一歩前の会

弁慶と慶応大学湘南校を訪問

前回の東京農大見学に引き続き、「一歩前の会」の第7回会合に参加した。そもそも「一歩前の会」は県民討論会番外編として始まったものという。神奈川県中小企業団体中央会の遠藤部長と神漬グリーンサイクルセンターの西沢工場長の2人が幹事となり20数名がメンバーだ。今回の会場は冨田さんが経営する弁慶の巨大なグリーンハウス内の心地よいブドウの葉陰であった。

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弁慶の巨大なグリーンハウスでの一歩前の会

豆腐メーカーのヤシマ食品鰍フ加藤専務から豆腐の製造に伴って豆腐と同量でてくるオカラの処理について悩みを聞く。食材としてのオカラは豆腐ほど需要はないから飼料にしたいわけである。乳酸発酵したものは牛の健康にもよく、排泄物の悪臭もしなくなるが、乳業家は買ってくれない。肥料にしても採算の問題があり、しかたなく焼却処理している。ところがダイオキシン規制も厳しくなっており、困っている。豆腐の流通業が価格の60%を取り上げるので生産者の利益がここ数年ゼロになり、ダイオキシン規制を満足する焼却がむずかしくなっている。

弁慶の冨田さんは乳業家が買わないのは明快な理由がある。3年前、生乳に含まれる脂肪分の下限値が法で制定されたためという。オカラを与えると牛の健康には良くとも、とうもろこしなどの濃厚飼料にくらべ、脂肪分がすくなくなり、ミルクメーカーが引き取ってくれなくなるからだという

グリーンウッド氏が英国では草だけ食べている牛が脂肪分のたっぷりある、黄色がかったおいしいミルクを作っているのはなぜかと聞くと、それは多分ジャージー種のミルクだからでしょうという。ではなぜ日本ではホルスタイン種に濃厚飼料を与えて臭い糞をさせ、ご近所に迷惑をかけるという無理してまでジャージー種にも劣る水っぽいミルクを国中そろってバカ一筋に生産しているのかと聞くとホルスタイン種の生産性が高いからですという。

ここでグリーンウッド氏は心の中でつぶやく。「牛を水のろ過器と勘違いし、水の生産性を高めてもしょうがないのでは?どこで間違ってしまったのだろうか?50%の脂肪分を抜いて低脂肪牛乳を作っているのに、脂肪分の下限値を法で制定している意味はあるのだろうか?」ああ英国で飲んだおいしいミルクが飲みたい!!林 望によれば英国の水は硬水であるため、お茶のなかの苦味や渋みが溶けでないため、美味いのだと言っている。それだけではないだろう。イングリッシュティーのおいしさはジャージー種にもあるのでは?

近くのスーパーで探すとジャージー種のミルクを売っているではないか。清里の牧場で、草だけ食べさせて出来たものという。値段は2倍もするが、買って試飲するとなるほどうまい。脂質含有量は100グラム中4.5グラムという。ところがジャージー種と書いてない北海道産ものに7グラムというのもある。ホルスタイン種に濃厚飼料をたっぷり与えてつくったものかどうかわからない。どうやら牛乳のうまさは脂質含有量だけに関係しているのではなさそうだ。そういえば英国で出るミルクはホモジナイズしてないので、上にシングルという脂質の層が浮いている。これがうまいのかもしれない。日本人の潔癖症で画一的にホモジナイズすると牛乳の味わい方に深みがなくなるようだ。そういえばパンも英国では日本のパン程白くない。これがまたうまい。

ところで加藤専務が消費者は原料の大豆が国産か否かにこだわるが。豆腐のおいしさは豆の新鮮度とにがりの品質によるところ大で、豆が国産か否かに関係ないという。我々がいかにステレオタイプの思考をしているかと目を開かされた。ソバの乾麺製造業をしているバイク友達も同じようなことを言っていたことを思い出す。

グリーンウッド家は冷蔵庫でいつまでも保管できるという単純な理由でプラスチック容器に直接充填した豆腐を長らくつかっている。熱処理してあるので3ヶ月でも冷蔵保管できる。冷やっこにしても問題ない。しかしスーパーで売られているのは外見は同じようなプラスチック容器に入っているが、容器より多少小さめにカットされて水の中に浮いているものがほとんどである。これでは賞味期間は1週間程度。加藤専務は衛生のメッリトを考えれば充填豆腐が今後の方向だろう。ただ充填後熱処理をすると味が落ちる。完全無菌充填はむずかしいので中間的な賞味期間の熱処理しない充填豆腐が今後の方向だろう。第一、水をいれておけば苦汁も水ににげておいしくなくなる。消費者の水に浮かぶ伝統的豆腐に郷愁を覚えるステレオタイプの思考に関して笑っておられた。

慶応大学湘南校の増山君の肝いりでAIESECのかわいい女学生に「若者は何を考えているか」についてプレゼンテーションしてもらい、一同湘南校に移動する。ここで国の補助金をもらって開発したという電気自動車に試乗する。水素リチウムバッテリーだけで4,000万円したという。300馬力以上で300km/h以上出せる スーパーカーだ。8輪車で車輪一つ一つにモーターが付いている。8輪車にしたのは1個のモーターの出力が小さいためという。モーターは明電舎製。車体はイタリア製とのこと。試乗しておどろいたのはその加速性。車の中でひっくりかえってしまった。

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電気自動車試乗

この電気自動車開発のリーダーは清水浩教授で東北大卆国立環境研究所でキャリアを開始した人である。

July 6 2002

Rev. July 15, 2006


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