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自治市民'93. ©2000-2008

都議会一人会派 自治市民 '93 (無所属)

民意と責任

【他県人の命を巻き込む条例に「結果はどうであれ」は許されない】
 今回私は都民投票条例に反対した。人々の命も暮らしも奪った地域に、地元でもない東京が再び原発稼働を押しつける愚を止めたかった。
3・11の事故の前から原発の危険性は明白だった。私も反原発自治体議員・市民連盟の共同代表として、原発反対の努力をしてきた。また、東京の繁華街を通る核燃料輸送について都議会で3回質問するなど、原発や核の危険性を訴える活動を続けてきた。
だから住民投票をするなら原発稼働の是非を問うものではなく、原発廃止のための住民投票を求める署名にすべきではなかったかと思う。
署名を進めた方々は当初、都民投票条例が通れば脱原発になると思っているようだった。それは違う。そのうち、「それぞれが自力判断できる人になる」「自治体の住民が意志を表す責任と権利を行使したい」となった。
私のところにも同主旨のハガキや手紙・メールをたくさん頂いただけでなく、連日控室にいっぱいの方々がみえた。皆さんの話や参考人(請求代表者)の意見では、原発の是非を問う住民投票は世界各国でも行なわれたが、消費地での投票が実現すれば、世界でも初だと胸をはる。そして「結果はどうであれ」「都民の意識も変わる」という。
しかし「考えるチャンス・学習する場」や「都民の意識を変える」ために、「結果はどうであれ」では困る。投票結果によっては原発稼働となる事態を招いても良いのか?その時に都民の責任をどう取るのか。そんな危険を冒すことに誰も触れない。

都民投票条例が成立し、33万人以上が稼働に反対の意思を示しても、都内有権者は約1000万人。そのうち知事関連票や東電関係を含め数百万票が原発賛成となる可能性を否定できない。原発反対が勝つ保証はない。世論調査でも、「電力不足の際には、安全確認された原発を再稼働しても良い」と考える人が過半数を超えたという結果もある。
今回の都民投票条例は「さようなら原発1000万人署名」が始まった後に出され、事前の勉強会もあまりなく、私の仲間も含め、冒頭のような誤解のまま署名が進んだ。残念ながら自分たち仲間以外の想いを酌み取れていない。なぜ1000万人署名に全力をそそごうとしなかったのか?
私は石原知事の言う「原発は国策であり政府が決めるべき」という反対理由も納得できない。しかし陳述人である宮台真司氏が「議会を席巻しているポピュリズムを正すため」「目的は原発をやめることではない」「住民投票の結果が原発賛成だったら……それでもかまわない」と言うのに対し、住民投票を進めた人々から異論が出たように見えないのも不思議だと思う。
結局は、都民投票条例でつながった仲間ができ、条例提案者の「民主主義」という扇動に自分の想いを重ねた錯覚で終わっていないか心配している。民主主義とは、多数決だけではなく、他者の意見をも汲み取ることである。被災者の生活に想いをはせ、投票結果で何が起こるかをしっかり考える必要がある。
学習の機会なら、つねづね原発推進を公言し、選挙期間中に「大地震は天罰」「津波を利用して我欲を洗い流す」と発言した石原都知事を260万余りの票で当選させたことを再度考えるべきだろう。

今回の都民投票条例は、仮に私が賛成したとしても、自公の反対で条例成立の見込みはなく、おとなしく賛成しておくという選択肢もあった。しかし、今回の都民投票条例の問題点をしっかり考え、反原発についての議論を深めるためにも、安易な賛成票は投じたくなかった。
【住民の意思に格差あり】
 都議選の選挙区の間にある格差是正が先送りされた。2000年以降有権者は増え、1.92倍となっているにもかかわらず、据え置かれているが、2倍以内に「収まっている」というのが、「都議会のあり方検討会」の報告だった。
2001年に行なわれた定数是正から10年が経った。第180通常国会で通年会期の法改正の動向等も見据えてというが、この格差に対し、選挙民の声はあまり聞こえてこない。都民投票の人々も、選挙にまで踏み込んで民主主義を作り上げなければいけないのではないかと思う。
【次々変わる副知事人事案】
 副知事は、現場を知り、柔軟な発想で市民の立場に立つ事業を進めるため、外部からの人材を望んできた。この大東京の国家規模の都政を動かす場に外からのなり手がないというのはなさけない。使い捨て人事も続き都政に魅力がなくなっているのだろうか?
【東京オリンピック・パラリンピック】
5月23日、東京がオリンピック・パラリンピック立候補都市に選ばれた。知事もやる気がなさそうなまま、都税が消える。房総半島沖での巨大地震が高い確率で発生することが指摘され、さらに首都直下型地震では被害想定が引き上げられた。いつ地震が起きるか分からない東京に、確たる防災対策もないまま他国の人々を招いていいのかと思う。
私たちも「東京にオリンピックはいらないネット」を再度立ち上げ、各国のIOC委員には日本の地震情報を送った。これからまた運動を進めなければならない。