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黒部川源流域の山々

雲の平〜祖父岳〜水晶岳〜鷲羽岳〜黒部五郎岳〜北ノ俣岳〜薬師岳

水晶・鷲羽・槍・三俣蓮華・黒部五郎・北ノ俣の雄大な眺め(薬師岳中腹より)

水晶・鷲羽・槍・三俣蓮華・黒部五郎・北ノ俣の雄大な眺め(薬師岳中腹より)


日時:’03年7月26日〜8月1日 参加者:西上・楠神・坂本
天候:7/27曇りのち晴れ・7/28曇り・7/29〜30雨・7/31晴れのち曇り

梅雨がまだ明けず、天候を気にしながらの出発となった。
黒部川源流域は北アルプスの中で最も奥に位置する地域である。77年に訪れた時は、雲の平〜三俣蓮華〜双六〜鏡平へ抜けたが、踏んだピークは三俣蓮華だけであった。それに対し今回は黒部川源流域を取り囲む殆どのピークを踏む贅沢な山行である。
今年も昨年同様小屋利用の山行で、多少の混雑は覚悟していたが、水晶小屋の今期最高という泊まり客の大混雑には、参ってしまった。事前に小屋の情報を調べていなかったのが悔やまれた。

現地までのアクセス      走行距離895km 
                                           
7/26 自宅(7:30)−−−JR大和小泉駅−−−大和郡山−−−山田川IC−−−瀬田東IC
−−−富山IC(12:30着・371km・昼食買出し)−−−有峰口−−(有峰林道)−−折立(14:55着・417Km)折立キャンプ場(泊)
走行距離:417km 所要時間:7時間25分
7/31 折立(14:10発・417km)−−−有峰ダム−−−飛越トンネル−−−神岡町・森茂−−−神岡町・流葉温泉ニュートリノ(入浴)−−−古川町・森林公園キャンプ場(512km)(泊)
走行距離:95km
8/1 古川町(512km)−−−高山(朝市で買物)(8:30発)−−−中津川IC(10:44/642km)−−−天理IC−−−大和郡山−−−JR大和小泉−−−自宅(15:50着)
走行距離:383km 所要時間:約9時間


登山コースとコースタイム

7/27
 (日)
折立(6:30発)---(85分)---1870mピーク---(110分)---太郎平小屋(10:15−11:23・昼食)---(45分)---沢---(70分)---薬師沢小屋(13:50着・泊)
所要時間:7時間20分 歩行時間:5時間10分

 登山口から最初のピークまでは樹林帯の中を行く、急登もあるが歩きやすい道である。ピークからは少し下り、次のピークを越すと後は、緩やかな尾根道が太郎平へと続く。この日はあいにくのガスのため、太郎平小屋まで展望は得られなかった。ただ丁度見頃になった、ニッコウキスゲの花が霧の中で印象的だった。
 太郎平小屋前で昼食の際雨に降られたが、薬師沢へ下る頃になると、薄日も射すようになる。沢に降り立った地点から薬師沢小屋まで水平に近い緩やかな下りが続くが、大半が木道で歩きやすくなっている。ただスリップ注意の立て札が多く立っており、濡れた木道には注意が必要だ。
早く小屋に着いたこともあり、また晴れ間も出てきたので、清流黒部川の川原に降り、体を拭き、ビールを飲んで過ごす。
 この日の小屋は布団2枚に対し3人で、これであれば余裕で眠る事ができる。小屋の食事も良く、快適に過ごすことが出来た。

登山道脇のニッコウキスゲ 黒部川に掛かる薬師沢出合吊り橋
ニッコウキスゲ 薬師沢出合吊橋

7/28
 (月)
薬師沢小屋(6:15発)---(95分)---木道末端---(20分)---アラスカ庭園---(23分)---奥日本庭園---(22分)---雲ノ平山荘(9:25−10:00)---(スイス庭園往復含め40分)---キャンプ場---(25分)---三俣への分岐---(25分)---祖父岳(11:40−12:30・昼食)---(40分)---岩苔乗越---(13分)---ワリモ北分岐---(40分)---水晶小屋(14:10−14:30)---(30分)---水晶岳(15:00−15:30)---(30分)---水晶小屋(16:00着)(泊)
所要時間:9時間45分 歩行時間:6時間43分

 小屋の前に掛かるつり橋を渡り、一旦川原に降りるが、数10m先で右手の急斜面に取り付く。登り口から急登の連続で、その上滑りやすい石(岩)がゴロゴロしており、歩きにくい道だ。展望もあまりないが、ただグングン高度を稼いでいるのが分かる。傾斜が緩くなると、間もなく木道末端に出るが、この木道は短く一旦樹林帯に入る。樹林帯を抜けると再び木道となり、間もなくして雲の平のアラスカ庭園に着く。この日は曇り空であるがガスはなく、薬師・水晶・祖父・黒部五郎等展望はあるのだが、晴れた日のようなスカットとした眺めではなかった。アラスカ庭園で小休止ののち、高山植物や周囲の山々を眺めを楽しみながら奥日本庭園を経由して、雲の平山荘に向かう。時間に余裕があったので、山荘でコーヒタイムとし、たっぷり休憩する。山荘から雲の平の後半を楽しみながら、スイス庭園に立ち寄る。スイス庭園からは正面に水晶岳が大きく迫り、眼下には高天原が、そしてその左向こうには雄大な薬師岳が望める。
 
スイス庭園を後にし、途中キャンプ場(トイレあり)で水を補給し、祖父岳で昼食を摂る。祖父岳では三俣蓮華方面はガスっていたが、鷲羽・水晶・薬師それに雲の平方面に展望があり、晴れていれば360度素晴らしい眺めであろうと思われた。
 祖父岳からは一旦岩苔乗越まで下り、ワリモ北分岐へ登り返す。分岐にはここから水晶岳を往復する登山者のザックが何個か置いてあり、帰ってきた人に聞くと、往復2時間少々とのこと。
水晶小屋で宿泊の手続きをし、頂上を往復する。頂上は晴れていたが、周囲はガスっており祖父岳と雲の平方面が見える程度だった。小屋に戻り外で休憩する頃になるとガスも少し晴れ、東に野口五郎岳が、そして槍ヶ岳が一瞬ではあるが穂先を見せてくれた。
 
水晶小屋は定員20名の小さな小屋で、食堂も寝る場所も同じ部屋を利用するので、当然食事の準備中や布団を敷く時は外で待機することとなる。この日は定員の約2.5倍の48〜49名の宿泊客で寝るにも布団1枚に3人強という狭さ。混んでいれば、廊下・通路で寝れば良い思っても、それも無い。2人は早々と外で寝るため出てゆき、その上荷物置き場のザックを小屋の外に出し、4〜5人そちらに移るが、我々3人には布団1枚のスペースしかない。頭と足を互い違いにし何とか横になるが、寝返りも打てない状態だ。当然熟睡なんて出来るはずもなく、目を閉じて早く朝が来る待った。

左が黒部川右が薬師沢 アラスカ庭園から望む黒部五郎岳 アラスカ庭園でくつろぐ登山者 雲の平キャンプ場と祖父岳 スイス庭園付近から水晶岳を望む
薬師沢小屋 黒部五郎岳 アラスカ庭園 祖父岳 水晶岳
祖父岳から見た水晶岳 祖父岳から見た鷲羽岳(右)とワリモ岳(左) 水晶岳をバックに夕食を摂る 水晶小屋から見た野口五郎岳 岩が積み重なった水晶岳の狭い頂上
水晶岳 鷲羽岳 外で夕食 野口五郎岳 水晶岳頂上



7/29
 (火)
水晶小屋(5:50発)---(30分)---ワリモ北分岐---(25分)---ワリモ岳---(10分)---鞍部---(27分)---鷲羽岳(7:27着)---(58分)---三俣山荘(8:28−8:50)---(70分)---黒部乗越---(60分)---黒部五郎小舎(11:05着)(泊)
所要時間:5時間15分 歩行時間:4時間40分

 5時からの食事に合わせ、4時半過ぎに全員起こされ、ガスと強風の外で食事を待つ。何とか食事を終え、出発しようとした時雨が降り出し、急遽カッパを着て強風の中鷲羽岳へ向かう。ワリモ岳の登りで周囲が一時明るくなり期待を持たせたが、それは一時のことで鷲羽岳頂上は雨とガスで風も強く、記念写真を撮っただけで、三俣山荘へ向かって下る。雨の為景色を楽しむことも出来ず、山荘で自宅に電話をした後、休憩もそこそこに今夜の宿黒部五郎小舎へ行くことにする。黒部五郎小舎へは三俣蓮華岳を越える道もあるが、今回は黒部乗越へ直接通じる巻き道を利用することにした。巻き道といっても半ばあたりまでは緩やかではあるが登りが続く。この道は雪渓が数ヶ所あり、またお花畑も多く、晴れていれば美しい景色が見れたはずである。
 
乗越からは広い尾根道となり、ガスっていると迷いやすい個所もあり、黒部五郎小舎への下降点も気をつける必要がある。下降点から急斜面を200m程下ると、ようやく黒部五郎小舎に着く。小舎で昼食を摂った後部屋で休憩する。午後になると視界も開け、黒部五郎岳をはじめ北には雲の平の向こうに薬師岳が、南には槍のように鋭く尖った笠ヶ岳が姿を見せてくれた。
 黒部五郎小舎は近年建て替られ新しく、室内にも木材が多く使用され、今回利用した山小屋の中で一番気持ちの良い小屋であった。この日は昨日とは違い、布団2枚に3人でゆったり眠ることが出来た。 

雨とガスの鷲羽岳の頂上 黒部五郎キャンプ場から見た笠ヶ岳 黒部五郎小舎と薬師岳、手前の黒い尾根は雲の平 黒部五郎小舎から黒部五郎岳を望む
鷲羽岳頂上 笠ヶ岳 薬師岳 黒部五郎岳

7/30
 (水)
黒部五郎小舎(6:25発)---(60分)---カール---(55分)---肩(8:23着)---(15分)---黒部五郎岳---(10分)---肩(9:00発)---(120分)---赤木岳(11:23着)---(30分)---北ノ俣岳(11:54着)---(90分)---太郎平小屋(13:33分着)(泊)
所要時間:7時間08分 歩行時間:6時間20分

夜半より強く降っていた雨も出発時にはほぼ止んでいたが、何時降りだしてもおかしくない空模様。昨日に続きカッパを着てカールへ向かう。今日のコースは黒部五郎小舎から太郎平小屋まで長丁場にも関わらず、途中に小屋がないのが辛い。
歩き出してすぐ再び雨が降りだす。カールは雪渓やお花畑が綺麗で、人気の場所であるが、今日は雨とガスでそれらを楽しむどころではない。休憩もそこそこに次の目標である黒部五郎へ向かう。
黒部五郎の肩にザックを置き、頂上を往復するが、頂上は昨日の鷲羽岳同様雨と風とガスのため、記念写真だけを撮り直ちに肩に戻る。黒部五郎岳を下り、縦走路に入っても、相変わらずの天候のため、休憩(中ノ俣乗越付近で行動食を摂る)もそこそこに太郎平を目指す。北ノ俣岳を過ぎた頃から、時折薄日が差すようになり、太郎平小屋に着いたときには、雨は上がっていた。
この日の太郎平小屋は布団一枚に一人のゆったりスペースだった。

カールは雨とガスの中 黒部五郎岳頂上雨とガスで何も見えず
カール 黒部五郎岳頂上

7/31
 (木)
太郎平小屋(5:50発)---(42分)---薬師平---(33分)---薬師岳山荘(7:15着)---(30分)---東南稜分岐点---(10分)---薬師岳(8:00−8:17)---(30分)---薬師岳山荘---(26分)---薬師平---(23分)---薬師峠---(20分)---太郎平小屋(10:02−11:02・昼食)---(90分)---1870mピーク---(60分)---折立(13:48着)
所要時間:7時間58分 歩行時間:6時間04分

最終日になってようやく快晴の朝を迎えた。ザックを小屋に置き、雨具・行動食・飲み物を持って薬師岳に向かう。薬師峠の手前で三俣蓮華岳の左肩に槍の穂先が見えるようになる。キャンプ場がある峠からは岩がゴロゴロした沢沿いの道を上がる、ここを抜けると傾斜も緩くなり、やがて見晴らしの良い薬師平にでる。黒部五郎・三俣蓮華それに槍が大きく姿を見せる。薬師平から上は展望が開け、高度を上げる度に今まで隠れていた山々が次々顔を出すようになる。

薬師岳山荘から急な小さな岩屑の斜面を登り詰めると、壊れた避難小屋のある東南稜との分岐点に着く。ここまで来れば穂高も笠ヶ岳もはっきりそれと分かるようになる。頂上までもほんの少しである。
今まで晴れていた空も、頂上に着いたとほぼ同時にガスに覆われてしまった。今日は折立に下った後も、車で次の宿泊地まで移動しなければならず、早々に頂上を後にする。太郎平小屋前で昼食を摂った後、折立へと下る。入山日はガスで見えなかったが、今日は緑の山腹に白い山頂部の美しい薬師岳が、我々を見送ってくれた。

太郎平小屋から薬師峠への途中で三俣蓮華の左肩に槍の穂先が顔を見せる 槍・穂高・笠ヶ岳が一望のもと
三俣蓮華の左肩に槍の穂先 槍・穂高・笠(薬師岳山荘上部より)
薬師岳頂上まであと一息 太郎平小屋から見た薬師岳 太郎平小屋の下りから見た薬師岳
薬師岳 薬師岳(太郎平小屋より) 薬師岳

その他・見所・宿泊施設
太郎平小屋・薬師沢小屋   http://www3.ocn.ne.jp/~ltaro/
水晶小屋・三俣山荘      http://kumonodaira.net/suisho_info.html
黒部五郎小舎           http://www.sugorokugoya.com/index.html

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