一歩前の会

秦野市を訪問

有機肥料への取り組み

一歩前の会は2002年12月20日、秦野市が支援するリサイクル事業を見学するため秦野市を訪れた。本会の3人の世話人の一人、風間正子秦野市議会副議長が今回の企画担当であたっため、まず市長にお目通りし、一歩前の会の活動について説明することからはじまった。

車を連ねて、まず秦野市の平沢地区にある山口牧場堆肥舎を訪れた。平沢地区は秦野市の中心街の南側に横たわる丘陵地帯の頂上にある。オーナーの山口和志氏が5戸の農家に呼びかけ、畜産環境保全対策事業の補助金を得て始めた家畜ふん尿のコンポスト化事業である。ここで採用している方式はトップターン式という方法である。コンクリート桝の中で嫌気発酵させるスクープ方式では悪臭公害が発生し、発酵時間も長いが、トップターン式は好気発酵のため悪臭がなく、スクープ方式の1/3の時間で発酵が完了するという。たしかに畜産特有の臭気は感ぜられない。80頭の牛が作る年間1400トンのふん尿を処理すために、オランダ製の撹拌切りかえし機は900万円かかった。屋根のある堆肥舎は2,000万円である。総額3,000万円の1/3は自己負担である。人件費を捻出できないのでオーナーの山口和志氏の無償奉仕で成立している事業であるという。籾殻を1/3程家畜ふん尿に混ぜると空気の流通が促進され良好な品質のコンポストが得られる。この籾殻は年1回しか出ないので、1年分を確保しておかなければならないのが面倒。

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オランダ製の撹拌切りかえし機とトップターンコンポスト畝

次に同じ地区にある花き農園を訪れ、経営者の冨田進一氏の説明を聞く。鉢物の花きを作るには、まず土を作らなければならない。ある意味で鉢物は土を売る商売ともいえるそうである。鉢物土の原料は土1に対し、コンポスト0.4にピート少々である。苗を病原菌から守るために加熱滅菌する設備も必要である。そこで鉢物用土組合を作って鉢物農家に土の供給をしている。

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加熱滅菌中の腐葉土(奥に加熱用ボイラーが見える)

引き続き、冨田進一氏の息子さんが経営する鉢物用グリーンハウスを見学する。日光の透過率が高いのでフッ素系のプラスチックを使っているとのこと。室温は自動制御で屋根にある換気窓が自動的に開閉する音が時々する。冬季のためのヒーターも設置されている最新式施設であった。農業はもう立派な設備産業である。

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鉢物用グリーンハウス

秦野市を西から東に流れる水無川を渡り、秦野市北部の源実朝首塚近くに秦野市が作った田原ふるさと公園に移動する。ここのふるさと伝承館で作った秦野ソバを昼食にする。田原ふるさと公園用地造成中にここから鎌倉時代の武家屋敷跡がみつかったそうである。

昼食後は再度、水無川を渡り、堀川小学校に移動し、給食の生ゴミをコンポスト化装置を見学する。風間正子議員が導入のリーダーシップを発揮されたとのことで、一日40kgの処理能力のあるバイオ処理装置で、日立製作所製である。内部は下の写真のようになっており、撹拌翼は加熱器も兼ねている。生ゴミを投入してからコンポストがでてくるまでの滞留時間は数日とのこと。においはほとんどない。

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給食残渣のバイオ式コンポスト化機内部

最後に農協大型直売店(はだの じばさんず)を訪れる。生産者が値付けし、売れなかった場合は引き取ることを条件にこの店舗に置けるという仕組みである。国道246号線と県道62号線の交差点という立地のよいところにある。もっとも成功しているのが切り花で、よく売れているとのこと。約1.9億円の建物の1/3は補助金でまかなったという。

December 20, 2002


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