コーラル・ケイブズデビュー・アルバム試聴コーナープログレッシブ・ロックリンク

コーラル・ケイブズのオリジナル曲を聞いていただき、率直な感想、批評をいただきました。

目次

魔法にかけられて(レイチェル・ウォード)

 私は「コーラル・ケイブズ」の音楽を、おそらく最初に聴くことができて、幸運だったと思います。

 私はたちまちのうちに、その美しく響きあうメロディーによって、まるで魔法にかけられたようにうっとりとさせられました。その音楽はとても穏やかで、心に優しく、あたかも私を遠い別の世界へと誘ってくれるようでした。----妙なる響きで優しくあなたを包んでくれる世界です。この音楽を耳にすれば、あなたもきっとそのような世界を体験されることでしょう。

 この音楽は、本当のミュージシャンが持っている優しさと感性、そして熟達した技術に支えられています。その感性は聞き手をうっとりとさせ、人を穏やかな気持ちにさせます。かと言って、ビートの利いた激しい要素がないわけではありません。「静けさ」と「激しさ」この二つの要素が混じりあったところに、多くの人々に認められるであろう、この音楽ならではの良さがあるのです。

 さあ、椅子にゆっくりと腰掛けてくつろぎ、美しい音に耳を傾けてみませんか。

原文はこちら(訳 藤田 敏幸)

コーラル・ケイブズをYBAの2α(フランス製のプリアンプ)で聞く
 (信次 秀郎)

■ 実はここ一週間ほど、YBAというフランス製のプリアンプ、2αを拙宅で使っています。地中海の爽やかな陽光とは少なからぬ距離を置いた、雲のかかった空の下の街並みの重さが背景にあるような響き。風景やら土地柄ではなく、そこに住む人達や文化が思い浮ぶような鳴り方をする製品です。一方で、豊穣で官能的な表情を持っているアンプ。

この2αで、Coral Cavesの曲を録音したMDを聴いて、初めて作曲者の意図が理解できたように思います。最初はユーロ・プログレッシブ・ロックの系譜に対するノスタルジーを強く感じて、例えれば写真をアルバムに整理するように、思い出に繋がる旋律を丁寧に拾い集めたもの、という印象を抱いていました。

確かにそうした側面は否定できないのですが、クリエイティヴな面も見えて来ました。叙情的でゆるやかに歩を進めるようなモチーフで埋め尽くされた楽曲は、決してシンフォニックな構成を与えられていません。楽曲は予定されたクライマックスを持っていない。どちらかといえば、作り手の心情を解放した演繹法的な展開で、旋律を配置することに意が払われています。そこに、ロマンチックな憧憬を伺うことができるでしょう。憧憬は、響きの彩りをどのように重ねようかというこだわりに表れています。このことを、YBAの2αはよく伝えてくれました。

空間の拡がり、音像定位などはあまり意識されていないようです。音色が織り成す絡みが狙い。それなら、音色を繊細に描き分けるステレオ装置がいるな、と感じました。半端な装置で聴きとれるものだろうか、という危惧です。

■ 面白かったのは、少なからず官能的な表現を備えたYBAでCoral Cavesの楽曲が目を覚ましたところ。来週になる筈ですが、約二箇月振りに私の音が戻ってきます。理知的で細身な音。官能的とは言えますまい。空気感や奥行を、立ち現れる演奏の佇いを、ひたすら追いかけてきたステレオ装置では、果たしてCoral Cavesの音楽をどのように見せてくれるのでしょうか。

興味深いのは、私には明らかに顕れていると感じた官能的な表情を、作り手はどの程度意識していたか、ということ。或は無意識に、だったかもしれません。でも、聴き手はそこに、作り手の人となりを理解する手がかりを見出して、納得しているのです。

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