一歩前の会

神漬グリーン・リサイクルセンター

リサイクル勉強会

神漬グリーン・リサイクルセンターの運営をしている旧友からメールが入って東京農大の鈴木教授を囲むメタンガス発酵の勉強会をセンターで開催するから参加しないかとのおさそいを受けた。無聊をかこつ身であるから喜んで参加した。

神奈川県が主催したリサイクルに関するセミナー出席者のなかの有志の集まりであるとのこと。「一歩前の会」となずけて定期的に会合を持っていて第5回目とのこと。秦野市会議員、有機農産物生産者、関連企業の社員、主婦、学生など十数人が集まっていた。

<鈴木教授のお話の要約>

一般に汚水処理は好気性菌(活性汚泥)による有機物の炭酸ガスへの酸化分解である。これは汚水の発酵槽(分解槽)での滞留時間は3-5日ですむからである。メタン発酵のように嫌気性菌を使う場合は嫌気性菌の分解速度が遅いため、発酵槽での滞留時間は20-30日を要するので実用にならない。メタン発酵菌をケイ砂などに担持して菌体濃度を上げて速度を増すUASB嫌気発酵でも1-3の滞留時間を要する。また好気性菌は常温でも充分活性をもつがメタン発酵菌の適温は中温菌で37度C、高温菌で55度Cであるため、加熱エネルギーも必要となる。

メタン発酵といってもメタン発酵菌は有機物をいきなりメタンに変換しているのではなく、酸発酵で生成した酢酸を主要成分とする有機酸をメタンに変換しているのである。それにメタン発酵菌はPhが7-8のアルカリ環境を好む。そこで好気性菌による酸発酵槽とメタン発酵槽の2段発酵槽にわけ中間点で苛性ソーダで酸発酵槽でできた酢酸を中和してからUASB嫌気発酵槽に送り込めばそれぞれの菌は最適な環境で活発に働いてくれるというもの。本方式は農大特許となっているそうだ。メタン発酵槽がアルカリ環境にあるため、同時発生する炭酸ガスも固定されるため、発生するガス中のメタン濃度が高い。

途中、話は脱線してアルコール濃度が高い中国の白酒( ぱいちゅう)の製法になった。これが固体発酵と蒸留の多段工程で手数はかかるが効率は高い方法で興味深く聞いた。

<グリーンウッド氏のコメント>

東京の下水道の84%は雨水と家庭排水が同じ1本の下水管に流れ込む方式のため、いかにすばらしい農大方式でも都市排水には残念ながら適用できない。何年かかるか分からない汚水と雨水を別系統にする工事の完成を待たねばならない。だが家庭でキッチンシンクに装着するディスポーザーを使用可とすること、そのディスポーザー廃水をメタン発酵して資源のリサイクルをするエコシティーを売りとするマンション群を特定の地域に建設するなどに適用できるのではないか?

<果樹園「弁慶」での懇親会>

勉強会の後は近くの慶応大学の入り口近くにある無農薬を売りにする果樹園「弁慶」(Shop Serial No.168)にて懇親会を開く。弁慶の経営者は変人生産者と自称する富田氏で勉強会のメンバーである。果樹園「弁慶」のウエブサイトはここ。

2001/12/29


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