第26回松談会

2005年11月12日(土)の松談会は 映画監督・テレビディレクター 野沢和之氏の「父が教えてくれた事」 という作品の鑑賞と質疑応答であった。

氏は2004年の上越地震のとき取材に新潟入りしてカメラを回しはじめたが、たまたまそこは自分の故郷であった。倒壊を免れた親の家を見舞ううちに胃がんの手術を終えたばかりの老いた母が、腎臓病にかかった父の看病で手を焼いていることを知る。父は大工でこの倒壊を免れた家は自分で建てたものだ。医者に透析をしなければ余命6ヶ月と宣告されるが父は頑固に透析を拒否する。結局父が死ぬまでの八ヶ月カメラをまわし続けて父を看取った全過程をテレビ番組として2005年7月放映。大きな反響を得た。特に、父の意思のままにさせた息子を賞賛する声が多かったという。ほんとはいけないタバコを一服するのを見逃す息子。父はほんとは刑事になりたかったという。だが希望はかなえられず大工になって一家を支えた。だから息子が大学にゆき、そして留学するのも、テレビディレクターになるのも全て黙認した。彼の人生の最後の段階で家の中でカメラが回っていることすら文句をいわなかった。

氏の作品:「HARUKO」、「熱中 人生ミドルからの挑戦」、「母よ!引き裂かれた在日家族」、「津軽三味線音探しの旅」、「灼熱の走行サハラマラソン」、「生きる力を求めて〜中村久子の生涯」、「エイズその正体と対策」

November 15, 2005


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