ラヴレター
「好きです。これ・・読んでください」
男の子からラブレターを受け取ってしまった。
彼女にとって、(告白はかなりされたが)ラブレターをもらうのは初めての経験だった。
向井ゆり17歳(なのかなぁ・・)。ひまわり高校のマドンナ的存在である。
彼女は困って、こずえにわけを話してみた。
「ふーん・・で、なんて書いてあったの?」
そう聞かれて、止まる。
そう。彼女はまだ読んでいなかったのだ。
こずえは勘がいいらしい。
「・・まさか、読んでないなんて事は・・ないよね?」
なんで分かるんだろう・・と思いながらもコックリと首を下げる。
「あーもー、じゃあどんな子だったの?年下?年上?同学年?」
また困った。
そう。彼女は何にも聞いていなかった上に顔も見ていなかったのである。
急いで宛名のところを見ると、几帳面そうな綺麗な字で「1−C 久保 荘一」と書いてあった。
「ありゃ、綺麗な字だねぇ。・・顔も見てなさそうだから、ちょっと見てくるねっ♪」
そう言うとこずえは教室の外に走って出ていった。
ゆりは1人になってしばらく放心していたが、自分はラブレターを読まなければならないということを思い出した。
しかしいざとなるとなかなか開けられなかった。
そこでゆりはいつもラブレターを貰いまくっている彼にどのように扱ったらいいのか尋ねることにした。
ゆりが彼の近くまでいって立ち止まっていると、向こうから声を掛けてきてくれた。
「おや、ゆりちゃん。どうしたの?俺に何か用?」
罠はないかと少し警戒しながら、用件を言う。
「ふーん、ラブレターね・・。まぁ、ラブレターはいいとして、ゆりちゃんはその・・
久保クン?をどう思ってるの?」
そう訊かれて、ゆりは少し考えた。
嫌いじゃない。それはそうだ。いきなり彼のことを嫌いになるはずがない。
でも好きなわけじゃない。もともと知らない子だし、相手のことを何も知らない。
しばらく悩んでいると、千尋はにっこり笑って
「分からないでしょ?」
と言った。続けて
「ま、付き合うとかそういうのはゆりちゃん次第だけどね。・・でも久保って・・」
そこまで言いかけたとき、こずえが戻ってきた。
「ゆりっ!!久保クンってねぇ・・あっ、ごめんお話中?」
「いや、いいよ。じゃぁゆりちゃん、そういうことだから♪」
ゆりはなにがそういうことなのか分からなかったが、とにかくこずえの話を聞いた。
「すっごい格好いいじゃん久保クンって!!いい人そうだったしっ!どうすんの?!
・・・ところでさぁ、さっき千尋クンとは何話してたの?ずるいぞっ!!」
ゆりはずるいと言うことを否定しながら、さっきの会話を話した。
「ふーん・・結構優しいんだねー。」
そういえばそうだ。もっと冷たく対応されるかと思ったのに、千尋は優しく聞いてくれた。それに、ゆりの心も決まっていた。
断ろう。私は彼のことを何も知らない。私にだって好きな人の一人や二人はいるんだ!
そう自分に言い聞かせて教室を出ていった。
勇ましく教室を後にするゆりをボーっと見て、千尋はハッと思い出した。
「あ、久保って・・・!・・・やばいなぁ・・」
そう言うが早いか、千尋は急いでゆりの後を追いかけた。
その姿を見た残りの小林3人組は。
「あれっ?どこ行くんだアイツ?」
「走ってったぜ?」
「・・・ついていってみる?」
そういうことになった。
ゆりは1−Cの教室に到着した。
そこで近くの女の子に久保を呼んでもらった。
「久保クーン、向井さんだって!」
久保がやってきた。
「返事ですか?・・・まぁ、裏庭にでも行きましょうよ。」
そう言うと久保はゆりの手を引いて、裏庭にむかった。
二人が行ってからちょっとして、千尋が1−Cに到着。さっきと同じ女の子に聞く。
「あのさぁ、久保っている?」
「えっ・・あ、きゃぁっ!に、二年の小林先輩ですよね?!あの・・握手して下さいっ!」
そう言われて、ちょっと困ったが、握手して、もう一度尋ねる。
「あのさ・・久保って・・」
「あぁ久保君ですか?さっき、綺麗な女の人に呼ばれて・・たしか裏庭に・・」
「そう・・・裏庭、ね。ありがとう。」
そして10秒後くらいに3人到着。またまた彼女に聞く。
「あのさっ!今ここに小林千尋来たでしょ?」
「あ・・はい・・」
「どこに行くって言ってた?」
「あ・・え・・裏庭に・・。」
「裏庭ぁ?何でアイツそんなところに・・。」
「なんか久保クンを追いかけていったみたいですけど・・。」
その言葉に健吾が反応。
「久保か・・!何の関わり持ってるんだアイツ?!」
「・・・久保?どんな人?」
「で・・向井さん、どうなんですか?」
「何ぃ?!中学で退学3回うけた暴力男ぉ?!」
ゆりは断った。ごめんなさい、あなたたとはつき合えない。と。
ゆりがそう言うと久保の顔が変わっていく。
「・・・断るんですか・・?・・俺にそんなこと言って・・どうなると思ってるんだよっ!」
久保が拳を振り上げた。
バキッ!!
ゆりがそっと顔を上げると、ゆりの前には大きな後ろ姿があった。
遠くで声がする。
「小林千尋ッ?!」
「・・おやまぁ。3人そろって何よ?」
「何よ、って・・!!あんた何してんのよ?!」
「何って・・。人助け♪」
ゆりがそうっと前の方を見ると、久保が倒れていた。
「お前・・が久保殴ったのか?」
「ゆりちゃんじゃあないでしょうねぇ♪」
千尋がそう言うと、吹雪はやっとゆりを発見した様子。
「あれぇ?ゆりちゃん、何してんの?」
ゆりは3人にラブレターをもらって、断ったら殴られそうになったところまでを話した。
「なにそれ?!最ッ底ねっ!!・・・っつーことは、本当に人助けだったんだぁ!」
「そう言ってるじゃないか・・。」
「かぁっこいいねっ!!!千尋クンっ!!」
そうよ、格好いいよ。・・私って幸せ者。
気まぐれだったとしても、たった一度でも、千尋クンは私を・・私だけを助けてくれたことがあるんだから。
教室に帰ったらこずえちゃんに自慢しなくっちゃ。
そんなことを思っていたら、ゆりの目に涙が溢れてきた。
それを見た千尋がにっこりと優しく言ってくれる。
「よしよし、怖かったね♪」
そういって頭をポンッと叩いてくれた。
ゆりは我慢しきれなくて、声をあげて泣いた。
「何泣かしてんのよ?!」
「泣かしてないよぉ。」
自慢することが増えちゃった。・・でも今は言わなくちゃ。
ゆりは小さな声で、でもハッキリした声で言った。
「ありがとう・・。」
FIN
【可愛さんから一言】
こんちは。
こんな、わけの分からない、小説とも言えないモノを読んで下さり
誠にありがとうございますm(_ _)m!
えへへ。小説って恥ずかしいですね〜〜☆なんかちーさんの性格ぶっ壊してるしぃ。
いけない子です(笑)。
もうこんなモノは書かないので許してください〜。
Special Thanks!
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