〜 告白 〜

 

 
――――オレには何もないはずだった・・・
    孤独が心を埋め尽くしていたはずなのに・・・

    隙間を埋めたのは彼女・・・
    手に入らないはずだった彼女・・・

「吹雪ちゃん??」
 千尋は隣にいる憂いた顔の彼女に声をかけた。
「え?」
 我に返ったのか、彼女は千尋の声を聞いて慌てる。
「うわの空だった・・・?」
「そんなことは・・・」

――――彼女はオレの隣にいることを選択したはずなのに・・・

 千尋はそっと彼女の手をとり、握り締めた。
 彼女が傍にいることはすごく嬉しいはずなのに、時折みせる彼女のかすんだ視線に不安を覚える。
 
――――多分まだ彼女の心には彼が棲んでいる・・・まるで根っこを
    生やしたみたいに切り株だけ残して・・・

「吹雪ちゃんオレのこと見てる???」
 千尋は彼女の目をみて静かにそう言った。
「・・・見てるよ・・・」
 吹雪は困った顔をしてそう言う。
「・・・大丈夫だから・・・オレは吹雪ちゃんを泣かせたりしないから・・・」
 千尋は優しく言うと、吹雪の髪を撫でて額にキスをした。

――――だからオレだけを見て・・・

 彼女がまだ悩んでいるのを知っていたから、彼はその言葉を意識的に飲み込んだ。

「ごめんね・・・私どうかしてて・・・」
 寂しげな笑顔で吹雪は千尋に返す。
「・・・オレの前でつくり笑いしなくていいよ。泣いていいから・・・」
 千尋は吹雪の肩に手をかける。
 吹雪は脱力したようにもたれかかると、ほっと安堵のため息を漏らした。
「ありがとう・・・」 
 彼女は氷が溶けるように自分の心に変化が生じていることを確認した。
「千尋・・・」
「ん?」
「ありがとう・・・」
 彼女は同じ言葉を繰り返した。千尋には西日のせいで彼女の表情がセピア色に見えたが、
すこしほころんだ彼女の笑顔がやっと彼を安心させた。
「よかった・・・」
「何が?」
「なんでもない・・・。今日はもう帰ろうか?」
「うん・・・」
 まるで永遠を映し出したように複雑な色をした空を見上げてから二人は帰路についた。

――――今は色あせたままの夢でもいいい・・・
    彩りを加えるうちに彼女の心の壁が解けるなら・・・
  

 Fin

written by Tsuna


【あとがき】
 ゴスペラーズの「告白」を聞いて即興で書いたものです。
 セピア色のイメージの曲・・・とくればオトナ・・・
 ちーさんだ!と思って書きました。前作「You'll be mine」の続編なので、
二人の仲はすこし進展した程度ですが、やっぱり健さんは何をしたんだろう?って感じですね。
 ちーさんって癒しの部分があると思うのでこんなのになりました。
 駄作ですみません&しーのさん受け取ってい頂いて
 ありがとうございました<m(__)m>

【管理者より一言】
 きゃーvvv
 再びつなさんからのちーさん&吹雪ちゃんSS。 
 やっぱりめちゃくちゃ優しいちーさん、きゃ〜vvv
 前作よりもちょっとオトナな感じですね。
 こんなふにしてもらったら、もう心はホッとするでしょうね。
 肩ももたれ、そして額にキス。どこでそんなことをしたのか、ちょっと気になったりして(笑)
 そして、やっぱりけんさんは何をしたの?!
 つなさん、お忙しい中、ありがとうございました。



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