杉花粉症について 平成17年1月17日更新

 全身性のステロイド薬の注射(デポ)の筋肉注射を実施する医師がおられます。重症の人に選択して稀に行われる治療方法です。副作用に充分注意する必要があり、好ましくない方法です。
 平成16年夏アテネオリンピックで眠たい目をこすってTVを見て、興奮しましたね!そして新聞紙上にはド−ピングの記事がこの大会では非常に、賑わいましたね。ド−ピングはそのいっときは成績を高めますが、その人の身体をボロボロ!!にしますので厳しく取り締まられているのです。ちょうどそのド−ピングと同じようなことが花粉症へのステロイド注射の使用です。その医師の甘口にたぶらかされないように注意してください!!
           鼻アレルギ−診療ガイドラインにこのように記載されています。
ステロイド全身投与の副作用感染増悪、糖尿病、無菌性骨壊死、ステロイド筋症、高血圧、高脂血症、副腎不全、創傷治癒遅延、性器出血など
副作用を少なく、より局所に効果をの考えで吸入ステロイドが開発されてきました。
従って、注射は医学の進歩に逆行する治療法と考えられ、魔女の治療ともいえます。
リンゴを食べたら、どうなったでしょうか!!
花粉症とは

  花粉を抗原として,鼻粘膜と結膜を主な反応の場とした典型的なT型アレルギー疾患で 抗原としてはスギ,ヒノキ,カモガヤ,ブタクサ,カナムグラなどの花粉があります。

発症のしくみ:
 花粉の抗原に対してIgE抗体が産生され、感作が成立することが第一ステップになります。感作された個体に再度侵入してきた抗原が肥満細胞の表面に固着したIgEと抗原抗体反応を起こし、肥満細胞からヒスタミンなどのケミカルメディエ−タ−が遊離され、さらにメディエ−タ−に対して局所粘膜が過敏反応を起こすことにより発症します。

患者さんはどのくらいいるか

 花粉症の種類や発症状況は各地方の植物の種類や花粉の数によって異なります。スギ花粉症は北海道や沖縄ではほとんど見られません。杉花粉症の患者さんは国民の13〜16%といわれており、杉以外の花粉症は約10%。

どんな症状がでるか

 鼻の症状:
  花粉が鼻に入ると数分でくしゃみ、鼻水が生じ、少し遅れてから鼻づまりが起こってきます。

 眼の症状:
  眼に花粉が入ると早くから眼がかゆくなり、また涙も流れ、結膜が充血し、異物感もみられる場合があります(眼脂は多くありません)

 その他の症状:
  鼻で吸収されなかった花粉の抗原が鼻の奥からのどに流がれ、のどのかゆみや咳を生じます。また鼻閉による頭痛、鼻やのどの炎症による微熱、だるさなどの症状が出現し大変悩まされます。

花粉の多い日 
 スギ花粉は、飛散し始めてから7日から10日後くらいから量が多くなってきます。これから4週間くらいが花粉の多い時期に当たり、この期間内で次のような天気になると花粉が多くなります。
  1. 晴天で気温が高い日
  2. 空気が乾燥し風が強い日
  3. 雨上がりの翌日や気温の高い日が2〜3日続いたあと
  一般的には昼前後と日没後に多くなっています。これは、気温が上がって午前中にスギ林から飛び出した花粉が数時間後に都市部に到達するためと、上空に上がった花粉が日没後に地上に落下してくるためと考えられています。また、雨の降り出す直前にも花粉が多くなります
具体的な予防対策:

花粉情報:
  
花粉情報に気をつける。晴れて暖かい日、雨上がりの翌日、風の吹く日などは花粉の飛散が多く、不要の外出は控える。
メガネ

 
 花粉症用メガネも販売されていますが、通常のメガネ使用だけでもメガネを使用していない時より、眼に入る花粉量は半分以下になります。花粉の季節にはコンタクトレンズ使用の方は花粉がレンズと結膜の間で擦れることもあり、メガネに変えた方が良いでしょう。
マスク
  マスクの着用も有用で、通常のものに湿ったガーゼを挟み込むだけでも効果があります。実験的には通常のマスクでも鼻に入る花粉の数はマスクをしないときの約1/3になりとのことです。
   立体型のものが望ましく、特に肝腎なことは皮膚との間に隙間をこしらえないことです。
衣 類
 
羊毛製の衣類は花粉が付着しやすく、服装にも気をつけることが必要です。また、シ−ズン中は、家に入る前に衣服に付いた花粉を払い落とし屋内に持ち込まないようにしましょう。うがい、洗顔、シャンプ−をし、目は流水の中で洗いましょう。
その他 
 花粉飛散のシ−ズンの前に風邪を引くと粘膜の上皮が障害され、花粉症のときに症状がひどくなることがありますので、風邪に注意することも必要です。このため、規則正しい生活が必要で、鼻閉を悪くする可能性のあるお酒の飲み過ぎなどもよくありません。
    

どんな治療法があるか:
 治療法を大きく分けると症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の二つがあります。

 (1)対症療法:点眼、点鼻薬などによる局所療法や内服薬などによる全身療法
 (2)根治療法:原因抗原(花粉など)の除去と回避減感作療法(抗原特異的免疫療法)

 季節前投与法:
 
とくに杉花粉症では、花粉飛散情報を利用して花粉飛散の1〜2週前から抗アレルギ−薬を投与し、季節終了まで続ける季節前投与法がおこなわれており、季節中の症状の軽症化が認められている。

 花粉飛散悸における治療

 花粉飛散期には飛んでいる花粉の数により症状は変動し、一般に症状は強くなるので抗アレルギ−薬に加えて局所ステロイド薬の併用が必要になることがあります。 

鼻アレルギ−診療ガイドライン(2002年版)より: 

重症度 病   型 治              療
軽症 くしゃみ・鼻水 抗ヒスタミン剤(第一世代、第二世代)
鼻づまり 遊離抑制剤、第二世代抗ヒスタミン剤
中等症 くしゃみ・鼻水 遊離抑制剤または第二世代抗ヒスタミン剤
鼻づまり 局所ステロイド剤、血管収縮剤
重症・最重症 くしゃみ・鼻水 ステロイド剤+抗ヒスタミン剤または遊離抑制剤+抗ヒスタミン剤
鼻づまり ステロイド剤+抗ヒスタミン剤または遊離抑制剤+血管収縮剤、手術
 
  花粉症ではシ−ズン1〜2週前より治療を開始
。眼症状には点眼薬。
    重症・最重症では経口ステロイドを1週位抗ヒスタミン剤と併用。
アレルギ−性鼻炎用抗アレルギ−剤
 1:ケミカルメディエタ−遊離抑制剤
   インタ−ル、リザベンなど
 2:ケミカルメディエタ−受容体拮抗剤
  1)ヒスタミン拮抗剤
    第一世代:ポララミン、タベジ−ルなど
    第二世代:サジデン、アゼプチン、アレジオン、ジルテックなど
  2)トロンボキサンA2拮抗剤
    3)トイコトリエン拮抗剤
 3:ケミカルメエディエタ−合成阻害剤
 4:Th2サイトカイン阻害剤
 5:ステロイド薬
   局所用、経口用
 6:その他
薬剤の臨床効果の発現の時間:
10〜20分 第一世代抗ヒスタミン剤
1〜2日 局所ステロイド剤
経口第二世代抗ヒスタミン剤
2〜3日 全身ステロイド剤
約1週 点鼻抗アレルギ−剤
約2週 経口ケミカルメディエ−タ−遊離抑制剤、抗ロイコトリエン剤
約4週 抗トロンボキサンA2剤

                                        薬物療法の副作用:

 薬剤 副作用
第一世代抗ヒスタミン剤 眠気、全身倦怠、口渇なd(喘息、排尿障害、緑内障、自動車運転禁忌)
第二世代抗ヒスタミン剤 肝・胃腸障害、眠気、薬によっては心筋障害など
経口ケミカルメディエ−タ−有利抑制剤 肝・胃腸障害、発疹、薬によっては膀胱炎など
経口ロイコトリエン剤 白血球・血小板減少、肝障害、発疹、下痢、腹痛など
抗トロンボキサン剤 出血傾向、肝障害、発疹、腹痛、頭痛など
全身ステロイド剤 感染の誘発、副腎皮質機能低下、糖尿病、消化性潰瘍、満月様頭貌、緑内障など(感染症、消化性潰瘍、高血圧、糖尿病、緑内障などに禁忌)
鼻用ステロイド剤 鼻刺激感、乾燥、鼻出血など
鼻用ケミカルメディエ−タ−遊離抑制剤、抗ヒスタミン剤 鼻刺激感、薬により眠気など
鼻用血管収縮剤 習慣性、反跳現象、反応性低下など
鼻用抗コリン剤 鼻刺激感など

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