シリアル番号 | 1063 |
書名 |
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則 |
著者 |
ウイリアム・パウンドストーン |
出版社 |
青土社 |
ジャンル |
数学 |
発行日 |
2010/1/19第1刷 2010/3/19第4刷 |
購入日 |
2010/8/23 |
評価 |
優 |
近くの本屋でこの本を購入。かって物理学者のウイリアム・パウンドストーンの「囚人のジレンマ」を読んで知的刺激をうけたため。これでしばらく至福の時を過ごせる と思って買った。 しかし背景の説明が冗長の肝心のプロスペクト理論がよくわからない。結局wikiを読んで少し分かる。いずれにせよ経済学が世の中を良く説明できていない理由がわかった。
副題「必ず得する行動経済学の法則」にあるように行動経済学の紹介書。そもそもフォン・ノイマンのゲーム理論やサミュエルソン、フリードマンらの一般経済学者らが 前提にする「期待効用仮説」では人間は合理的な判断を行うとしている。すなわち経済活動の選択は効用関数と確率の加重平均によるという間違った前提にたっている。 効用関数とは「x:ある財・サービスの消費量や保有量」と「u:それから得られる満足度の水準」の間のu=U(x)という関係。しかし人間には進化の過程で得た感情があり、これは決して合理的なものではない。経済学 がいうように価格は需要曲線と供給曲線の交点で決まるというのもありえない。
価格決定は複雑である。まずアンカリング効果がある。つぎに人間の判断はヒューリスティック(論理ではなく試行錯誤的経験にもとづく直感)である。またアレのパラドックス、プライミングがある。
アレのパラドクスは、ノーベル賞学者ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論で理論的な説明がなされている。 行動経済学において、経済活動の選択は価値関数と確率加重関数の加重平均を考える。 価値関数とは、「x:『ある基準点』から見た変化幅」と、「v:その変化幅の価値」を対応づけた関数v=V(x)のこと。S字型になる。確率加重関数とは、「人々は『ある確率』を、そのまま額面通り受け取る訳じゃない」ということ。多くの人は「低い確率ほど過大評価」し、「高い確率は過小評価」する傾向がある。これを「劣加法性」という。確率加重関数では、ショケ積分が採用されている。
プライミングとは人間の脳に備わった機能で、行動を無意識のうちに誘導する仕組みが備わっている。意識が気づくく前に脳がその案を検討し、大体においてそれに従って行動している。言葉がスイッチをいれる。 ルイス・キャロルが「スナーク狩り」でベルマンの言葉として語らせた「三度言ったことは真実だ」はこれを意味する。
そしてプライミングはアンカリングに影響する。
サマーズは「株価は集団的幻想かもしれない」と言っている。
Rev. September 4, 2010