読書録

シリアル番号 1217

書名

新・戦争論

著者

佐藤優、池上彰

出版社

文芸春秋社

ジャンル

政治学・地政学・行政学

発行日

2014/11/20第1刷
2014/11/30第2刷

購入日

2014/11/23

評価



文春新書

安倍政権は世界からみるとおかしな行動をしている。世界は北朝鮮の大量破壊兵器問題解決が最優先事項なのに安倍政権は拉致問題解決が最優先だとして何の成果もないのに制裁 の一部である送金禁止を解除してしまう。これで北はミサイルを開発できる。米国は安倍政権を反米的とみている。北朝鮮がもし「拉致問題以外にも帰国希望の旧日本国籍所有者が2万人いるので受け入れてください」といわれたらどうするのかと佐藤氏は指 摘している。

これに対しH氏は「帰国を希望している中国・朝鮮残留日本人を受け入れる事は日本政府・国民の義務であり、安部政権は負担を覚悟で受け入れる方針であり、多く の国民は支持していると思います。戦後世代にとっては迷惑かも知れないが、軍部暴走を許し敗戦の後始末を全う出来なかった政府を選んだ戦前世代の負の遺産 として受け入れざるを得ない」という。

人道的にはその通りだが。しかしドイツでも同じようなことがソ連との間にあり、結局ドイツはことわっている。そもそも北朝鮮 は使える若いうちは返さずに酷使し60才を越えて廃人同様になった人を姥捨てにするというご都合主義でおちょくっている。ついでに日本への報復を同時にで きうるという妙手 を思いつい て目下調査しているようだ。安部政権・外務省の役人は困らない。困るのは日本に帰れず向うの男性と結婚した女性の引き受け手は疲弊し、過疎化した集落であ となることだろう。今の日本はこれら困窮者を放置し、そこに年取った引揚者が来ても受け入れる余地はないという現実問題をどう処理するのか。そもそも拉致 被害 者 だけを言い募る日本のマスコミの偏向とそれを利用して人気を得ようという安倍氏の安易な考えが全てのスターティングポイントではないか?この構図は大久保 あたりでヘイトスピーチをする若くて行きどころのない格差の犠牲者の扇動に乗ろうとするのと同じ行為に見える。お涙ちょうだいの裏側にこういう問題がある ことに今になって気がついてももう遅い。

北朝鮮は自分はかっての渤海で韓国は中国と連合した新羅という構図に似ていると考えて、日本を利用しようとしている。

日露戦争終結の1905年から1939年のノモンハン事件まで34年間は戦争がなく、軍人は文官化していた。人材の評価基準は東条英機のように記憶力と文書作成能力。実質文官優位だった。それを戦後文官優位と言ったって、事後承認でなんの意味もない。

これからは空母搭載有人艦載機の時代でもなく、ミサイルの時代でもなく、無人機(ドローン)による偵察・攻撃の時代。アメリカ製の無人機にはジェネラル・ダイナミッ クス社のロータックス4気筒エンジン搭載のプレデターやターボブロップエンジン搭載のリーパーがある。しかしこれは高空から攻撃するため、荒っぽく、犠牲が 多い割に効果がすくない。

これに対しイスラエルのハーピーはロータリーエンジン搭載で個別の家や人間を識別できるため、日本向けである。標的人物の顔写真を識別し、5寸 釘を眉間に当てることができる。ハマスが降参したのはこの兵器のおかげ。中国人民解放陸軍、大韓国陸軍、インド空軍、トルコ空軍が配備。日本も法律をいじ くりまわす前に配備すればいいだけのこと。ベルギーは二度の大戦では永世中立だったが2回とも蹂躙された。第一次大戦のときドイツは「必要は法律を知らな い」という言葉だった。だから戦後NATOに加盟した。

外務省のHPは「尖閣列島に関して1895年の秘密閣議で決定した」と記して在るのは戦略的にまずい。なぜならその秘密決定が公知になったのは 1952/3の日本外交文書23巻であった。これは取り消すことができない外交的失点であった。むしろ「1970年初頭まで中国は尖閣に関する領有権を主 張したことがない」と言う方がよかった。

コーランに「最後の最後に自分を守り、イスラムを守るためなら嘘をついていい」と書いてある。ただこれでは複雑系になるのでローマ法の原則は「合意は拘束する」となっている。

特定秘密保護法は官僚が政治家から情報を隠すための法律だ。


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