シリアル番号 | 1015 |
書名 |
石油の支配者 |
著者 |
浜田和幸(かずゆき) |
出版社 |
文芸春秋 |
ジャンル |
環境 |
発行日 |
2008/10/20第1刷 |
購入日 |
2009/5/30 |
評価 |
良 |
石油資源問題を学ぶための参考書として購入。
著者は週刊誌的ジャーナリストで、陰謀史観に傾くきらいがありまじめに読めない。たしかに石油価格は2008年に120ドルになった後、金融危機で40ド ルに暴落したので投機筋が押し上げたのは間違いないだろう。そしてピークオイル説が投機筋の根拠だったというのもあながち間違いではない。しかしピークオ イル説は石油メージャーの陰謀だとしているがそれは違う。ピークオイル説の仕組は学者のまじめな研究成果なのだ。問題は可採埋蔵量Kをどう見るかで結論は ことなる。Kの値は価格上昇すると探鉱活動に資金が投ぜられるという逃げ水構造になっているから騙されたということになるのだ。
2009年6月になって急に上昇をはじめ70ドルに上昇したことは投機筋で説明できるのだろか?
しかし中には注目しておかないといけないかなという情報も含まれている。それは石油無機起源説である。
著者はトーマス・ゴールドが唱えた「地球深層ガス」を知らないようだが、枯渇したと考えられていたウクライナのドニエプル・ドネッツ油田が再開発で生産量が増えたこと とか、ユウジン・アイランド330というルイジアナ沖の海底油田も再掘削で生産量が増え、組成まで異なっていることを上げている。しかしこれが著者のいうように石油無機起源説の証拠になるかどうかに係わらず深い層まで掘りぬいたためなのは事実である。
ということで究極的には石油無機起源説が正しいという時代が来るように思う。
Rev. September 2, 2017