一歩前の会

IGES訪問

一歩前の会は第8回の企画として湘南国際村内に2002年6月に完成した(財)地球環境戦略研究機関(Institute for Global Environmental Strategies, IGES)の研究施設を見学した。

IGESはKyotoプロトコルが合意された1997年に環境庁が設立した主としてグローバルウォーミング対策を提言するシンクタンクである。IGESを神奈川県に誘致しようとした神奈川県が日建設計に設計委託し、鹿島・三井・紅梅建設のジョイントベンチャーが建設したものをIGESが借り上げて使用している。

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IGESのアトリウム

パッシブ・ソーラーハウスの概念に基づき、直射光が室内に差し込まないように遮るライトシェルフや縦ルーバー、日射負荷を軽減するエアフローウィンドウ、ビル下の大地によって空気を冷やすクールヒート・トレンチ、アトリウム内の対流を利用した自然換気、床の輻射による冷暖房、屋上緑化、複層ガラスを使用し、熱を遮断し光だけ取り入れるトップライト、太陽電池を貼り付けた可変式遮光ルーバーなどが全面的に採用されている。屋根には太陽電池、太陽熱集熱装置が設置され、申しわけ程度だが、風力発電機も設置され、NAS電池による電力価格昼夜差利用、都市ガス燃料のマイクロガスタービン、氷畜熱システムとあいまって買電量を50%削減しようという意欲的なものである。建材には炭酸ガスを固定する木材が象徴的に使われている。床は勿論、給水タンクまで木製という念の入れ方である。

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ロビーから湘南国際村センターを望む

41名の研究員のうち16名は外国人で、そのための宿泊施設も備わっている。会議室で概要の説明を受けたのち、館内の見学をさせてもらった。国際レベルの施設で、湘南村という人くささから隔絶されている立地による寂しさを除けば申し分のない施設である。入れ物に負けない政策提言をしてもらいたいものだ。

見学後会議室にもどって質疑応答セッションにはいる。グリーンウッド氏の質問は「温暖化防止にもっとも有効なのは原子力であることは論をまたない。しかし、原子力の安全神話が崩壊した今、住民の協力を得るには万一の事故で周辺の土地が放射能汚染したとき、ウン兆円に昇る損害を住民に保証をするメカニズムが必要になると考えられる。モラルハザードを生じさせずにそのような保証メカニズムが構築可能なのか興味あるところだが、このような研究はIGESのスコープに入っているのか?それとも縦割りの役所の影響により産業省の管轄になるのか?」

事務方の回答は「少なくとも今そのようなテーマの研究はしてません。ホームページで研究者に直接提案されたらいかがでしょう?」でした。

お暇して参加者一同、近くの湘南国際村の給水タンクの上に設けられた展望レストラン、ベラビスタ (Restaurant Serial No.192) で午後のお茶をいただきながら歓談後、散会。

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ベラビスタでくつろぐ参加メンバー

September 24 2002


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