ショートショート


 告白 

 席変えをしてから1週間。
 なんだか後ろの席から視線を感じる。
 ちょうど真後ろの席にいるのは、高校に入学してからちょっと気になっている人。
 背が高くて、運動神経が良くて、笑顔も素敵な人。
 みんなからも人気があって、わりと気安く話せる人。
 席が近くなって嬉しいなぁとか思っているところに、なんとなく感じるこの視線は何?
 それに休み時間とか、ちょっとしたことで目が合うように思うのは、私の気のせい?
 もしかして、もしかする?
 告白なんてされたらどうしよう♪
 なんて夢みたいなことを考えながら、図書室へ借りた本を返しに来たら。
「あ、あの、ちょっといい?」
 そう言って突然声をかけてきたのは、例の彼。
 このタイミング、もしかして、待ち伏せされていたとか?!
 そのまま人の少ない方へと歩いていく。
 放課後、人の少なくなった図書室の奥。
 ちょうど夕日がその場をオレンジ色に染める。
 マンガや小説にありそうなこのシチュエーション、これって、やっぱりぃ♪
 彼は周りに人がいないのを確認すると、何か言いづらそうにしながら私を見た。
「あのさ、前から気になってたんだけど……」
 うん、うん♪
「後ろ髪のその1本だけ目立っている白髪、抜いてもいい?」
 はい?

 

      
●ちょっと一言
白髪は抜くとダメなんですよね。
えっ、気になるのは1本だけじゃない?
これ以上はノーコメント(笑)