人口問題
◎ 人口問題の解決へ『食糧安保』を明記
「国際人口開発会議『行動計画』のさらなる実行のための重点行動」と題した事務総長報告書は、人口問題を解決する「行動計画」の達成に向けた国際的な取り組みを一層促進するために出された。報告書は「行動計画」が達成すべき目標として、貧困の削減や持続可能な開発、性の平等化などとともに食糧安保が盛り込まれた。(7/4・日本農業新聞)
◎ 世界の人口 60憶人突破
米商務省統計局がインターネット上で表示している「人口カウンター」によると世界の人口が18日夜(日本時間19日午前)、60憶人を突破した。カウンターは、人口の爆発的な増加に警鐘を鳴らす意味で同省が設置しているもの。
同省が今年1月に公表した世界人口報告は、世界人口が2025年に80億、2050年には93億人に達すると予測している。(7/20・読売)
国連の推計によると、インドのの人口が独立記念日に当たる15日、10憶人の大台に乗る。
インドの人口は1947年の独立当時、約3億4500万人だったが、その後50年余りでほぼ3倍に急増した。。
最も人口の多い中国は1980年に10億人を突破し、現在は約12憶6700万人。しかし、人口の増加率はインドが上回っており、今のペースが続けば、2045年に15億人達し、中国を追い抜くという。
今年現在、中国、インドにつづいて人口が多いのは、米国(約2億7600万人)、インドネシア(約2億900万人)、ブラジル(約1憶6800万人)で、日本(約1憶2700万人)は9位である。
◎ 国連人口基金1999年版「世界人口白書」を発表
世界人口が10月12日に60億人の大台に達する見とおしであることを明らかにした。
白書は、今年を20世紀の100年を振り返る節目の年と位置付け、「今世紀初頭の世界人口は約15億人だったが、60年までに2倍になり、今年は4倍の60億人に達する。これほどの人口増加率は人類史上経験がない」と指摘。食糧や水不足、環境破壊など、「世界60憶」が21世紀の世界に及ぼす深刻な影響に警告している。
白書は、15歳から24歳の若者人口は10億人とこれまでにない数に達しており、今後の「人口暴発」の危機が去っていないとの見解を示している。
◎ 地球延命「人口70億人に抑制」必要 ・・・ワールドウオッチ研究所
新世紀のの課題は気温と人口の安定化だとする、2000年版の地球白書を発表した。
この白書は地球の健康状況を診断するねらいで、毎年発表されている。
人口増とともに生態系の破壊は加速している。
一方、地球の温暖化が顕在化していて1990年代は記録的高温になり、30年で地球の平均気温は、0.44度あがった。南極や氷河の氷も急速に解けており、アルプスなどで氷の中から何千年も前の人が見つかっているのは「地球が温暖化しているという祖先からのメッセージ」とした。
新世紀の課題はまず、国連が2050年までに90億人近くに見込む人口を70億人に抑えること。そのためには世界的な家族計画と教育が必要だとみる。
一方、気温の安定化には、化石燃料中心のエネルギー供給から、風力、太陽などの再生可能なエネルギーに移行させる必要があるとした。
このほか、地球の将来にとって重要な問題として、地下水位の低下による水不足の深刻化と、アフリカでのエイズの拡大を挙げた。
◎ 出生率の低下
99年の「人口動態統計」(厚生省)の推計によれば、同年の日本の出生数は約117万5000人で今世紀最低を更新し、少子化の一段の進行を印象づけた。
少子化は一般に出生率の低下を意味するが、より正確には出生率が人口の置換水準以下に下がることを指している。
置換水準とは人口を増減しない状態に保つのに必要な出世率の水準で、合計特殊出生率(合計出生率=近似的には女性1人が生涯に生む平均的な子どもの数)で表現すれば、日本の置換水準は現在2・07である。
98年の合計出生率は1・38に過ぎないから、これが長期間続けば人口は減少に向かうはずだ。実際、国立社会保障・人口問題研究所の97年推計(中位推計)によれば、日本の総人口は2007年をピークに減少に向かい、21世紀を通じて減り続ける。合計出生率が置換水準に回復しなければ、日本の人口はその後減り続ける。
超長期を考えた場合は、日本の人口はどのような姿になるのであろうか。
いま98年の合計出生率の1.38が将来も変わらず続くと仮定すれば、日本の人口は年率1・37%減り続け、ちょうど50年で半減することになる。
この状態が不変ならば、日本の人口はおよそ500年後に現在の千分の一、千年後はには百万分の一、つまり130人ほどになり、生物学的には、絶滅の危機にひんする。これはもちろん極端な仮定に基づく計算に過ぎないが、現在の日本の出生率がいかに低いかを物語っている。
◎ 平均年齢40.0歳・・・日本が世界最高
ドイツ連邦人口研究所が4月14日公表した昨年の世界各国国民の平均年齢を調べた結果によると、日本とイタリアが40.0歳で世界一高く、日本の少子高齢が進んでいることを裏付けた。第三位はドイツの39.7歳。
若い方の一位はパレスチナのガザ地区で14.4歳。次いでウダンガ15.0歳、ナイジェリア15.8歳の順、世界全体の平均年齢は26歳。
同研究所は「アフリカとアジアで多産傾向が強いことが、全体の平均年齢を押し下げている」と分析している。
日本の平均寿命も世界一で80歳。アイスランドとカナダが79歳で続き、世界全体の平均寿命は65歳だった。最も平均寿命が短かったのは、アフリカのシエラレオネの37歳である。
◎ 太りすぎ12億人・・・飢餓人口と同じ
米国の環境団体「ワールドウォッチ研究所」はこのほど、国連や各国の研究機関の資料をもとにまとめた報告書「世界情勢2000」を発表した。そのなかで食生活の変化に伴う問題を取り上げ、地球規模の繁栄の裏で起きている開発のゆがみを指摘している。
報告書によると、慢性的な空腹状態などの飢えに苦しむ人口は少しずつだが減少傾向にある。これに対し、食べすぎやファストフーズなどの急増に伴う栄養の偏りにより、太りすぎる人口が史上最大の増加傾向を示している。
その筆頭は米国で、過去20年間に太りすぎや肥満の子どもが50%も増えた。
同国では国民が食べる「野菜」の2割はジャガイモのフレンチフライやポテトチップスになっている。
途上国でも、たとえば中国では大人の太りすぎが、1989年の9%から3年後は15%に増え、ブラジルとコロンビアは全人口に占める太りすぎの割合がそれぞれ31%と43%にのぼるなど、欧州並みに近づいている。
途上国でも太りすぎが増える背景について、地方から都会に移住した人々が、
収入は変わらなくても甘みや脂肪の多い食べ物があるため、人間の欲求で食生活を変えてしまう傾向を指摘している。
報告書は太りすぎの増加により、慢性病が増えて医療費の負担が先進国に重くのしかかる事態を警告。逆に途上国では、太りすぎが富裕層に集中しているため、有力者の影響力で医療対策が慢性病に偏り、大多数の飢えた人々がかかりやすい伝染病への対策がおろそかにされる恐れに危機感を訴えている。
肥満の判定
BMI(Body Mass Index)
BMI= 22を標準。BMIは「体重kg/(身長m)2乗」により算定
BMI 判 定 |
< 18.5 やせ
18.5≦ 〜<25 正常
25≦
肥満
(日本肥満学会 肥満の判定基準より) |
◎ 環境汚染 男の赤ちゃん減らす?
出生児に占める男児の割合が、過去四半世紀の間に特定の市町村で目立って減っていることが、環境NGO(非政府組織)「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」(会長
立川 涼元高知大学長)の全国16都道府県を対象とした市町村別調査の中間報告で明らかにになった。
減少した地域は、環境汚染が問題視されているところが少なくない。同会議は、ダイオキシンなどの環境ホルモン(内分泌かく乱物資)と出生比率との関係についてさらに調査するとともに、国に本格調査に乗り出すよう提言している。
男児の割合は0.516〜0.517とされ、女児より約6%多く生まれる。ところがここ20年〜30年間に先進国では男児の割合が徐々に低下し、日本では1990年後半に0.513まで下がった。
その原因を探るため、同会議し16都道府県を対象に、人口動態統計の手法が現在と同じになった74年から97年までの計24年間の出生性比の推移を調べた。
は虫類のメス化など環境ホルモンが生物の性に介入することが知られており、こうした化学物資がヒトの性にどう影響するかを調べる目的もあった。
第1期(74〜81)第2期(82〜89)第3期(90〜97)に分け市町村別に傾向を調べ、今回の中間報告では、神奈川県、静岡県、奈良県の解析結果が出た。
男女比率が逆転し、女児の出生が男児を上回る地域が、1期には3県合わせて10市町村だったのが、3期には24市町村に増えた。
神奈川県は、河川に流れ込む工場排水による7年近いダイオキシン汚染が明るみに出た藤沢市や、ゴミ処理施設のある秦野市、大都市圏の横浜市などで、減少傾向が表れた。とくに秦野市は、1期の0.519が3期には0.506に減った。
静岡県は、三島市が1期の0.511から3期の0.492に下がり男女比が大きく逆転した。異常値を出した市町村の多くで、海の関係が示唆された。平地の農業で使われた農薬との関係が疑われる地域もあった。
奈良県では、大和郡山市など佐保川流域に減少傾向が表れた。産業廃棄物の最終処分場や自動車の排ガスなどとの関連が疑われる地域もあった。
化学工場の爆発によってダイオキシン汚染が広がった地域で男児出生比が0.35まで下がったイタリヤの例がある。
◎ インド人口、10億人に
インドの人口が5月11日、同国政府の公式推計では10億人に達する。10億人突破は中国に次ぎ2ヶ国目。これを幾に政府はバジパイ首相を委員長とする「国民人口委員会」を発足させ、福祉や食糧の観点から人口問題を検討する。
インド政府は死亡や出生のデータを基にした人口動態に関する電算モデルで現地時間11日の午後に10億人を超えると推計した。1947年独立時に3億4500万人だった人口が、53年間で約3倍に膨らむ計算だ。
人口増加率は70年代の2.2%を頂点に現在約1.3%までに低下。それでも毎月約130万人増え続けている。
今年は西部グジャラート、ラジャスタンや南部アンドラプラデシュなど国内11州が今世紀最悪と言われる干ばつに見舞われている。灌漑施設の未整備から、国内800万ヶ所に井戸が掘られるなど、地下水脈の枯渇は急速に進んでいる。
国連人口基金のマイケル・ブラソワ氏は「穀倉地帯のパンジャブ、ハリヤナ州は耕作地を拡大する余地がないだけに、他州での水不足は深刻な問題」と語る。
2040年には中国を追い抜くと見られるインドの人口増加が今のペースで続くと、食糧自給体制に影響を及ぼすとの見方も出ている。
◎ 出生率最低1.34少子化加速・・・99年人口動態統計
厚生省が29日まとめた1999年の人口動態統計によると。99年中に生まれた子どもの数は117万7千人、一人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.34となり、ともに統計をとり始めた1899年以降の最低を更新した。女性の晩婚・非婚傾向や出産の年齢の高まりが背景にある。
少子化が続けば、働く世代の人口減につながり日本の成長力を弱める要因になる。社会保障制度では、若い世代が高齢者を支える公的年金や医療保険の財政悪化につながりかねず、現役世代の税・社会保険料の負担を計画より引き上げなければ制度が生き詰まるおそれがある。
少子化対策や年金・医療制度の改革が急務といえる。
合計特殊出生率・・15歳〜49歳までの女性の年齢別出生率をもとに計算。
都道府県ごとの合計特殊出生率
下 位 |
上 位 |
||||||
@ |
東京 |
1.03 |
(1.05) |
@ |
沖縄 |
1.79 |
(1.83) |
A |
北海道 |
1.20 |
(1.26) |
A |
福島 |
1.63 |
(1.65) |
B |
千葉 |
1.22 |
(1.06) |
B |
島根 |
1.61 |
(1.67) |
B |
京都 |
1.22 |
(1.26) |
C |
山形 |
1.59 |
(1.61) |
D |
埼玉 |
1.23 |
(1.28) |
C |
佐賀 |
1.59 |
(1.62) |
D |
奈良 |
1.23 |
(1.30) |
|
|
|
|
小子化の原因 突き止めよう・・厚生省−赤ちゃん5万人追跡調査
生まれてきた赤ちゃんや特定の世代のの成人を対象に、生活や意識の変化を長期間にわたって追跡調査する統計制度「コーホート調査」を来年度から始めることを決めた。
調査対象とするのは、2001年に生まれる赤ちゃん5万人と、20〜30歳代の男女計20万人。人口動態調査や国民生活基礎調査をもとに全国から抽出し、本人や家族の同意を得たうえで、毎年1回、アンケート方式で実施する。
調査項目は、家族構成・結婚・職業観・育児環境・就業状況・収入・貯蓄・住居の状況・食生活習慣・父母の飲酒や喫煙状況などで、生活全般にかかわることを細かく尋ねる。赤ちゃんは育つ環境、成人は結婚して子供を産む前後の意識や行動を重点的に調べる。
コーホート調査(統計制度)
古代ローマの歩兵隊の単位が語源で、統計的な共通点を持つ集団を意味する。
長期間継続しなければ成果が得られないものの、特定の集団の人生そのものをサンプルとすることから、生活実態や意識が移り変わる理由や背景まで追跡できるという特徴がある。
総人口は1億2607万人・・・自治省2000年動態調査
自治省は8月3日、住民基本台帳に基づく今年の3月31日現在の全国の人口動態をまとめた。
総人口は1億2607万1365人。前年より21万1299人、0.17%増えたが、1968年の調査開始以来最も低かった。
65歳以上の老齢人口の割合は前年より0.54ポイント伸びて17.07ポイントになり、逆に15歳未満の年少人口は0.24ポイント減って14.72ポイントだった。
男女別では男性6,182万5,833人、女性6,424万5,472人である。
全国の世帯数は4741万9905世帯で、前年比1.3%増。毎年減少し続けている一世帯平均人数は2.66人と過去最低を更新、核家族化が一段と進んだ。
日本の人口 伸び戦後最低・・・国勢調査速報値
2000年10月1日現在の総人口は1億2,691万9,288人で、前回の1995年調査に比べ134万9,042人増えた。過去5年間の増加率は1.1%(年率0.2%)で、前回調査に比べ0.5ポイント低く、戦後最低の増加率となった。出生率の低下などから人口の増加の伸びが一段と鈍化する一方、地域別では東京・名古屋など大都市圏への人口集中が加速、核家族化も進んだ。
総人口の内訳は、男性が6,213万3,802人、女性は約271万1,684人多い6,481万5,486人。
日本は世界の総人口の2.1%を占める。国別人口では、バングラデュに抜かれ、95年の世界8位から9位に後退した。
世界の人口上位10ヵ国(単位:億人)
順位 |
国 名 |
2000年 |
1995年 |
増加率 (%) |
1 |
中 国 |
12.78 |
12.21 |
1.05 |
2 |
インド |
10.14 |
9.34 |
1.09 |
3 |
米 国 |
2.78 |
2.67 |
1.04 |
4 |
インドネシア |
2.12 |
1.97 |
1.08 |
5 |
ブラジル |
1.70 |
1.59 |
1.07 |
6 |
パキスタン |
1.56 |
1.36 |
1.15 |
7 |
ロシア |
1.47 |
1.48 |
0.99 |
8 |
バングラデシュ |
1.29 |
1.19 |
1.08 |
9 |
日 本 |
1.27 |
1.26 |
1.01 |
10 |
ナイジェリア |
1.12 |
0.99 |
1.13 |
EU人口増7割が移民
欧州連合(EU)の統計局が発表した速報によると、今月1月1日現在のEU15ヵ国の推計人口は計3億7761万人で、1年間で約160万人(0.3%)増えた。このうち81万6000人は移住による増加で、人口増全体に占める割合は前年に続き7割を超えた。
域外からの転入と域外への転出を差し引きした移住による増加は1998年の58万人を底に再び上昇している。
昨年のEUの出生数は前年比1.3%増の約405万人と、94年以降では最多だったが、統計局は「戦後最低の水準に変わりなく、ミレニアム(千年紀)のベビーブームは不発だった」と結論づけている。