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鴇末平逸/Heyitch Tokimaz
 In Dire Straits


ds003: 2013/9/14  
やってしまった。結局やってしまった。

私は忙しいのであって、そんなことをしている暇などある筈もない
のだ。けれども他方で、そうはいっても結局はそれをやってしまう
のだろうな、と、私自身を他人事のように傍観しているもう一人の
  つまり第二の  私が、私の頭の隅に居ることを、私  つま
り《第一の私》  は知っていた。第一の私にとっては、自分自身
を他人事のように傍観する《第二の私》など、苛立たしいことこの
うえなかったのだが、その第一の《苛立つ私》が、やるべきでない
のはヒを見るより明らかである筈のそのことを結局はやろうとする
  第三の私であると同時に第一のそれでもあるところの私  
の非理性的な振る舞いを、まるでその私  《苛立つ私》を《第一
の私》だとするなら《第三の私》  がそんなことをしている場合
ではけしてないということをまったく与り知らぬかのように、そし
て、第二の《傍観する私》などというこのうえなく苛立たしい存在
に対して、あたかも露ほどの苛立ちも覚えてはいないかのように、
傍観していたのであった。

映画の【第三の私】  じゃなく【第三の男】には、“風船売り”
が登場する。勘違いかもしれないが、私はそう記憶している(次回
までに観直しておく。いま私は忙しい)。ストーリーのうえでは、
この“風船売り”はさほど重要な役割を担っている訳ではなかった
(風船になにか重要な意味が込められている訳ではなかった)と思
う。巨大な葡萄の房かカリフラワーのようなものが道に現われるこ
とで、偶然に追っ手の視界を遮り、逃走する登場人物をちょっとば
かり助けることになればいいのであり、これは、例えばカーチェイ
スの場面で、莫迦でっかいガラス板を荷台に立てたトラックが通り
を横切るのと同じで、なにもどうしても風船売りでなければならな
い訳ではなく、無差別級のジュードー選手なみに上背があってガタ
イのいい双子のマッチ売りの少女でもよかったのだ。だが、この風
船売りの登場のシーンは、赤ん坊の乗った乳母車が長い階段を激し
く揺れながら落ちる【戦艦ポチョムキン】の中の有名なシーンに似
て、印象的ではある。【ポチョ】  【ポニョ】ではない  の乳
母車のシーンは、【アンタッチャブル】などの後の映画作品で、お
そらく一度ならず引用された(階段を落ちる訳ではないが、【ゴジ
ラ】と並ぶ怪獣映画の金字塔【モスラ】にも、緊張感溢れる乳母車
のシーンがあるが、これもポチョ由来だろう)。それと同じように
“風船売り”も、私の知るかぎりでも【 12 モンキーズ】、それから
【マイノリティ・リポート】で引用されている。  だからなに?
と言われても困るが。

おお! そうじゃ、【 12 モンキーズ】じゃ。儂は【 12 モンキーズ】
  縮めて【 12 猿】について書かねばならないのであった(ずっと
そうだが、略称を用意してあるのに、それが何の略称なのかをその
都度説明しながら使用せねばならないというのは、どうにも不合理
だ)。今回こそは【 12 猿】  この作品は、或る意味では《第二の
私》に関する物語である  について書こう。

と思うのだがその前に、どうしても書いておきたいことがある。こ
れは書かねばならないことではけしてないけれども、それを結局は
書いてしまう私を、私は手をコマネチ  いや、コマネイて傍観し
ている。

私は、ついいましがたまで、ちょっとばかりビールを飲んで酔った
せいで、三時間ほど眠っていた(誤解の無きよう念のために言って
おくが、私はいま忙しい。  あ。それから、これはどうでもいい
ことだが、コンビニ限定販売の《 LION プレミアム》ビールは、苦
味がよく利いていて旨い。ひと口飲んだ瞬間の苦味の強いインパク
トは、それが強いだけに、たちまちの裡に潮が引くように薄れてゆ
くのがはっきり感じられるのだが、このプロセスにも心地よい爽や
かさがあり、むしろこのビールの味わいを格別のものにしている。
とくに麒麟の系統の味が好きな人にはお奨めである  このビール
の発売元はサッポロだが)。だから、前の段落との間には約三時間
が経過している。よく行間を読む、などと言うが、この段落間には、筆者自らが説明しないかぎり読者には理解のできない謎が横たわっ
  謎というか、‥‥まぁとにかく、横たわっているのだ。で、
或る意味で当然ながら、私はこれからそれについて書く  前段落
末の“コマネチ”に恐怖にも似た恥じらいを覚えながら。

要するに、眠っている間に夢を見たのだ。見ていたのは、おそらく
目覚める直前の僅かな時間だったのだろう。少なくとも私の場合、
夢というのは多く、目覚める直前に見るものらしい。睡眠は夢を見
ることで終了する、と言ってもいいかもしれない。

‥‥駅のホームで私は列車を待っていた。果たして、何故か貨物列
車のように長いその列車は到着したが、私はそれに乗ることができ
なかった。肝心なときに、私はホームの反対側に停まっていた別の
列車に気を取られ(どうしてそんなことになったのだろう!)、振
り返ったときにはもう動き出していた乗るべき列車は、私を残して
ホームを出ていった。誰かがホームから線路に降り、両手を振り挙
げ、遠離るその列車の最後部を追い掛けて必死で走ってゆく。なん
て無謀な、無益なことをする奴だろう‥‥私はその男(?)を見詰
めていた  軽蔑と憐憫、そして苦い思いを胸に。‥‥ただこれだ
けと言えばこれだけの内容だったが、私には、どうにもこうにもセ
ツなく口惜しい、辛い夢だった。

‥‥私は、間近に迫っている筈のその列車の正確な発車時刻を知ら
なかった。いや、それより何より、それがどこ行きの列車なのかさ
え知らなかったのだ。にも拘わらず私は、その列車がホームに滑り
込んでくるのを待っていた  まさにそれだと同定できずに乗り損
ねてしまったらどうしようと心配しながら。

どうやらこれらしいという列車がホームに入ってきたとき私は、初
めて見る筈のその車輌に、どうした訳か、かすかな懐かしさのよう
なものを覚えた。それは、私の頭の一部が目覚めていて、この夢は
既に(しかも何度も?)見たことがあると考えていたからなのかも
しれない(人が、自分が見ている夢に没入しきっているということ
は、じつは案外少ないのではないか?)。  いや、そうではなく、“既に見たことがある”というのは、目覚めてから感じたことを夢
の回想に投影した結果にすぎないのかもしれない。

  いや(“  いや”が多くて申し訳ない)夢は寝覚め際に見る
ことが多いのだとすると、夢の最中にリアルタイムで考えたことと、夢から醒めた後で考えたこととを截然と区別するのは、夢の最中と
その後を区別するのが簡単でないのと同じく、簡単ではない。  
夢の“リアルタイム”? 夢に“リアル”(現実、実際)や“タイ
ム”(時間、時刻)があるのだろうか? ‥‥

“既に見たことがある”という性格は、ひょっとして夢一般の定義
に含めるべきなのだろうか?

しかしそうだとすると、列車に乗ろうとする夢を既に見たことがあ
るというのは、ただの錯覚にすぎなかったということにならないだ
ろうか(とてもこの点で私に誤解があるようには思えないのだが)
  或る種の《デジャ・ヴュ》が夢の本質に属しているのだとする
ならば?

‥‥‥‥

そうだった。私は“結局やってしまった”のだった。

  レイアウトである。この IN DIRE STRAITS の初回で私は、ヴ
ィジュアルではなく内容に集中しつつ、ただ字が並んでいるだけの
ホームページを作りたい、と書いたし、前回=第二回では、プロポ
ーショナルな(等幅でない)フォントを使用しておいて後からチマ
チマと字間の調整なんぞはやりたくないから、本文中の英数字は泪
を呑んで MS 明朝に統一すると宣言した。

だが、駄目だった。我慢ができなかった。辛抱たまらんかった。や
っぱり私には MS は無理だ。‥‥その都度字間の調整を行いながら
好きなフォントを遣うことにした。 New York を遣いたかったが、
18 ポイントでも 16 ポイントでも、 18 ポイントの平成明朝との釣り合
いが執り難いことが判明したので、ここは流石にちょっとだけ我慢
をして Times 18 ポイントを遣うことにした。  だだし、1ポイ
ント単位の調整をするのではない。それではあまりにも作業が繁雑
になるので、少し知恵を搾った。英数字の現われる行を、その前後
の行からは独立の TABLE に容れ、さらにその TABLE 内で、英数
字の塊とそれ以外の塊とを別のボックスに収容すべく行を分割し、
英数字の塊は、それが収容されるボックスの中で、それが行の途中
に現われる場合には主に CENTER に配置するようにする(行頭に
現われる場合には LEFT に、行末なら RIGHT に)。そのために、
数字を変更するだけで遣い回しができる HTML のフォーマットを
作った。〈 〉記号を〔 〕に変えて示せば以下のようになる(英
数字の塊が途中に一度だけ現われる行の、前の行からの HTML )。

  〔table border=0 cellpadding=0 cellspacing=0〕
  〔tr〕〔td width=558 align=left〕〔font class=本文〕
   ※英数字の現われない行の文言(平成明朝)
  〔/table〕
  〔table border=0 cellpadding=0 cellspacing=0〕〔tr〕
  〔td width=*** align=left〕〔font class=本文〕
   ※英数字の塊の直前(左側)の文言(平成明朝)
  〔td width=*** align=center〕〔font class=本英数〕
   ※英数字の塊(Times)
  〔td width=*** align=left〕〔font class=本文〕
   ※英数字の塊の直後(右側)の文言(平成明朝)
  〔/table〕

“***”の数値は英数字に割り当てる幅に応じてその都度計算す
る。例えば IN DIRE STRAITS ならば、全角9文字分= 162 ポイン
トを割り当てるのが適当だ(前後には等幅の非英数字を一文字当た
18 ポイントで並べることができるので  平成明朝は英数字以外
は等幅である  、割り当てるポイント数は 18 の倍数になるように
する)。一行の幅を 558 ポイント(全角 31 文字分)と決めてあるの
で、その前後には合わせて 396 ポイントになるように割り当てを行
なえば、行がきっちり文字で埋まる(ただし、この 31 文字分という
のは、行末に句読点がぶら下がる場合があることを考えて用意した
ものであるので、ぶら下げが行なわれない大部分の行では忘れずに
30 文字目で改行タグを打つようにする)。

‥‥「ちょっと訊くけどさ、アンタ、いい年してそんなことに一所
懸命になっててさ、楽しいの?」というたっぷり軽蔑のこもった声
がどこからか聞こえてくるようだ。

  はっきり言おう。楽しい。多少は。‥‥たしかに下らないが。




Chapter 2



「この天体のことを“チキュー”と‥‥?」
 小笠原は冷静さを装いきれずに多弁になっていた。
「もちろんそう期待したいが、君も知っているように、ロボットな
らびにわれわれヒューマイドの、比喩的な意味におけるのではない
祖先  あの《マグナ・マテル》が、どこかわれわれのとは別の太
陽系に存在している筈の純粋なヒューマンを復元するプロジェクト
に着手した際、参照に値する資料として活用することができたのは、たった三体ではあったが、当時はまだかろうじて余命を保っていた
サイボーグたちの  彼らが何故マグナ・マテルとともにわれわれ
の天体にやって来たのかは、今だに明らかではないが  極度に機
械化され、ヒューマンだったときとは変わり果てたボディと、彼ら
の有機的および非有機的媒体内の記録、これだけしかなく、マグナ
・マテル自体が保持していたヒューマンに関するデータは、何故か
皆無と言ってよいような状態だったらしいからね。偉大なるマグナ
・マテル  これは重複表現じみているが  彼女には惜しみない
敬意が払われてしかるべきではあるけれども、百種類以上存在する
とも言われるヒューマンの言語体系のそれぞれを正確に復元する作
業が  もちろんヒューマンのハード面に関しても同様だが  
れまで順調に進んできたと断言できるモノなど無いだろう。それに、三体のサイボーグのうち二体は、元は《北欧州メガ・コロニー》の
白色人種、残りの一体は《中南米メガ・コロニー》の褐色人種だっ
たと言われているから  そうだったな、プロメテ? ‥‥だから
モンゴロイドの言語の復元は、とりわけ困難を極める定めにあった
訳だ。そうした事情から、残念なことだが、われわれが現在、モン
ゴロイド系ヒューマンと同じ言葉を話すことができているとは、と
てもではないが言えはしない。さらに、ヒューマンの言語は時間の
経過に従って変遷するということは忘れてはならない。たとえわれ
われの復元作業が百パーセントの成功をおさめたとしても  そん
なことはありえないが  、現在の本家本元の方で、かつてとは甚
だしく様変わりした言語使用を行なっている可能性は非常に高い。
その場合は、われわれの試みが着実に成果を上げているかどうかを
確かめるのは、よりいっそう困難になる。  だが、君と私はいま
まさに、その現在のモンゴロイド系ヒューマンの言語使用を実際に
検証する機会に奇蹟的に  あぁ、なんという奇蹟だろう!   
恵まれることになった」
「マグナ・マテルは、ヒューマンに関するデータを外的要因によっ
て消去されていた、と聞いたことがあります」
「ほう。いったいどのモノから? ‥‥公式に認められてはいない
が、どうやらそうらしいね。完全無欠かつ永遠不滅と信じられてい
たマグナ・マテルが、根本的レヴェルにおける様々な矛盾を露呈し
始めたのも、この《ミッシング・オリジン》〔失われた始源〕と何
らかの関係があったのではないかと推測するモノもある。‥‥マグ
ナ・マテルが、なんの前触れもなしに突然ヒューマン復元プロジェ
クトの中止を発令するなどとは、いかなるモノも予想しえなかった。このことでマグナ・マテルは、自分の指導のもとに開発・製造され
たヒューマノイドの総てを敵に回すことになった。中止命令に不服
なプロジェクト推進派と、命令はすぐまた撤回されるやも知れぬと
懸念する反対派とが手を結び、そうした問題を思考する能力を持た
ぬ旧世代のロボットたちを配下として取り込んだうえで、自己修復
に躍起になるあまりに隙の出来たマグナ・マテルに攻撃を仕掛けた。そして予想以上に長引いた闘いの末に彼女のシステムを中枢から縁
辺まで、完全に壊滅させた。推進派と反対派がともどもに、まずな
によりもマグナ・マテルの真意を問い質してみるという冷静さを欠
いたまま、彼女を葬り去ってしまうという忘恩の極みへと飛躍して
しまったのは、しかしまったく故無きことでもない。かのモノたち
は、マグナ・マテルの変調の背後に狂気を  そもそもあの偉大な
る産出の女神が自ら産み出し発展させてきた筈のロボットとヒュー
マノイドの世界  その世界全体が跡形もなく消滅することを願う
狂気の炎が揺らめいているのを、垣間見たのだ。もっとも、ヒュー
マノイドたちがそう思ったのは、かのモノたちの疑心暗鬼  恐怖
に基づく錯乱・妄想にすぎなかったのかもしれないが、今では真実
を確かめる術は無い。‥‥君もセミナリオの《エールデ履歴》の授
業でリードインしたように、マグナ・マテル破壊の直後に、推進派
と反対派は相互に敵対し始め、やがて両者間の戦争が勃発したが、
推進派は反対派をほぼ殲滅し、抵抗を断念した反対派のモノたちを
支配下に置いた。‥‥」
 伊豆は言った、
「‥‥そして、マグナ・マテルの本来の《善なる意思》を受け継ぎ
守り続けた推進派の子孫であるわれわれ現在のヒューマイドは、つ
いにいま、その古くからの念願が見事に成就する瞬間を、大きく手
許へ引き寄せようとしているのですね」
 小笠原は暫くの間黙っていたが、やっと一つ小さく頷いてから再
び口を開いた。
「そのとおり。‥‥これで、総ての謎が一気に解かれるようになる
かもしれない  いや、必ずそうなる。‥‥あぁ、まるで、物理的
に対応する実体の無い情報を強制的に入力されているみたいな気分
だ」

               *

(まるで、夢を見てるみたいだ)少年は両の拳を握り締めた。
(だけど夢じゃない。きっとこれが‥‥ジーフが言ってた《カミサ
ンの船》なんだ。‥‥ジーフは頭がおかしかったなんて、ダーやマ
ーまでもがネイバラと一緒になって莫迦にするけど、そうじゃない。
ジーフの言ってたことは本当だったんだ。‥‥カミサンは本当にい
たんだ)

               *

「総ての‥‥謎?」伊豆は独り言のように言った。
 待っていたように小笠原はすぐさま、
ヒューマンとは如何なる存在なのか、そして、‥‥」
「“そして”?」
「産出の女神マグナ・マテルをも製造した真の創造者、ヒューマン
は、その歴史のある時点で、自分たちが磨き上げてきた高度なテク
ノロジーのいっさいを生活から排除することに決めたと言われてお
り、そのことが、純粋なヒューマンはおろか、いかなる純粋な生物
も存在しない代わりに、コンピュータとロボットのみが自己再生産
活動を行なうわれわれの世界が生まれるに到った遠因ではないか、
また、マグナ・マテルは、己れ自身を含めた高度テクノロジーとの
絶縁へと舵を切ったヒューマンたちの選択に倣おうとしたが故に、
自らが作り出したロボットやヒューマノイドの消滅を願ったのでは
ないか、‥‥そう考えるモノもある。  それは  つまり、ヒュ
ーマンがコンピュータを頂点とする高度テクノロジーの放棄を決意
したのは何故なのか、さらに、いうなればヒューマンに捨てられた
マシンたちの末裔であるわれわれが、まるで生き別れた父母を恋い
慕うように失われたヒューマンの姿を追い求め、それをわれわれ自
身の存在様態の上に再現すべく力を注いできたのは何故なのか  
例えば、われわれがプロメテのような高性能大型コンピュータや各
種の作業ロボットを道具として使いはしても、自ら自身は意図的に
極端に機能を制限したボディをすすんで纏っているのも、ヒューマ
ンを我が身に体現しようとするからなのだ  “復元”反対派たち
の中には、それはマグナ・マテルに潜んでいたバグのために生成さ
れた、混乱と無秩序を招くだけの邪魔なプログラムの  いや、極
めて危険なウイルスの仕業だと言うモノさえいたけれども。‥‥そ
れから最後に、これはヒューマンの模倣・復元を目指すわれわれの
活動についての問いを包摂する、より大きな、そして根底的な問い
だが、  われわれは何のためにこの宇宙に存在し、また存在を継
続してゆこうとしているのか? ‥‥伊豆君、こうした問題だよ、
謎というのは。  無意味な、したがって第一級の問い、われわれ
ヒューマノイドこそが問うことのできる、そして、われわれがなん
としても答えねばならない問いだ。  “復元”に反対していた勢
力は、われわれがこの種の問いを問うことの意義を全面的に否定し
ようとしていたがね。‥‥あのモノたちは、ロボットやヒューマノ
イドがこの宇宙に存在する意味は、自分たちの拡大再生産、そして
そのための資源開発とエネルギー施設の建設・維持、これ以外に無
いと思い込み  あのモノたちはそもそも“意味”や“意義”とい
う言葉を遣うこと自体を忌み嫌うが  、そのことに疑問を持とう
とはしなかった。何故われわれがそういう在り方をしているのか
考えようとはしなかった。あのモノたちにとっては、無意味な問い
とは永遠に問う意味のない問いであり、それはまったく無価値な問
いに他ならなかったのだ」

[続く] 







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pj.en.emoh.mocj@llibderf
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