読書録

シリアル番号 1214

書名

信長の夢「安土城」発掘

著者

NHKスペシャル「安土城」プロジェクト

出版社

NHK出版

ジャンル

歴史

発行日

2001/7/30第1刷

購入日

2014/12/13

評価



鎌倉図書館蔵

前々から何時か安土城の跡を見に行きたいと思っていたが、どうせ小山があるだけだろうと思っていた。

たまたま近くの図書館の本棚でこの本のタイトルにある「発掘」が目に入り、手に取った。NHK大阪の取材チームが過去の発掘調査を調べ上げ、NHKスペシャルとして仕上げた報告書であった。そういえばCGとして復元された天守閣を見たことがある。

地元の人はここを発掘するとたたりがあると考え、一種の聖地として手つかずに残ったものだという。ところが実際には発掘調査はしていたという。昭和15- 16年の戦争中、滋賀県の学務部調査会が天守と本丸の発掘を行って記録を残している。提案したの名古屋高等工業学校名誉教授の土屋純一氏だったという。名 古屋工業大学の城戸久教授はその発掘の手伝いをした。

1969年の学園紛争が激しい時期、名古屋高等工業学校名誉教授の内藤昌氏が東京の静嘉堂文庫のなかから「天守指図」という図面を発見した。恩師の東京工 業大学の藤岡通夫氏と名古屋工業大学の城戸久教授に相談し、これこそ信長の安土城の設計図と指摘した。その図は天守閣の中に吹き抜けがあり、発掘結果と一 致することが確認された。NHKは内藤昌氏の指導でCGを作成。

1999年になり、安土城郭調査研究所が安土城本丸の発掘をし、その規模は武家屋敷ではなく天皇の清涼殿と同規模であることがあきらかとなった。

文献にでてくる山頂まで1万人で引き上げ、下敷きにになって150人が死んだという100トンを越えるであろう巨石で「蛇石」は発掘ではついに見つからなかった。

安土城は軍事拠点としての機能より、政治的な機能を優先させて作られたということが分かる。見せるための大手道は復元されているというので訪問の価値ありそう。日常使われた百々橋口道にはハ見寺がある。

信長の城は天皇を巻き込む政治、宗教をよく考え抜いた独創的なものであった。信長以後の秀吉、家康も沢山城を作ったが、いずれも独創性が無く、戦争のためか、ただ大きいとか、華美だとかしか特徴が無い。

これを読んで信長は完全に日本人に誤解されていると思うようになった。その考え抜かれた独創性を確かめるべく桶狭間、長篠城址、小牧山城、岐阜城、そして安土城という信長ゆかりの場所を訪問したいと考えるようになった。
Rev. January 23, 2015


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