読書録

シリアル番号 1127

書名

グーグル ネット覇者の真実

著者

スティーブン・レヴィ

出版社

阪急コミュニケーションズ

ジャンル

コンピュータ

発行日

2011/12/30初版

購入日

2012/12/21

評価



原題:In The Plex  How Google Thinks, Works, and Shapes Our Lives by Steven Levy

アジア大に向かうとき、東京駅内の書店で衝動買い。いままでいくつか読んだがこれが一番詳しい。

グーグルはスタンフォード大の博士課程をドロップアウトしたセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジによって創業。理系がリーダーでページランク法によるウェブ 検索で世界を制覇し、検索連動型広告で収入を確保し、クラウド・コンピューテイングにむけて先陣を駆けている。ページランク法は人工知能化し、日々に賢く なっている。そしてついに自動翻訳まで標準装備された。そしていまやスマートフォーン向けのアンドロイドOSへと展開中である。ジョッブズはアップルは検 索ビジネスには進出しなかったのにグーグルは携帯OSに進出したと非難して亡くなった。

たしかに人工知能化はすばらしいがふとイギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説『1984年』(Nineteen Eighty-Four)を思わせる。グーグルのできる社員自身が危惧している。

GoogleはGoogol=10100を綴りを間違えて登録したためでマッキントッシュの商標登録と同じ因縁を持つ。

かれら創業者は膨大な資金調達のためにベンチャーキャピタルKPCBが薦める理系のシュミットCEOは受け入れるが、自分の理念を守るためにけっして妥協 することがない。だからこそ成功したのだ。シュミットはサンマイクロシステムやノベルのCTOだった人物。

創業者二人は世の中の常識をすべて疑ってくつがえしてゆく。その洞察力と、それを実現するために創業者自ら世界のトップ100人のエンジニアリストを作製 して自ら面接して選別し、獲得してゆく姿にグーグルの秘密がある。サーバーのメモリーも早い段階でディスクを捨てている。その選定基準は学歴プラス創造力 と図太さ、そして礼儀正しさである。とはいえできる限り、同じ大学からの採用は避けた。集団思考(グループシンク)をさけるためである。

彼ら創業者は独創的だけれど世の中の基準からずれている。その理由は二人がたまたま幼稚園と小学校低学年のころモンテッソーリ教育(シュタイナー教育も同 類)を受けたからだという。二人がフィリップス殿下に招待された夕食会でスフレにかけるパッションフルーツジュースのグラスを上げて一気飲みしてしまっ た。それはスフレにかけて食べるものだと同席したメリッサ・メイヤーが後で注意すると「そんなこと誰が決めたのか」と質問したという。権威を疑うように教 えられたからなのだ。モンテッソーリ教育は自分の頭で考えること、、人生では何事も自分でやってみること、自分自身のペースやスケジュールを守って自分が 好きなように行動すればよいと教える。そして社員にも20%ルールという自由時間を与えている。

グーグルもfacebookやtwitterなどのソシアルネットワーク・ビジネス の参入チャンスを逃している。いまやマイク・ザッカーバーグが創業したフェイスブックを追いかけている。

グーグルが中国市場に参入したとき自主検閲を要求され、のちに拒否したが、この過程て中国当局からと思われる本格的なハッキング攻撃を受け、重要な機密を 盗まれた。おなじような攻撃は公表されていないが他の企業も経験している。

Rev. December 26, 2012

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