読書録

シリアル番号 1125

書名

働かないアリに意義がある

著者

長谷川英祐

出版社

メディアファクトリー

ジャンル

サイエンス

発行日

2010/12/31第1刷
2011/9/9第11刷

購入日

2012/11/30

評価



著者は北大の進化生物学者

帯に7割は休んでいて1割は一生働かない。巣から追い出されるハチ、敵前逃亡する兵隊アリなど「ダメ虫」に意外な効果!とある。衝動買い。

集団と個の関係で説明。

働くハチと働かないハチのことは「2:8の法則」または「パレートの法則」と呼ばれるが、パレートの法則はべき分布と同義語だ。原発事故もべき分布になる ところが意味深だ。ハチのコロニーには階層構造がなく、上から働けという指令はでない。そこでハチの個体のなかに環境への反応閾値が遺伝子レベルで多様化 されていることにより、負荷に応じて個が働くか遊ぶか個別に判断してもコロニーとしては負荷に応じて働き手が自動的に投入される仕掛けになっている。アリ の個体を多細胞動物の我々の体と比較してもこの仕掛けは理解できる。利他行動がコロニーの生存に利するという「包括適応度」という概念をハミルトンが提唱 した。

しかしこの利他行動に悪乗りするチーター(cheater)がでてくる。多細胞動物では宿主と病原菌の関係が相当。また癌もその一つだ。しかし狭い地域にかぎれば利己的なチーターはその地域では宿主を全て殺して自分も絶滅するというバランスがあり、それ以上増殖しない。

人間社会の経済活動でも効率化追求で国境がなくなると、チーターの局所的絶滅という利他者の再興が可能なのにグローバリゼーションででそれも不可能にな る、国境をまたぐヘッジファンドや企業活動を規制しないと全世界恐慌ということが発生するようになる。したがってTPPなども問題となる。

地産地消は昔に戻るということで本質的には解決できない。


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