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お薦めのケルティック・ミュージックCD Part 4
Part 4 1999年6月26日更新分まで 以降は Part 5 へ
The Water Is Wide | Aly Bain & Phil Cunningham | Meav
Eileen Ivers | Noirin Ni Riain | Celtic Aura | Kate Price
Solas | Jameson | De Dannan | Mark Bracken | Davy Spillane
The Water Is Wide ('98)
トリニティー・エンタープライズ TRCD220▼ 曲目
1. The Water Is Wide
/ Tommy Fleming
2. The Irish Rover
/ Dublin City Ramblers
3. Carrickfergus
/ Barleycorn
4. The Leaving of Liverpool
/ Patsy Watchorn
5. Home from the Sea
/ Liam Clancy
6. Alabama John Cherokee
/ The Black Family
7. The Lonesome Boatman
/ Finbar Furey
8. Baidin Fheilimi
/ Na Casaidigh
9. John Williams (Ballad of the Titanic)
/ Johnny McEvoy
10. The Boys of Killybegs
/ Barleycorn
11. Home Boys Home
/ Patsy Watchorn
12. Fiddlers Green
/ The Dubliners
13. Staten Island
/ Johnny McEvoy
14. Donkey Ridin'
/ The Black Family
15. My Love Is a Tall Ship
/ Jimmy Crowley
16. The Holy Ground
/ The Clancy Brothers & Tommy Makem字の色がグリーンの曲については、
トリニティー・エンタープライズのページで試聴可能だ。試聴はこちらから。(MP3)ケルトの海の歌
The Water Is Wide98年にアイルランドの名門レーベル、ドルフィンよりリリースされた、海に関係のあるアイリッシュ・トラディショナル・ミュージックのコンピレーション。
最近国内盤では、あちこちのレコード会社から、矢継ぎ早にコンピレーションアルバムがリリースされているが、どうもタイトルからして、うさん臭げなものが多くあって、つまみ食い的な購買層をねらっているのか、(特に映画「タイタニック」のヒット以来、その類のものが増えた)本格的にアイリッシュ(ケルティック)を聞こうとするファンにとっては、あまり食指の動かないコンピレーションばかりのような気がしていた。しかし、ここに紹介する「ケルトの海の歌」はそんな中にあって、しっかりとした編集方針と、このレーベルならではのミュージシャンの選択によって、オリジナリティー溢れるコンピレーションとなっていて、好感が持てた。今回、国内盤発売元のトリニティー・エンタープライズさんのご厚意で、ライナーノートを書かせていただいたが、本当に聞けば聞くほどに愛着の湧くアルバムだった。
初めて、このCDを手にしたときの印象は、まったく地味なアルバムだなというものだった。曲目、そしてミュージシャンのどちらを取っても、今の売れ筋からは少し離れたところにあるアルバムだった。アルタンやドーナル・ラニー、クラナドやエンヤ、ソラスやアイリーン・アイヴァースといった日本でも名の知れた現在進行形のミュージシャンはほとんどいない。選曲も一時代前のバラッドが中心だった。だが、アルバムを聞いてみて思った。「この世界もやっぱりいいじゃない」と。(「やっぱり」と言うのは私のような古いファンの言葉で、新しいファンなら「けっこう」とかという言葉に変わるはずだ)
思えば、80年代に、ザ・ポーグスが大ヒットしたが、このバンドのリード・ヴォーカリスト、シェイン・マガウァン(現在も健在です)は、ダブリナーズを師と仰いでいた。確かに、ダブリナーズのノリをさらに過激で、パンキーなものにしたところに、ザ・ポーグスの最大の魅力があった。そのシェーンがどうして彼らを師と仰いだのか、この「ケルトの海の歌」で、いくつかバラッドを聞いてもらえば、きっと理解していただけると思う。
60年代のアイルランドやアメリカを席巻したクランシー・ブラザーズ&トミー・メイケム、そして、ドリンキング・ソングの名手、ザ・ダブリナーズ、そして、パッツィー・ワットコーンなど、本当に心弾む、陽気で、かつ心にぐっと来る歌い手ばかりで、現在のアイリッシュ・シーンを一通り、耳にされた方には、特にお薦めのアルバムだ。聞いた後に「この世界もけっこういいじゃない」と納得していただけるはずだ。
こう書いてくると古株ミュージシャンの寄せ集めというふうに聞こえてしまうが、1曲目、タイトル・トラックの"The Water Is Wide" では、現デ・ダナンのヴォーカリストでもある、まだ20代の若手実力派、トミー・フレミングのつややかな歌が聴ける。(しかも、ソロアルバム未収録の曲だ)
トリニティーからの国内盤には私の解説の他、オリジナル英文ライナーの邦訳、ゲール語で歌われる曲1曲を含む全ての歌詞およびその対訳が掲載されており、まさに至れり尽くせり。
さらにゲール語の歌には、カタカナで読み仮名までつけられている。ゲール語の歌というのは、たとえ歌詞が載っていても全く歯が立たないので、このルビは大変ありがたい。他のレコード会社もここまでこだわって国内盤を製作してもらえるとうれしいが・・。なお、トリニティー・エンタープライズのページで、このアルバムから5曲が試聴可能だ。それぞれ、30秒ばかりのサンプルだが、MP3ならではの高音質で楽しむことができる。試聴はこちらのページから。
http://www.trinity-music.co.jp/audio.htmlもし、このアルバムを聴いて、さらに60年代のアイリッシュ・バラッドが聞きたくなったら、それぞれのミュージシャンのベスト盤等をお薦めする。次の更新では、その手のアルバムをいくつかご紹介する予定だ。
The Ruby / Aly Bain & Phil Cunningham ('97)
Green Linnet GLCD 3123▼ Musicians
Phil Cunningham:
accordion, keyboards, whistles, cittern, talking drum & trumpAly Bain:
fiddlesIan Hardie:
double bass on tracks 1 & 8The Ruby / Aly Bain & Phil Cunningham
スコットランド出身のベテラン・ミュージシャン2人による心暖まるインストルメンタル・アルバム。アリィはボーイズ・オブ・ザ・ロック(Boys of the Lough)の創設メンバーでもあるフィドル奏者。フィルは、ご存じシリー・ウィザード(現在は解散)の名アコーディオン奏者。
しっとりとした哀愁溢れるエアから、心弾むポルカやワルツまで、この2人の息もぴったりのコラボレーションは、技もすごいが、それ以上にハートで聞かせてくれる。フィルのソロ・アルバムはこれまでにも2枚ほど聞いているが、アリィと組んだのものを聞くのは今回が初めて。94年に "The Pearl" というアルバムをリリースしていて、97年のこの "The Ruby" は2人にとって2枚目のアルバムだ。アリィ・ベインは46年シェットランド島の生まれ、フィル・カニンガムは60年エジンバラの生まれ。14才もの歳の差のある2人だが、88年にイギリス、チャンネル4の仕事をいっしょにして以来のパートナーシップであるという。このアルバムでは2人が持ち寄ったトラディショナルナンバーに加えて、フィルのオリジナルも3曲ばかり披露されている。2人の演奏はといえば、とにかく情感たっぷりで、ワルツやポルカにリール、そして極めつけのスローエアーに至るまで、誠に心地よく酔わせてくれる。特にフィル自身の作曲によるスローエアーは天下一品で、思い入れたっぷりの演奏にはしみじみと心打たれる。
フィルがシリー・ウィザードに在籍していたのは、10代後半から20代前半の頃で、当時から、その卓越した演奏技術には定評があった。が、すごいと思ったのは、速弾きよりもむしろスローエアーでの演奏だった。アンディ・スチュアートの哀愁溢れる歌を支える、アコーディオンには、まさに大人の風格というか、人に感動を与える術を知りつくしているようなところがあった。そして、もうすぐ40を迎える(まだまだこの分野では若手の)フィルだが、最近ではプレーヤーや作曲家としてよりも、プロデューサーやテレビや演劇の音楽監督としての活躍がめざましい。それもいいけれど、熱烈なファンの一人としては、アコーディオン奏者としてのさらなる活躍と、来日公演を期待したいところだ。
フィル・カニンガムについては、オフィシャル・ページが開設されているので、バイオ、ディスコグラフィー等、詳しくはそちらを参考にされたい。
▼Phil Cunningham Official Web-site
http://www.philcunningham.com
Meav ('98)
K-TEL KCD565▼ Musicians
Meav: vocals, backing vocals & harp
David Agnew: oboe, cor anglais
Mark Armstrong: keyboards
Frank Gallagher: fiddle, viola & whistles
Brian Fleming: bodhran, jenbe, tone drums
Eunan McDonald: backing vocals, mouth musicMeav
元アヌーナに在籍していた女性ヴォーカリスト Meav のソロ・デビュー・アルバム。本名は、Meav Ni Mhaolchatha(日本語フォントにはないが、1つずつある e と i にはアクセント記号つく)だが、ソロになってからは Meav と名乗る。
アヌーナといえば、リバーダンスの聖歌隊で有名だが、Meav もアヌーナの中核メンバーとして、ロンドンやダブリン、ニューヨークでのショウに出演し、一躍脚光を浴びた。97年から98年にかけて、アイリッシュ・ナショナル・コンサート・オーケストラとともに、ソロ・ヴォーカリストとしてアメリカ・ツアーに参加し、キャリアを積んだ後に、このデビュー・アルバムが製作された。
選曲については、数あるケルティック・ソングの中から、彼女自身のお気に入りが選ばれたそうだ。カパケイリーの編曲で有名になった「ロブ・ロイ」のテーマでもある、"Ailein Duinn" 、ヴァン・モリソン、シネイド・オコナー、そしてロリーナ・マッケニットも歌っているたいへんポピュラーな歌 "She Moved Through the Fair" 、ロリーナ・マッケニット作の "Dante's Prayer" 、アルタンの最新作にも収録されていた、"I Wish My Love Was a Red Red Rose" 、そして、歌曲として有名な "Solveig's Song" など、とても親しみのある曲を歌っている。
歌の実力のほうは、さすが元アヌーナというだけあって超一流だ。甘く優しいソプラノ・ヴォイスは聞いていて本当にうっとりとさせられる。夢見心地とはこのことだ。ただ、あまりにも整った声と歌唱方法であるが故に、ドローレス・ケーンとか、カレン・マシスンだとかが持っているようなインパクトはない。が、それは望みすぎというもの。ケルティックな夢の世界へと誘ってくれる、素晴らしいアルバムであることには違いない。
Crossing the Bridge
/ Eileen Ivers ('99)
ソニー SRCS-8898
(国内盤)
Sony Classical SK 60746
(輸入盤)▼曲目
1. Gravelwalk
2. Jama
3. Bygone Days
4. Whiskey & Sangria
5. Crossing the Bridge
6. Nearer My God to Thee
7. Bunch of Keys
8. March Up Fifth
9. polka.com
10. Islanders
11. Crowley's/Jackson's
12. Dear Irish Boyクロッシング・ザ・ブリッジ/アイリーン・アイヴァーズ
99年発表のオリジナル第3作。(前作はベストアルバム)
卓越した技量と、溢れるオリジナリティとを十二分に発揮した会心の作品。ケルティック・フュージョン・ミュージックとでも言ったらよいか、様々な音楽性を取り込んで、それを自分なりの方法で昇華させたまったく斬新なワールド・ミュージックを作り出している。1曲目は、アコースティック・フィドルとエレクトリック・フィドルを駆使したビートの効いたリール。少し聞いただけでも、その強烈な個性を感じ取ることができる。中程のシェイマス・イーガン(ソラス)との火花を散らす掛け合いも素晴らしいが、後半部分のまるでロック・ギタリストのようなエレクトリック・フィドルのヘビーなリフ(しかもディストーションが効いている)には誰しも驚かずにはいられないだろう。Bakithi Kumalo のフレットレス・ベースもびんびんと気持ちよく響いてくるしスティーブ・ガッドも超一流のドラムプレイを聞かせてくれる。これぞアイリーン流の最先端エレクトリック・リールと言った感じ。
2曲目、落ち着いたホイッスルで始まるアフリカンテイストたっぷりのジグ。後半で繰り返される "Jama mata nian." というウォロフ語(セネガル・ガンビアのウォロフ族の言語)のフレーズは「私たちが願うのは平和」と言う意味。カパケイリーもアルバム「美しき荒廃地」でアフリカン・ヴォイスを取り入れていたがそれと同様のアプローチだ。
3曲目は一転して、美しいピアノとストリングスをバックに従えてのピュアーなエアー。フィドルとホイッスルで奏でられる哀愁のメロディーは実に情感たっぷりで酔わせてくれる。このエアーがまたオリジナル曲というから、アイリーンの才能には驚かされてしまう。
そして、4曲目、スパニッシュ・ギターを弾かせては右に出るもののいない、アル・ディ・メオラをゲストに迎えてのケルティック・フラメンコ?? この調子の良さ、ノリの良さ。誰にもまねることのできない、アイリーンならではの世界。ここまでやってくれるとは予想さえしていなかった。演奏のほうがまた、超一流ときて鳥肌が立つ思い。
5曲目に来て、さらなるインパクト。レコードに針を下ろす音に続いて、古びた録音のリールが始まり・・そして針が飛び、針が飛び(これ、ハウス・ミュージックの手法)・・・一転して、ジャジーな現代アメリカ版リールの始まり。・・リバーダンスの中にアイリッシュ・ダンスとアメリカン・タップの競演があったが、まさにそれをやってのけている。トランペット、ダンサー2人のタップ、そしてアイリーンのエレクトリック・フィドルが縦横無尽に駆けめぐる。これは当然オリジナル曲。
6曲目は心なごむフィドルのソロ。
7曲目はアイリーンのフィドル、シェイマス・イーガンのバンジョー、ステイシー・フィリップスのスライド・ギター、ジョン・ドイル(ソラス)のリズム・ギターが活躍するトラディショナル・ナンバーで、全体にアメリカっぽい響きが濃厚だ。8曲目はハモンド・オルガンをフィーチャーした、アイリーンならではのケルティック・フュージョン・ナンバー、後半の盛り上がりでは、アイリーンのエレクトリック・フィドルが凄まじい演奏を繰り広げる。
9曲目、アイリーンのフィドルとトミー・ヘイズのボーランによる、斬新なポルカ。ちょっと他では聞けません。10曲目はラテン風、味付けのナンバー。アイリーンの生まれ故郷アイルランドとはまったく異なる、気候、風土、文化がそこにある。本当に幅広い音楽性を身につけた人だと感心してしまう。
そして、最後の2曲はともにトラディショナル・ナンバー。
11曲目はフィドル、ギター、ボーランによる躍動的な演奏、そして12曲目は悲哀のこもるメロディーを情感いっぱいに表現している。アイリーンは、この5月末のチーフティンズの来日公演にゲストとして参加した後、6月初めには東京、大阪でソロ・ライブを行う予定。詳しくは、「コンサート情報」のページへ。
また、その他アイリーンについて詳しくは、
「ケルティック・ミュージック、その新しい形(1)」
のこちらをご覧ください。
Caoineadh na Maighdne
/ Noirin Ni Riain ('80)
Gael-Linn CEFCD 084
トリニティー・
エンタープライズ
CEFCD 084
Vox De Nube /
Noirin Ni Riain & Monks of Glenstal ('89)
Gael-Linn CEFCD 144
トリニティー・
エンタープライズ
CEFCD 144聖母マリアの歌/ノイリン・ニー・リアインとグレンスタル大修道院の修道士たち
雲からの声/ 同
「聖母マリアの歌」と題された、アイルランド、リマリックのグレンスタル大修道院で録音されたアイルランドの伝統宗教歌集。録音は1979年と、すでに20年前のもの。しかし古さは感じさせない。いや、それどころか時間を超越した世界がそこにはある。ただ、私たち日本人にとって、キリスト教の宗教歌と言うのはほとんどなじみのない世界ではある。ケルティック・ミュージックを日々糧のようにして暮らしている私にとっても、日頃親しんでいるのは、言わば「俗」の世界の音楽であって、このような「聖」の世界のものではない。わずかに「アヌーナ」など一部のミュージシャンの音楽で間接的に触れることがあるだけだ。
しかし、ノイリンの歌を聴いていると、少しずつそこには私たちが慣れ親しんだ音があることに気付いてくる。ケルト民族の血のなせる業とでもいったらよいだろうか。・・まずは言葉だ。多くの曲がゲール語(アイルランド語)で歌われている。ゲール語の持つ独特な響き・・・そこから生まれる歌には自ずとアイルランドの香りが漂っている。そしてもう一つ、ノイリンの節回しや、小節の付け方だ。全曲ともノイリン自身の手による編曲だが、そこにはやはり、アイルランドのシャン・ノースに通ずるものを感じとることができる。
5世紀のセント・パトリックによる布教で、キリスト教はアイルランドに全土に広まったが、それはキリスト教文化とケルト文化の融合の始まりでもあった。・・音楽の世界でもこの2つの文化が相互に影響を与え合うこととなる。
しかし、このアルバムを聞きながら、「このへんはケルト的だ」などと詮索することにはあまり意味がないのかもしれない。さらに言うならば、宗教歌であることを、取り立てて問題にする必要さえないのかもしれない。
ノイリンの清らかな歌と、美しい修道士たちのコーラスを聞いて心洗われる体験をする。この世にいて、この世ならぬ天上の響きに触れる。それだけで目的は達成されたと言ってよいのではないか。それだけでも十分に、聞く価値のあるアルバムだと言える。
20年たった今もノイリンの魅力は輝き続けている。さて、「聖母マリアの歌」からほぼ10年近くたって製作されたのが、89年の「雲からの声」だ。こちらはローマカトリック教会の聖歌を取り上げており、ラテン語あるいはゲール語による歌詞が中心だ。全作と同じく静謐な美しさに溢れたアルバムだ。何曲かで、インディアン・ハルモニウムによる伴奏が加わっているのが印象に残った。
▼参考ページ
Gael-Linn のオフィシャルサイト(あまり情報はありませんが)
http://www.gael-linn.ie/
トリニティー・エンタープライズ(国内盤発売)要チェック!
http://www.trinity-music.co.jp/
Celtic Aura ('98)
Gaellinn CDTCD-X 008
国内盤 トリニティー・エンタープライズ CDTCD 008▼ミュージシャン
1. De Dannan
2. Clannad
3. Brian Hughes
4. Aoife Ni Fhearraigh
5. buttons & Bows
6. Mary Black and General Humbert
7. Carl Hession and Celtic Orchestra
8. Paddy Glackin
9. Padraigin Ni Uallachain
10. Paul Brock and The Moving Cloud
11. Seasaimhin Ni Bheaglaoich
12. Mary Bergin
13. Dolores Keane
14. Frankie Lane
15. Maighread Ni Dhomhnaill
16. Sean Ryan
17. Dordan
18. Padraic Mac Mathunaケルティック・オーラ
Celtic Aura (the Irish Traditional Music special)1958年の創設以来、アイリッシュ・トラディショナル・ミュージックをリリースし続けてきた、「ゲール・リン」レーベルのスペシャル・コンピレーション・アルバム。
ミュージシャンの質の高さはもちろんのこと、このCDでは18トラック全てを、デジタル・リマスターしているおかげで、音質的にも優れたものになっている。(普通この手のコンピレーションで、そこまで手をかけていることは少ない)比較的録音の古いトラックでさえ、非常にクリアな音で蘇っている。さて肝心の中味だが、順番に紹介していこう。
1曲目は、デ・ダナンの 3rd アルバムからのリール。ギター、フィドル、バンジョー、アコーディオンによるスリリングで畳みかけるようなリールの演奏は圧巻。
Dulaman / Clannad
Gael-linn CEFCD 0582曲目は、クラナド初期のアルバム "Dulaman" からの選曲。まだ、フォークしている時代のものだが、さわやかなコーラスが美しい。
3曲目は、ブリアン・ヒューズのティン・ホイッスルによるリール。ノリと言い、テクニックと言い申し分のない演奏で、心が弾む。バックのベースやギターにまで勢いがある。
Aoife / Aoife Ni Fhearraigh
Gael-linn CEFCD 172
(これがオリジナル・ジャケット)4曲目は、すでに「お薦めのCD、パート2」で紹介しているイーファ・ニ・アーリのデビュー・アルバムよりの選曲。穏やかな曲調のソングでイーファの美しい声に思わずうっとりさせられる。間奏で入るイーリアン・パイプも泣かせてくれる。イーファのこのアルバム、プロデュースはクラナドのモイア・ブレナンでコーラスの処理などまさにクラナドそっくりだ。
5曲目。Buttons and Bows(ボタン・アコーディオンの「ボタン」とフィドルの「弓」の意)というバンドの軽やかなホーンパイプ。バンド名の通りで、ボタン・アコーディオンとフィドルが大活躍する「いかにも」という曲。
General Humbert II
Gael-linn CEFC 098
(カセットのみ)6曲目。有名な 'Mo Ghile Mear'(我らが英雄)を歌うのはメアリー・ブラックだが、ソロデビュー以前に "General Humbert" というバンドで歌ったもの。アイリッシュ・ミュージックを英語で歌ってヒットしたソロに比べて、伝統的な歌唱法に忠実なこの時代のメアリーの方が私は好きだ。聞いていてぞくぞくするほどのピュアーな美しさに溢れている。"General Humbert" のCDは現在発売されていないらしいが是非復刻してもらいたいものだ。因みに、この曲、チーフティンズの「ロング・ブラック・ヴェイル」でスティングが歌っているので聞き比べてみるのも一興だ。
7曲目はカール・へッションの3枚目のアルバムから。バックにオーケストラを従えての軽やかなアコーディオンの演奏だ。ジャケットにはリールとあるが、これジグの間違い?
8曲目は、フィドルの名手、パディー・グラッキンによるリール。つぼを心得た伴奏および編曲は、ドーナル・ラニー。二人の息もぴったり合って、スリリングな演奏はさすがだ。
an dara craiceann / Padraigin Ni Uallachain
Gael-linn CEFCD 1749曲目、弦楽の演奏をバックにアルスターの伝統歌を歌うポードリギーン・ニ・ウーラホーン。アルスター地方では、このような歌は 'big song' と呼ばれるそうだが、とても情感豊かで、聞くものに静かな感動を与える曲である。
10曲目は、アコーディオン奏者、ポール・ブロックのファースト・アルバムから気持ちの良いホーンパイプだ。
Under The Sun / Seasaimhin Ni Bheaglaoich
Gael-linn CEFCD 17011曲目、ウェスト・ケリー出身のシオサーウィーン・ニ・ウァグルイーが歌う、故郷のゲールタハト(アイルランドで現在でも、ゲール語を母国語として使っている地方)コルカ・ディーナの伝統歌。なぜこんなにも素晴らしい資質を持ったヴォーカリストが多いのか。控え目なキーボード(オルガン)の演奏をバックに、去っていった恋人の歌を歌う。深い悲しみの裏に、でもどうすることもできないというあきらめがある。アイルランドのソングからは、時々そんな「あきらめ」の気持ちが漂ってくる。われわれ日本人の持つ仏教的無常感にも似た感情だ。そのような歌い方が、かえって悲しみを、そして聞く者にとっての感動を深いものにしている。
12曲目、メアリー・バーギンのティン・ホイッスルによるリール。3曲目のブリアン・ヒューズなどと比べると、よりトラディショナルなノリの演奏だ。メアリーの端正な演奏もこれまた味わい深い。
13曲目、おなじみのドロレス・ケーンのジョン・フォークナーとの共作アルバム、'Sail Og Rua' からの曲。存在感溢れるドロレスの声はいつ聞いても素晴らしい。
14曲目、フランキー・レインによるドブロー(ギターの一種?)を使ったエアー。
15曲目、ドーナル・ラニー・バンドのヴォーカリストとして来日したこともある、モレート・ニ・ゴーナルのソロ・アルバム「ノー・ダウリー」の一曲。プロデュースはドーナル・ラニー。ステージでは恥ずかしそうにしていたが、歌の方は堂々としたもので、見事な歌唱力で聴衆を圧倒していた。
16曲目、ショーン・ライアンのティン・ホイッスルによるリール。ピアノを伴奏に抜群のリズム感とテクニックを聞かせてくれる。
17曲目。アイルランドの伝統曲からバロック音楽までこなすという、ドルドーンの演奏するエアー。フィドル、ハープ、フルートのアンサンブルが美しい。
Blas Na Meala / Padraic Mac Mathuna
Gael-linn CEFCD 157最後の18曲目はちょっと楽しい演奏だ。イーリアン・パイプによる、あの「テネシー・ワルツ」だ。こんなのを聞くのは初めて。パイプのひなびた音色が実に言い雰囲気を出している。演奏はポードリック・マク・マフーナ。「美しい音色の蜂の巣」というデビューアルバムからの一曲。ワルツの後はリールで締めくくっている。
以上全部で18曲、アイルランドの伝統曲の様々なバリエーションが楽しめる。しかも、本格的なトラディショナル・ミュージックを聞かせるミュージシャンが中心で、さすがは「ゲール・リン」レーベルだと感心させられる。
▼参考ページ
Gael-Linn のオフィシャルサイト(あまり情報はありませんが)
http://www.gael-linn.ie/
トリニティー・エンタープライズ(国内盤発売)要チェック!
http://www.trinity-music.co.jp/
Deep Heart's Core
/ Kate Price ('95)
ベル・アンティーク
BELLE 96265▼曲目
1. The Labyrinth
2. Rio Del Corazon
3. Sonatina Montenegro
4. Place of Spirit
5. Rest Sweet Nymphs
6. The Journey On
7. Temple of the Wind
8. Siuil A Ruin
9. Eliz Iza - Jump at the Sun
10. So Ghostly Then the Girl Came In
11. Love To You (*Japanese bonus track)Deep Heart's Core / Kate Price
ケルトの血を引くカリフォルニア生まれの、ケイト・プライス、95年の7枚目のアルバム。
(国内盤としては他に93年の 'The Time Between' が同じベル・アンティークから発売されている)
ケイト・プライスのソロ・デビューは84年。帯に「アイルランドにエンヤ、カナダにロリーナ・マッケニット、そしてアメリカにはケイト・プライスあり」という謳い文句があるが、声量豊かでかつ透明感のあるその声は、特にロリーナ・マッケニットに通ずるところがある。
演奏の方は、ケイトの弾くハンマー・ダルシマーに加えて、ヴァイオリン(フィドルではない)、チェロ、ギター、シタール、ベース、パーカッション、ホイッスル、ホルンなど、曲の雰囲気によって実に様々な楽器が使われている。中でも、ケイトのハンマー・ダルシマーの流麗な響きは特徴的だ。
楽曲はほとんどがオリジナル曲で、これまたロリーナ・マッケニットに通ずる、ミステリアスなムードの世界がくり広げられている。
(最後の曲、"Love To You" だけが妙にポップな感じでアルバムにそぐわないと思ったら、これは日本盤だけのボーナス・トラックだった)
トラディショナル・ナンバーは、8曲目の有名な "Siuil A Ruin" と9曲目の "Eliz Iza--Jump at the Sun" の2曲のみ。だが、全体的にケルティックな雰囲気は希薄だ。というか本人にとって、ケルトは自分のルーツであり、イマジネーションの源ではあるが、むしろそこから一歩踏み出て、独自の音世界を構築することにこそ彼女のエネルギーが注がれているように思われる。これは、ロリーナもエンヤも同じ。ただ、まだこの2人程のオリジナリティの域には達していないような感じもするがどうだろう。とは言え、ロリーナ・マッケニット・ファンにはお勧めのアルバムである。
The Words That Remain
/ Solas ('98)
Shanachie 78023
国内盤 グリーンエネジー GECC3821▼曲目
1. Pastures of Plenty
2. The Stride Set (Reels)
3. The Waking Up Set (Jigs)
4. The Grey Seichie
5. Song of Coice
6. La Bruxa
7. I Am a Maid that Sleeps in Love
8. The Vega Set (Jigs)
9. A Chomaraigh Aoibhinn o
10. Sproggies Set (Reels)
11. The Beauty Spot (Reels)
12. Sraid an ChioigThe Words That Remain / Solas
昨年12月の Celtic Christmas コンサートでの素晴らしい演奏がまだ記憶に新しいソラス。そのソラスが来日直前にリリースした3枚目のアルバム。
アコーディオン奏者がジョン・ウィリアムズからミックマッコーリーに代わっているが、基本的には第1作、第2作の延長線上にある音作りだ。ジョン・ドイルのアコスティック・ギターによる激しいリフに、他のメンバーのメロディーが乗っていくソラス・スタイルは健在だ。
今までと違うところと言えば、エレクトリック・ベースやドラムを積極的に導入しているところ。この点に関しては評価の分かれるところかもしれないが、私個人としては大いに歓迎だ。ベースやドラムの導入が特にボーカル曲でいい雰囲気を作っている。7曲目のカランが歌う"I am a Maid that Sleeps in Love" の持つ、しなやかで、リラックスした心地よさ。・・・今までになかったこの音づくり。しかし、これは紛れもなくソラスの音だ。今後、この方向が彼らのスタンダードになっていくような予感さえする。きっと彼らはさらに幅広い層の支持を受けていくことになることだろう。
さて、そんなポップな路線を探る一方で、これまでの職人芸的なリールやジグへのアプローチもまだまだ健在だ。3曲目のジグ・セットの中の2曲目はカパケイリーがサード・アルバム「サイドウォーク」でも取り上げていた曲。ソラスのファースト・アルバムでもカパケイリーと同じ選曲があって、リズムを重視する2つのバンドの共通点が見て取れた。今後は、さらなる電気楽器の導入によって、リズム・パートを強化していくのではないか。
歌、演奏ともに、第1、2作を越える新たな高みに到達した、ソラス会心のサードアルバムである。
98年度のケルティック・ミュージック・シーン、ベストCDの一枚。
▼ソラスについて詳しくは、こちらを。
▼コンサート・レポートはこちらを。
JAMESON The Spirit of Ireland ('98)
非売品▼曲目
1. Brown Eyed Girl ('68)
/ Van Morrison
2. Post the Point of Rescue ('89)
/ Mary Black
3. The Fisher King ('96)
/ Anuna
4. Whiskey in the Jar (Live '77)
/ The Dubliners
5. The Trip to Sligo ('71)
/ The ChieftainsJAMESON The Spirit of Ireland
この12月にアイリッシュ・ウィスキー "Jameson" を買うとおまけについてくる8cmCD。
おまけとは言いながら、結構充実した内容のミニ・アルバム。曲目は左記の5曲。
1曲目のヴァン・モリソンはもう30年前の録音。今になって、ケルティックを貫禄たっぷりに歌うことになるとは本人さえ想像していなかったであろう頃の作品。
2曲目はメアリー・ブラックの大ヒットアルバム "No Frontiers" の2曲目にも収められていた曲。ただし、アルバムとは全く別のテイクで、アルバムに比べ少しテンポを落として、ベースを強調した、全体にリラックスした雰囲気漂うバージョン。これはファンにはうれしいトラックだ。
3曲目はアヌーナ。96年の"Anuna, Deep Dead Blue" というアルバムからの選曲で、デビュー当時にくらべて、レパートリーが広がっていることが分かる曲。
4曲目は、ぐっと雰囲気が変わって、ザ・ダブリナーズの十八番 "Whiskey in the Jar" だ。今年9月のジム・マッカンの来日コンサートでもやっていた。77年のライブ録音。クリスマスはこの曲でも流しながら大いに飲み明かそう。
最後はザ・チーフティンズのこれまた古い録音。出典は3枚目のオリジナルアルバム "The Chieftains, 3"(71年)だ。端正な演奏には気品が溢れている。さすがにチーフティンズ。
Hibernian Rhapsody
/ De Dannan ('96)
Shanachie 78005▼ミュージシャン
Frankie Gavin: fiddle & flutes
Alec Finn: bouzouki & guitar
Colm Murphy: bodhran
Derek Hickey: accordion
Tommy Flemming: vocalsHibernian Rhapsody / De Dannan
今年のケルティック・フェスティバルへの参加が公表されながら、結局実現しなかった、デ・ダナン。このアルバムは96年発表の現時点での未だ最新作だ。
20年以上にわたるキャリアの中で、ドロレス・ケーン、メアリー・ブラック、モーラ・オコンネル、そしてエレノア・シャンりーと超一流の女性ヴォーカリストを輩出したバンドだが、今回のアルバムでは新たに、録音当時若干22才の若手男性ヴォーカリスト、トミー・フレミングを迎えている。フィドル/フルートのフランキー・ゲイヴィンとブズーキー/ギターのアレック・フィンを核とするデ・ダナンもそろそろ円熟の境地を迎え、男性ヴォーカルならきっと渋い声の持ち主の登用ではなかろうかと勝手に想像していたが、予想は見事にはずれた。
トミーは張りのある声を持った絶唱タイプのヴォーカリストで、おかげでアルバム全体が明るく活気ある空気に満ちている。聞き込んでいくうちに、このトミーのヴォーカル起用が少しずつなるほどと思えてくるようになった。声量たっぷりで朗々と歌う様はメアリー・ブラックとよく似ているのだ。デ・ダナン伝統の明るい音色とトミーのヴォーカルはよくマッチする。ところで、このアルバムのタイトル曲 "Hibernian Rhapsody" には全く驚かされた。30代のクイーン世代なら跳び上がって喜ぶだろう。あの Queen の名曲「ボヘミアン・ラプソディー」のアイリッシュ・アコスティック・バージョンにデ・ダナンが挑戦しているのだ。("Hibernian" というのは元ラテン語で「アイルランドの」という意味の語だ)
これまでにもビートルズの曲を取り上げたりはしている。が、しかし、この「ボヘミアン・・」は元が複雑きわまるオペラ仕立てのロックだけに、この見事なアレンジには全く舌を巻いていまう。誰が、これほど素朴でひなびたアイリッシュ調の「ボヘミアン・・」を想像できたであろうか。とにかくこの曲だけでも一聴をお薦めする。(クイーン・ファンならなおさら)
アルバム最後に収録されている "Danny Boy" もまた、いい感じに仕上がっている。デ・ダナンについて詳しくは
ケルティック・ミュージックの深淵へと
「アイルランド編」をご覧下さい。
Celtic Dawn
/ Mark Bracken
('95)
ドーモレコード DJCP-50030▼ミュージシャン
Mark Bracken: Nylon and Wire Harps, Psaltery, 6 String Guitar, Synthesizer
Rosemary Beland: Synthesizer
Mark Rodgers: Cello▼試聴コーナー
1曲目「ケルティック・ドーン」の冒頭30秒ほどが試聴できます。リアル・オーディオ、及びWAVファイルをそれぞれ2種類用意しました。●WAVファイル
celtic_1.wav (683k)stereo
16bit22kHz,IMA-ADPCM圧縮
celtic_2.wav (171k)mono
16bit11kHz,IMA-ADPCM圧縮
●Real Audioファイル
celtic_3.ra (306k)stereo
(Dual ISDN レベルの高音質)
celtic_4.ra (61k)mono
(28.8モデムレベル)サウンド・データの使用に関してはドーモレコードの許可を得ています。(転載を禁じます)
ハープに刻まれたマーメイド (試聴できます!)
/マーク・ブロッケン
ニューエイジ、ヒーリング系の日本のレーベル、COCOROサウンドからリリースされた、アメリカはピッツバーグ出身のケルティック・ハープ奏者マーク・ブロッケン、95年のアルバム。
非常に素朴でありながら、美しいメロディーを持つアイルランド民謡調の曲が大半を占める。しかし意外なことに、トラディショナル・ナンバーは1曲のみであとは全てオリジナル曲だ。このことだけでも、演奏者のケルティック・ミュージックへの傾倒ぶりがうかがえる。
このアルバムの録音に使用されたケルティック・ハープは、ハープ職人として有名なロナルド・ウォールという人の作というが、録音のすばらしさも手伝って、実に美しくすがすがしい響きを奏でている。聞いていて大変心地よく、それが故、ヒーリング系のレーベルからの発売となっているのだろうが、エンヤなどと比べれば、はるかにトラディショナルな芳香を放っていて、ケルト指向のヒーリング・ミュージックという言葉で片づけてしまうだけでは、誠に惜しい気がする。(日本ではヒーリング・ミュージックとして売った方がよく売れるのかも知れないが・・)
1曲目のタイトル・トラック "Celtic Dawn" のメランコリックで哀愁を帯びた旋律を聞けば、誰しもマーク・ブロッケンの作曲家として質の高さが理解できるだろう。ケルティック・ハープの音色の美しさが堪能できるアルバムである。
The Sea of Dreams
/ Davy Spillane
('98)
Covert Records COVERT-1676
国内盤: ソニー
SRCS-8878 \2520▼曲目
1.River of Gems
2.Big Sea Ballad
3.The Dreaming of the Bones
4.Daire's Dream
5.Inagh
6.Midnight Walker
7.Danny Boy "The Derry Air"
8.The Dreaming of the Bones (Instrumental)
9.Equinox
10.The Sea of Dreams
11.The May Morning Dew
12.My Heart Will Go On (Love Theme from "Titanic") (Bonus Track)▼ミュージシャン
Uilleann Pipes and Low Whistles: Davy spillaneKeyboards: James Delaney, Colin Boland, David Hentschel, Mark Portmann, Tony McAnany
Guitar: Greg Boland, Mark Thompson
Bass: Tony Molloy
Percussion: Paul Moran, Glen Velez
Programming: Greg Boland, David Hentschel, Scott Frankfurt, Rick Wilson, Mark Portmann, Tony McAnany
The Sea of Dreams / Davy Spillane
デイヴィ・スピラーンの98年リリースの最新アルバム。前作にもまして、ゆったりとした抒情的な作品が多くなっている。
ヴォーカルにシネイド・オコナーが2曲参加。3曲目の "The Dreaming of the Bones" 及び7曲目の "Danny Boy" である。
このところ、多くのミュージシャン、それもトラディショナル畑のミュージシャンとの親交を深めつつあるシネイドだが、最近、そのトラディショナル・シンギングにますます磨きがかかってきた。このダニー・ボーイの研ぎすまされた表現力には誰しも舌を巻くに違いない。曲の途中から、デイヴィのロー・ホイッスルとイーリアン・パイプ、それにストリングスが加わり、シネイドのヴォーカルを包み込み、深い感動を呼ぶ。これほどのダニー・ボーイは今まで、聞いたことがない。さて、アルバムはシンセサイザーの重低音をバックに、空間一杯に広がるイーリアンパイプの音色で幕を開ける。
今回のアルバムで驚きだったのは、David Hentschel の名前が新たに加わっていることだ。キーボードの演奏とプログラミング、さらに3曲ばかりアレンジにも参加している。プログレッシブ・ロックのファンなら、ご存知かも知れないが、後期ジェネシスが最も叙情的なアルバムを作っていた頃('76〜'78)のプロデューサーである。シンセサイザーの重低音と美しいパイプの音の幻想的な対比を聞いていると、David Hentschel の存在がなるほどと納得できる。
2曲目もまた、ストリングスとコーラスの静かな響きをバックに、パイプとホイッスルが切々と歌い上げる曲だ。
3曲目は前述の通り、シネイドのヴォーカルによる曲。陰影のある、哀愁のこもった歌だ。
4曲目のインストルメンタル・トラックもゆったりとしたテンポのしっとりとした曲。アルバム全体にわたって言えることだが、前作に比べて、ドラムやパーカッションは控えめで、必要最低限しか使われていない。
5曲目では、テンポを落としたジグの演奏が聴ける。
6曲目は、分厚いシンセ・ストリングスをバックに見事なパイプの演奏が披露される。このパイプの音色を聞いていると、イーリアン・パイプが、表現力のある本当に素晴らしい楽器だということが実感できる。もちろん、デイヴィの名人芸的な高度な演奏技術によるところが大きいだろうけれど・・。
7曲目は前述の「ダニー・ボーイ」だ。
8曲目は、3曲目 "The Dreaming of the Bones" のインストルメンタル・バージョン。
9曲目は、パイプがリードを取る、リラックスした雰囲気の軽めの曲だ。
10曲目タイトル・トラックは、哀愁溢れるアコスティック・ギターのアルペジオで始まるこれまたしっとりとした美しい曲。デイヴィのロー・ホイッスルとパイプの魅力が堪能できる。ロー・ホイッスルの小節の回し方など日本の尺八に通じるところがある。
11曲目はロー・ホイッスルのソロ。どの曲も、アイルランドのトラディショナル・ミュージックのアプローチからは、離れてはいるが、ロー・ホイッスルやパイプの演奏に溢れんばかりのアイリッシュ・スピリットを感じることができる。
最後はボーナストラックとして、映画「タイタニック」のラブ・テーマのインストルメンタル・バージョンが収められている。エレキギターも活躍してこのアルバムの中では、最も華やかな雰囲気を持つ。(少し違和感さえあるが・・)このアルバム、ゆったりとして、深い感動を誘う、美しい作品が多く収められている。前作のニューエイジ的な指向の延長線上ではあるが、さらに純度の高い、デイヴィならではの静かなアイリッシュ・スピリット溢れるアルバムだ。
それにしても、デイヴィの演奏を聞いていて、本当にうまいと思う。リズムで圧す初期の演奏もいいが、最近のスピリチュアルな作品では、彼のうまさが一段と引き立っているような気がする。ドーナル・ラニーのアルバムで気持ちよく疲れたあとに、最高の一枚である。デイヴィ・スピラーンについて詳しくはこちらを。
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