1日の悩み

 

「ったく・・・・どうしてそんなのがわかんないのよっ!」
「吹雪ちゃんてばぁ・・。小林クンも怖がってるよ?」
「えっ?!!!」

お年頃のこばやしーずにはお年頃のこばやしーずなりの悩みがある。
そう。「学期末考査」・・・・。誰でもこの響きには寒気を覚えるであろう。
そこで大和の提案により、吹雪に勉強を教わることに。健吾は遠慮したが・・・。
吹雪は機嫌が悪かった。
―ったく、小林健吾は遠慮してくれたのに何でこいつは・・・。

「ふぶきちゃーん、これ分からないの・・・」
「え?!どれどれ?!えっとねーこれはぁ♪」
「吹雪ちゃーん、俺もこれ分かんないなぁ。」
「そこでしっかり聞いてな。1回しか言わないから。わかったね」
「・・・・・」

千尋が出来ないわけではないのにここにいるのは・・・まぁ罠であろう。
大和は相変わらず、「わからない」の連発。
吹雪は二人の待遇にかなり差をつけている。それはそうであろう。
千尋と大和の頭の中は随分違うのだから。・・・まぁそれ以外にも理由はあるのだが。

今は英語の時間。やっているところはもちろん・・・吹雪家。
最初吹雪は何故千尋を家に入れなければならないのか、としばらくブツブツ言っていたが
大和の説得で先ほどよりはましになった。
吹雪が大和をみて―小林クンと一緒にお勉強♪とニヤニヤしているといきなり大和が話しかけてくる。
「ねぇ吹雪ちゃん、『私は彼を愛しています』って何て言うの?」
ガタンッッッ!!!!!!!
「ぶっっ・・・・やだなぁ吹雪ちゃん、動揺しないでよ・・♪」
「だっ誰がッ!!!」
「千尋クン・・・・」
もちろん罠。先ほど千尋は大和に「これが分かんないんだけど、俺が言うと吹雪ちゃんあんまりうまく教えてくれないからさ、大和クン聞いてくれない?」と言っておいたのだ。

結果、大成功。

どんなに強がっても吹雪は座っていた椅子から落ちてしまったという決定的証拠がある。
「こっ、小林千尋ーーー!!」
「ん?何かなぁ?」
「きーーーーーっっっっっっ!!!!!!!!!」
「ふっ吹雪ちゃーーん・・・」

と、ケンカが始まりそうになったとき、絶好のタイミングで下から声が掛かる。
「吹雪ちゃーーん、小林くーーん、お昼出来ましたよーーー!!」

吹雪はしぶしぶ下へ降りていく。そしてお昼たいむ。
大和と千尋は相変わらず静の料理を絶賛。吹雪はボーッと千尋と大和をみていた。
―ふーん、二人とも綺麗な食べかたするんだぁ・・・。ちょっと以外・・。
そこで吹雪と静がいきなり緊張。
大和と千尋が同時に煮物に手をつけようとしている。
もう判っていると思うが、そう。煮物は吹雪が作ったモノ。こっそり紛らせたのだ。
ぱく。
静が尋ねる。
「ど・・・どうかなぁ?その煮物?」
「・・・この煮物も静さんが作ったんですか?・・・ちょっと大味・・?」
「ちっ千尋クン、吹雪ちゃんのお家はちょっと薄い味が好きなのかもしれないよっ!」
「・・・・。やっぱり大和クンも薄いと思ってるんじゃない。」
「あ・・・。」

ガッカリ。

ところで吹雪家の味が元々薄い?・・・・そんなとはないと千尋は知っている。
何故かというと、前吹雪家に来たときの煮物の味は濃すぎたから・・。
千尋は確信。これは吹雪が作ったモノだな・・・と。

「さて、昼も食ったことだし!!英語だ英語!」
「吹雪ちゃんはりきってるねーー!」
罠。
「・・煮物は大味だったけどね♪」
千尋がぼそっと言ったのを大和は運良く聞き逃した。が、吹雪は運悪く聞いてしまった。
吹雪の顔がひきつったが、なんとか笑顔を作ることに成功。
「・・・小林千尋・・なにかいった?(それいじょう言って見ろよぶった斬るぜ・・!)」
にこやかに優しく言ったその言葉・・。それには恐ろしい意味も含まれていたが。
(笑)

まぁそれはいいとして、勉強開始。
大和はその後も分からないことを聞き続け、千尋は分からないところがなかったのでひとりで黙々と勉強を続け、時々大和に嘘を教えて吹雪に怒られた。

「さて・・と!もうそろそろおいとましないと迷惑だね。」
そう言ったのは以外にも千尋だった。
「うん、そうだねー。吹雪ちゃん、どうもおじゃましましたー」
「ううん!!いいのよーー!また絶対来てね、小林クンっ!」
「千尋クンはぁーー?」
「あんたはいいのっ!あ、じゃあお茶入れるから。」
大和はいいよ、と遠慮したが、吹雪はさっさと立ち上がり、下へ降りていった。
吹雪が居なくなったところで、しばらく沈黙。
ふいに大和が話し出した。
「そういえばさー、ボク達、もう高校2年生なんだよね・・。だからさ、
3年生になるともうみんな学校は同じでも志望校別でばらばらになっちゃうと思うし、受験が終わると・・もう学校さえもバラバラになっちゃうんだね・・。・・寂しいなぁ。
いやだなぁ・・。だって吹雪ちゃんは頭いいしさ・・」
泣き出しそうになったとき、吹雪がちょうどやってきた。
「・・・どうしたの?」

           イワナイデ

大和の様子を見て、千尋はしばらく黙ってから明るく言った。
「・・・小林クンがさ、3年になったら俺と別れちゃうから悲しいんだってーー♪」

      ・・・・アリガトウ・・・・。

「何いってんの?!あんたまた小林クンに何かしたんでしょう?!!えーい、言えっ!」

帰り道。
「じゃあね、吹雪ちゃん!今日はありがとー!」
そういって大和は反対へ歩き出した。
「ばいばーーい!!」
その後珍しく何もせずに暗い空を見て黙して歩いている千尋を吹雪は見て言う。
「どしたの?」
千尋はいつもと違う寂しげな笑顔で言った。
「ん・・。空が暗いなーと思って・・・・」
「何言ってんのあんた?あたりまえじゃん。夜なんだからさ。何考えてたの。」
「・・・もうすぐ『小林』ともお別れかぁ、と思って。」
「・・・どこの『小林』・・?」

ブロロロロロロロ・・・・

「・・・それはもちろん・・あ、バスだ!バイバイ吹雪ちゃん、また明日!」
千尋は逃げるようにバス停へ走っていった。1度も振り向かずに。
―誰だったのかな?十中八九小林クン・・かなぁ。でもアイツもそう思うんだ。
意外・・かな。
 まぁ今日はここで許してやるか。・・・・バイバイ、千尋。また明日・・。


                       

FIN 

【可愛さんから一言】
 うふふふふ、どうもこんにちは。
 今、私、風邪を引いていまして、熱があるにもかかわらず、
「暇だぁーーー!!」とかいってこんなモノを書いてしまった次第にございます。
 いやだなぁ、流石に熱があると最悪な駄作しか書けなくなってしまうようですね。
 でもまぁ書いちゃったんでお贈りいたします。
 ・・ところで、ちーさんは・・・誰と別れるのがイヤだったんでしょうかね♪
 まぁ大体分かりますけど・・・。では。

 Special Thanks! 

  

ちょっとフリートーク

 可愛さんからいただいたSS第2弾です。
 3人で勉強中のシーンはすごく楽しそうですよね(ってちーさんが/笑)
 お昼のシーンでは、吹雪ちゃんと静さんが緊張するシーンが好きです。
 好きな人に美味しいって言ってもらいたいですよね〜♪
 吹雪ちゃんって器用そうに見えるけれど、なぜ大味な料理を作るのかちょっと謎(^^;)
 体調悪い中、ありがとうございました。