地方分権 書き殴り

Last update 1999/12/06


1999年1月25日
地方分権、三権分離

 書きなぐりかあ、せめて書き流しぐらいにしておけば・・・。
 まあ、そんなわけで勢いで書いてますが、地方分権で何が変わるかというと、わたしのまわり(注:筆者は地方公務員です)でも、「機関委任事務が廃止ってことは、国から権限が委譲されて、自治体で条例を作って」、とか思ってる人がいますが、それはまちがいです、今のとこ。
 権限というのは、まあいいけど、条例というのは、現在、施行されている、地方分権推進法では考慮されていないです。

 この辺は誤解されやすいところですが、みなさんは中学校くらいで習った、国家権力の三権分離というのを覚えておられるでしょうか。三権とは行政、立法、司法です。
 つまり今騒がれてるのは、行政についてだと思えば、理解しやすいでしょう。立法、つまり条例で、委譲された仕事に関して細かく決めていく、というわけではないようです。
 この辺は、州の独立色の強い、アメリカなどとはずいぶん違います。
 でも自分の生きているうちに、そういう時代が来てくれないかな、とも思っています。(そんときは、自治体職員は地獄かもね。(^_^;))

補足 初っ端から、ずいぶん大胆なことを書いてしまったので、多少、説明が必要な気がしてきました。いちよう補足することにしました。こちらです。

1999年1月28日
地方分権と条例

 前回の文章を書いてからふと思ったんですが、条例が気になるというのは、現場の人間だからかな、という気がします。専門家はともかくとして、一般の人はあまり頭に浮かばないのではないかな。
 それはともかく、前回さりげなく、「条例をバリバリ作るようになると、自治体は大変かも」などと書きましたが、これについて少々補足しておきます。

 市町村なんかで、環境基本条例だとか、放置自転車条例だとか、情報公開条例、行政手続条例などなど、いろいろ作ってますけど、これだれが草案を作るかというと、自治体の職員です、普通。そうすると、余裕のある場合だといいですけど、係長一人のヒラ一人などという係の場合、現実問題として無理ということなりかねません。
 仕事が増えるなら、人も増やさなければならないという、当たり前のことが必要です。

 とはいえ、条例を作るのが大変とはいっても、条例はかなりの数が作られてますし、要綱というものも作られていて、法律の不備を補うなど、それなりの成果を上げています。
 地方分権に合わせて、法律と条例のバランスをうまくとれば、今よりも現実的な行政になるのではないかという期待を、わたしなりに持ってる今日この頃です。

1999年1月30日
地方分権と条例 議会編

 前回の文章を読んで、職員が大変なのはわかったけど、議会はどうしたの?と、思ったあなたはするどい。^^;
 そうなんです、法律にしても条例にしても制定するのは議会、と学校で習っているはずです。

 これは最近、主に国会方面で耳にするようになった、議員立法の問題です。
 そうすると、自治体の職員が法案を作るとはどういうこと?と、思われるでしょうが、これは首長(都道府県知事、市町村長のこと)に命じられて作るということになります。

 確かに、条例の最終的な決定権は議会にありますが、条例を提案する権利は議員だけが持っているわけではありません。首長も住民の選挙で選ばれている以上、当然、その権利があります。
 それどころか現実問題として、議員の提案により制定された条例は、1割にも満たないのではないかと思います。^^;

 一職員としては、議員立法を増やしてわれわれを楽にして欲しい、もとい、議員の先生方には、住民の方々の意見を吸い上げ、決して一部の人々の利益になるようなことのない立派な仕事をしていただきたいと、こういう次第でございます。^^;

1999年2月13日
番外編

 テレビ朝日、ニュースステーションが、2月1日に放送したダイオキシンの報道により、所沢産、埼玉産の野菜の不売騒動が続いています。この報道自体の是非は、いろいろなところで語られているので、ここでは触れませんが、行政に対する批判が報道の趣旨なので、少し書いておきます。

 日本のダイオキシンの対応が遅れてるのは、事実でしょう。また県や市は、「国が基準を決めないから規制できない」と言ったりしています。
 現在の法体系で、県や市町村が何をできるのか、今後、地方分権が進むと、どう変わっていくのか、といったことを考えないといけないのでしょう。(もちろん、国がどうしなければならないかというのも、ありますが)
 この辺は、機関委任事務とか自治体の条例制定権というのが、問題になるわけですが、今回はこれ以上は書きません。あまり用意をしていないこともありますが、地方自治では昔から、大きな争点となってきているからです。(水俣病などの公害とか、マンションの建築問題などで、裁判ざたになったり、学問上の転換期になったりしています)
 とはいえ重要な問題ですので、今後、このコラムの中などで、触れていきたいと思っています。

1999年4月11日
地方分権と機関委任事務

 前回は、予定外の番外編などをやってしまいましたが、今回はまた本筋に戻ります。 それと、我家のパソコン環境を変更していた関係で、更新が遅れたことをおわびします
 (そういえば、地方分権の一括法案も提出されましたが)

 地方分権推進法に関しては、現時点では機関委任事務を廃止するということが、一番の目玉なわけですが、肝心の機関委任事務とは何かということに、全然触れていなかったことに気がつきました。^^;そんなわけで今回は機関委任事務についてです。

 まず、機関委任事務に触れる前に、行政の仕事を区別してみます。
 国、都道府県、市町村(国、神奈川県、横浜市という感じ)と、行政が分かれるので、国の仕事、都道府県の仕事、市町村の仕事というのが、それぞれあるわけです。
 それぞれの仕事の内容は法律で決まっていて、それぞれが自分の仕事をするわけですが、ここに大きな例外があります。例えば、もともと国の仕事なのに、県(市町村)が代わりに仕事をしたりすることがあるのです。ようは県(市町村)が国の下請けになって、仕事をするということでしょうか。これを機関委任事務といいます。(正確には違います。だいたいそう理解しとけば良いでしょう)

 これがなぜ問題なのか、とりあえず2つ挙げると、

 どちらも大きな問題ですが、現実問題として2つ目は特に深刻で、県の仕事の約8割、市町村の仕事の約4割が、国の機関委任事務といわれています。
 1つ目のほうは、今回の地方分権関係の法令で、法定受託事務として残りますが、必要最小限ということになります。(ここでは、細かい批評は避けます)

 ということで、次回に続く。^^;(なお、県(市町村)という表記をしていますが、県の方が市町村より上ということではなく、こう書いたほうが読みやすいと思っただけのことです)

1999年4月22日
地方分権と機関委任事務 その2

 前回、機関委任事務について書きましたが、その続きです。
 この前あげた以外にも、問題点があるわけですが、いちいち書いても細かいだけなので、こちらの自治省のページを参考にしてください。
「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案の概要」

 この中の「2 機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成」にある、 (参考 新たな事務区分の制度上の取扱い)という表あたりでしょうか。
 それにしても、法定受託事務の条例制定権が「法令に反しない限り可」になってるけど、これでいいのかな?もともと国の事務のわけだし、条例制定権に関しては、機関委任事務と一緒だと思うけど。
 ちなみに地方分権推進計画では、「第2 国と地方公共団体との役割分担及び国と地方公共団体の新しい関係」の、3(2)自治事務及び法定受託事務の制度上の取扱い(長い^^;)で、こんな風にうたってます。

 地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて地方公共団体の事務に関し、条例を制定することができる。
 なお、法定受託事務については、国の法律又はこれに基づく政令により事務を処理することが原則であるので、地方公共団体の条例にゆだねる必要がある場合には、法律又はこれに基づく政令により明示的に委任する必要があるものと解される。

 ということで、条例制定権の話が出てきたので、次回はまたもや条例の話です。

1999年5月9日
地方分権と条例 その2

 地方分権で、今回は条例は考慮されていないと書きました(1999年1月25日の回)が、地方分権推進委員会の議事録や一括法案の記事とか読んでると、ちょっと誤解を招く表現だったかな、という気がしてきたので、補足しておきます。

 まず、機関委任事務が廃止されて自治事務になるので、そういう意味では条例を制定する機会は増えます。つまり、よく「機関委任事務は条例を制定できない」というわけですが、これが自治事務になれば、条例を制定できるというわけです。

 しかし、ここでいくつか注意すべき点があります。

 今回の地方分権一括法案で、自治体の処理する事務のほとんどが自治事務になるわけですが、自治事務になった後もほとんどの事務は、法律によって規定されることになると思います。つまり条例では規定されないということです。もっと説明すると、「自治体の事務でありながら、自治体の制定する条例ではなく、国の制定する法律で規定される」わけです。
 1999年1月25日の回で言いたかったのは、この辺の話です。

 なぜ自治体の仕事なのに、法律で定めなければならないのかが、素朴な疑問として出てくるわけですが、これに対する答えがナショナル・ミニマムということです。
 今回の地方分権で、国の役割として、全国的に統一した基準の制定、つまりナショナル・ミニマムを定めるということが挙げられています。
 つまり、自治事務を法律で定めるというのは、ナショナル・ミニマムを定めるということなのです。

 これだとあまりにおおざっぱなので、さらに考えてみると、今回の地方分権一括法案は機関委任事務をなくすということを除くと、個々の法律そのものの大きな改正になっていません。
 公害関係の法律などが典型ですが、現在の法令では、規制の内容を細かく決めています。今回の一括法案では、「法令での規制内容を減らし、その分、自治体ごとに条例を制定して、細かい規制を決める」というようにはなっていません。
 極端な話、法定受託事務の部分のみ、法律で決めて、あとは条例で決めるというのも、可能なはずです。
 それから、政省令の問題もあります。今の法律の多くは、法律だけで成り立っているのではなく、政令及び省令とセットになっています。規定の細かいところを、法律の委任により政令及び省令によって規定するわけですが、地方分権一括法案でも、法による政省令への委任は残ります。政省令への委任を無くして、条例への委任にするというのもありえたはずですが、今回はそうなっていません。

 わたしが、今回の法改正で、条例が配慮されていないと書いたのは、この辺が頭にあったのです。
 ナショナル・ミニマムと一言で言っていますが、じゃあ、ナショナルミニマムとは、具体的にはどの程度のことを決めるのかを、もっと掘り下げてもらいたかったのです。

 残りは次回に。^^;

1999年12月6日
地方分権と規則

 残りは次回などと書いておいて、更新をすっかり忘れてました。^^;今回はほんとは5月18日の日付が入っていたのですが、結局、半年近く空いてしまいました。^^;まずいなあ。この回で一区切りかなと思ってたのに。

 まあ、あんまり条例は考慮されていないなどと書くと、条例改正で大変な人達に悪いかなという気もするので、気をつけたほうが良いのかもしれませんが。
 今回、確実に必要なのが、機関委任事務に関する 規則をどうするかで、まあ、普通は条例にするのでしょう。ゼロから作るわけではないから、多少は楽に作れそうな気がしますが。^^;
 いずれにしろわたしは、単に移行のためだけの条例作りは、その時だけのものだから、それほど気にはしていません。(作業するはめになった人は、大変ですが)
 規則は昔は条例より下とされていて、今でもそう書いてある本があると思います。でも最近は、規則も公選(選挙で直接選ばれたということ)の知事、市町村長の定めたものということで、条例と同等に扱うという考えがでてきています。
 今後の地方分権を考える上で、規則の役割はどんどん増すものと思います。
 とりあえず、今回はこんだけ。^^;


注1:要綱とは、行政指導を行うときの基準となるものです。行政指導というと、世間ではあまり良いイメージがないわけですが、地方自治体の行政指導では、公害の規制などで成果を上げており、それなりの存在意義を認められています。

注2: 地方分権推進法第4条に、国の役割が規定されています。

 加えて、地方分権推進計画では「ナショナル・ミニマムの維持・達成、全国的規模・視点からの根幹的社会資本整備等に係る基本的な事項に限る。」とうたわれています。

 筆者はおおざっぱに言って、2番目は自治事務に関するナショナル・ミニマム、3番目は法定受託事務(及び国の直接執行事務)だと解釈しているんですが、違いますかね?^^;

注3: 地方自治体が一般市民に法的な義務を課す時に、2つの方法があります。1つが条例、もう1つが規則です。
 条例は議会、規則は首長(都道府県知事、市町村長)が定めます。細かい違いがありますが、ここでは触れません。
 機関委任事務に関することを、条例でなく規則で定めるのは、首長に委任された事務だからです。


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清水ひろかず
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