ショートショート


 待合せ 

 今日も間に合わないかも。
 いつもわかっているのよ、時間ギリギリだってことは。
 でも、あなたは時間に正確すぎるわ。
 ちょっとでも時間に遅れると、あなたは先に行ってしまう。
 だけど、もう少し余裕をもってくれてもいいと思うの。
 2分、いいえ1分でも遅く来てくれればいいのに。
 おいていかれる私のこと、考えたことある?
 それはもう切なくて悲しくて……。
 あぁ、ごめんなさい。
 私が悪いのはわかっているの。
 でもそう思わずにはいられない。
 私の願いはたったひとつ。
 あなたがちょっとでも私より後に来てくれて、あなたにあの場所へ
連れていって欲しいだけ。
 あぁ、今日もまたこの信号で足留め。
 そうよ、この信号さえなければ余裕で間に合うのよ!
 いつもイライラしながら早く信号が青にならないかと祈る私。
 そうしているうちに、見えてくるあなたの姿。
 そしてあなたは私に気づきもしないで、目の前を通り過ぎていく。
 あぁ、私をおいて行かないで……。
 

「待って〜! このバス逃すと次は1時間後なの〜!」
 必死になって走るけれど、無情にもバスは私をおいて出発してしまった。

 

      
●ちょっと一言
実話です(笑)
皆様にもこんな経験あります?
目の前で行かれることほど、悲しいものはありません。
わかってはいるんだけど、時間ぎりぎりになってしまうんですよね〜。