド・ダールの少年期の自伝

小説「ホーンブロワー提督」の生みの親であるC.S.フォスターに見いだされて作家になる。

ノルウェーからウェールズに渡って船具商として成功した人の子供が英国のパブリックスクール卒業後、シェル社に入社するまでの思い出。

ノルウェーでは生きの良い魚を茹でて食べるのがベスト。魚は何でもよいがヒラメなどがある。これの切れ身にオランデーズ・ソースをかけ、茹でた新ジャガを 添える。最後にはアイスくリームが定番。オランデーズ・ソース(Sauce Hollandaise )は、バターとレモン果汁を卵黄を使用して乳化し、塩と少量の黒コショウまたはカイエンペッパーで風味付けしたもの。

パブリックスクールの燕尾服のような制服を初めて着るときの恥ずかしさと抵抗感を皮肉を込めて描写している。ところが英国人は何とも思っていないことを発見。英国人は制服が大好きな人々だと納得。

英国のパブリックスクールの内情は旧日本軍と同様であることが意外であった。弱い者いじめが洋の東西を問わず人間性の本質と思わせる。私が小学生の頃、鶏小屋に入り込んで観察したことと同じだ。

ロアルド・ダールは希望すればオックスフォード、ケンブリッジへ入ることもできたが、シェル本社に入社しサラリーマンになる。東アフリカ在任中、第二次大戦が始まり、従軍してパイトロッとトになり地中海を転戦。

ここでサラリーマンの考えることもしない気楽な稼業について一筆。それにくらべて作家の生涯は過酷な物だという感想を述べている。


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