読書録

シリアル番号 097

書名

バートランド・ラッセル著作集全14巻

著者

バートランド・ラッセル

出版社

みすず書房

ジャンル

哲学

発行日

1959/3/20第1刷
1965/10/20第11刷

購入日

1964/11/10

評価

1 自伝的回想録、2,3自由と組織、4神秘主義と論理、8結婚論、11-14西洋哲学史と欠番がある。大学卒業後3年目に多分古本やで買ったものだろう。

実は購入後、挫折して53年間、書棚のほこりをかぶっていたのを79才にして再び手に取る。とりあえず自伝を読んで、西洋哲学史に入ろう。

いきなり著作集刊行月報に下村寅太郎が「イギリス人はアマチュアの国民である」と学僧イング が「イギリス論」のなかで言っているとある。「原理」を建ててそれを強行することを好まない。原理や理念に支配されるのは好まないとある。

自伝的回想録は1/3読んだところで放棄。とにかく伯爵家に生まれたが、政治家にはならず数学・哲学にのめり込んだこと。自分が正しいと思ったことは友人 を失っても意見は変えなかったという話が印象的。特に第一次世界大戦に反対し、ケンブリッジ大の教職を奪われた上、投獄までされている。

西洋哲学史を読み始めたが、重要人物としてソクラテスとプラトンがでてくる。ソクラテスはよく「もしわたしが靴を直そうと思えば、どのような人を雇うべき であろうか」と質問した。無邪気な青年は「靴屋です、ソクラテス先生」と答えた。「では国家という船を誰が直すべきであろうか?」と。こうして若者をそそ のかすので、ついに、ソクラテスが非難している弊害を改めるよりは毒にんじんで彼を黙らせてしまうほうが手軽ということになったのである。

プラトンの共和国を理解するためにはスパルタの国のありようをまず理解した方がよいと塩野七生が「ギリシア人の物語 I 民主制のはじまり」で読んだもの と同じストーリーが語られる。種本がツキジデスだから無理もない。神話への信仰は日本では明治期に二代の世代で達成できた。

西洋哲学史II(12巻古代から中世)にはグロチウスの自然法はギリシアのストア学派の自然説を復活させたものだと言う。自然に従えば、全ての人間は平等 であるというのがストア学派の主張だった。ちなみにストア学派の創始者はキプロス島キティオン生れのフェニキア人で「キティオンのゼノン」とよばれる。ゼノンのパラドックスで有名でパルメニデスの弟子の「エレア派のゼノン」とは別人である。

13巻は中世から近世をカバーし、ホッブスも出てくる。

2017/9/29

Rev. October 30, 2017


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