読書録

シリアル番号 1293

書名

国家はなぜ衰退するのか  権力・繁栄・貧困の起源 上下

著者

ダロン・アセモグル、ジェイムス・A・ロビンソン

出版社

早川書房

ジャンル

経済学

発行日

2016/5/25発行
2016/7/15第3刷

購入日

2016/10/14

評価



原題:Why Nations Fail  The Origins of Power, Prosperity and Poverty by Daron Acemogulu and James A. Robinson Copyright 2012

久しぶりに東京に出たときに丸善で購入

ダロン・アセモグルはLondon School of Economicsで博士号取得。

「制度」を主因とする。すなわち所有権が守られ、分配ルールが確立した社会でないと創造的破壊である技術革新を起こすインセンティブは生じない。法の支配 や政権交代が可能 な民主的制度がなければ豊かな経済を維持できず、国家は衰退するとしてい る。この世な制度を包括制度(inclusive)と呼ぶ。これに対し、人々のインセンティブを奪う制度を収奪的(extractive)とよぶ失敗する 制度を収奪的とよぶ。ジャレッド・ダイヤモンドの「地理説」、信仰や風習などの「文化的要因」、「遺伝的要因」、「為政者無知説」を退ける。

包括的というのは、その国のあらゆる人が決めごとに参加できる、ということ。多元的というのは、権力を持っている主体がいくつかあってそれなりに拮抗して チェック&バランスが働いている、とでも言おうか。すると、「包括的で多元的な制度」というのは現在の世界環境では「民主主義」と言い換えていい。が、そ うなると本書の主張をものすごく乱暴にまとめると「民主主義国は発展します。独裁国/階級社会は停滞します」と言っているに等しい。

中国のよう収奪的な国家制度では技術開発能力は育たないと思われてきたが、華爲とか中興の中国のハイテク企業は独自の社員の教育程度がたかく、独自の技術 開発能力がたかい。著者は党が支配するためには@軍部の支配、A企業の幹部の支配、B党によるニュースの支配である。


2021/3/7 総合知学会にてダロン・アセモグル、ジェイムス・A・ロビンソンの新著「 自 由の命運」を知るが、コロナ感染を避けてまだ本屋にはでかけない。

September 2, 2019


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