Scene38 遙かなる時空を越えてみよう♪
(『おまけの小林クン』より)


【注意】
このお話は、『小林クンHCD(1〜3発売中)』とゲーム『遙かなる時空の中で(1.2発売中)』の中で
同じ声優さんが出演しているということで、ネタが浮かんでできたものです。
小林千尋=源頼久、小林健吾=森村天真、小林大和=藤姫(遙かは1を参照)となっているため、
こばやしーずにその遙かキャラを当てはめてみたくなったのです。
完全にこれは管理人のおバカなお遊びですので、こんな創作は認めないという方は御遠慮くださいませ。
おバカなお遊びにつき合っていただける方はどうぞお楽しみくださいませ。


 

 ある日、吹雪の元に一通の手紙と、とある台本と衣裳が届けられた。
「差出人はこのサイトの管理人? なになに……。『管理人は『遙かなる時空の中で』にはまりました。よって、こばやしーずにも遙かキャラになってもらうことにしました。では吹雪ちゃん、準備はまかせたからよろしくね♪』って何考えてんのよ、うちの管理人は」
 吹雪は不快そうに眉根を寄せながらつぶやく。しかし、まかせたと言われてしまえば、仕切り屋気質の吹雪としてはやらないわけにはいかない。
 早速、配役に名前を列ねた面々を呼び出して準備を始めた。

 
 

 
〜小林千尋の場合〜

「ちょっと! アンタの衣裳はこっちでしょう!」
 着替えが終わったというので様子を見に来た吹雪は、千尋を見るなりまず怒鳴った。
 珍しく素直に衣裳をまとったかと思われた千尋は、どこから引っぱり出して来たのか割り当てられたキャラではない衣裳を身に付けていた。
 鎖骨が見えるくらいに広げた襟元。少しだらしなくも見えなくないのだが、千尋が着ていると妙な色気を感じる。
 吹雪もはだけた襟元が妙に気になる。
「キャラ的にはこっちでしょ? 声が同じ性質とはいえ、俺、あんな真面目な役ヤだもんね♪」
 本来、千尋に割り当てられた役はヒロインの神子を守る八葉の1人天の青龍『源頼久』。管理人一番のお気に入りの、真面目で一途な武士である。
 性格でいうなら、千尋とはまったく違う。
 自分の性格と遙キャラをよくわかっているのか、千尋が選んだ衣裳は『橘友雅』。
 八葉の1人で、女性にもてて、いつも本心を見せない飄々とした人物である。確かにこちらの方が性格的にはあっているかもしれない。
「うるさい! 配役はもう決まってンのよ! 文句は管理人に言いなさい! ほら、さっさと脱ぐ!」
 吹雪は千尋の襟元をがしりとつかむ。
「じゃあさ、アクラムの衣裳はないの? 鬼の首領なんておもしろそうだよね♪」
 『アクラム』とは、舞台となる京を脅かす敵の頭である。
 罠好きな千尋としては、敵方はまさにぴったりなような気もする。
「アンタがアクラム演ったら本当に京を滅ぼしそうだわ。だから合ってても却下!」
「俺、何でも似合っちゃうから困るよねぇ♪」
「勝手に困ってろ! とにかく、アンタの衣裳はこっち。さっさと着替えて集合!」
 吹雪はアニマル柄の上着を千尋に押し付けると、次の出演者のところへ向かった。

 


 

〜小林健吾の場合〜

「なぁ、委員長。こんな中途半端な着方でいいのか?」
 一旦きっちりと着込んだ着物を腰のあたりまで脱ぐ。
 タンクトップにむき出しの二の腕。さすが体育会系の身体つきである。『天真』よりも健吾の方ががっしりとして逞しい。
「アンタが演じる役の衣裳の着方は適当でいいらしいわよ」
 健吾に割り当てられたのはヒロインと一緒に現代から京へ飛ばされた『森村天真』。
 八葉・地の青龍であり、『頼久』とは同じ四神・青龍に属する。いずれお互いを理解し合い、協力し合う存在である。
 現代の高校生という設定で、今の自分の立場と同じであり、一番演じやすいところである。そして、その天真の衣裳というのは、着物に慣れていない天真が動きやすいように着崩したものである。
「しかしなぁ……」
 健吾的にはその着方はどうもいまいちしっくりこないらしい。
 吹雪的には、いつもよりも薄着で、身体の鍛えられたラインが出るその姿は、少しだけ心臓を高鳴らせているようではある。
「ア、アンタが考え込んでも仕方がないでしょう? そういう衣裳なのよ。じゃ、あとはこのタトゥ−のシールを左腕に貼ってね。はい」
「……ホントにこれを貼るのか?」
「それも衣裳の一部なんだって。じゃ、よろしく」
 はい、とシールを渡すと吹雪は次の衣裳の準備に向かった。
「……こんなものして普通歩かないよなぁ。あ、ずれた」
 健吾はぶつぶつ言いながら、複雑な模様のシールを左腕に貼っていった。

 


 

〜小林大和の場合〜

「吹雪ちゃん……、コレ、ホントにボクが着るの?」
 大きな瞳には明らかに困った色が浮かんでいる。
 それに対して、吹雪の瞳はキラキラとしているように見える。
「そうよ♪ 私がちゃんと着付けてあげるわね。、十二単きれいねぇ」
 大和に用意された衣裳はきらびやかで雅びな十二単。
 それは、神子と八葉を導く役目を担う星の一族の少女『藤姫』のものである。
「さ、まずはこれに袖を通して」
「ふ、吹雪ちゃん、ちょっと待ってぇ〜」
 ストップをかける大和に、大丈夫だからと笑顔を送り、テキパキと着物を重ねていく。
 そして数十分後には見事なお姫さまスタイルの大和が出来上がった。
 なで肩で華奢な大和には、十二単がよぉく似合っている。
 あまりにかわい過ぎるその姿に、吹雪はクラクラし、思わず抱きしめたくなる。しかし、なんとかそれを思いとどめる。
「ふ、吹雪ちゃん。こ、これ、重くて歩けないよ〜〜。うわぁ」
 重い衣裳を引きづりながらも歩き出そうとした大和だったが、自ら裾を踏んづけて、前のめりに倒れた。
「小林クン?! 大丈夫?!」
 さすがに現代の服装しかしたことのない大和にとっては、十二単は動きにくいのであろう。
「い、いひゃいよぉ」
 大和は自分の鼻を撫でる。赤くなった鼻の頭。思いっきり正面からぶつけたようである。
 十二単に慣れるまで、鼻が無事ならいいけれど。
 ……っていうか、慣れなくてもいいだけどね、男のコなんだから(^^;)
「あ、本番ではほとんど歩かないから大丈夫みたいよ。畳の部屋で座ってればいいんだって」
「ホントに?」
「ヒロインの神子に『いってらっしゃいvvv』『お帰りなさいvvv』って言うだけみたい」
 それはちょっと違います。
「それならいいけど……」
「……」
「どうかしたの? 吹雪ちゃん」
「やっぱり髪も長い方がよくないかなぁ。待ってて、演劇部に行ってカツラ借りてくる!」
「ふ、吹雪ちゃん?! これ以上重いのはイヤよぉ〜。うわぁ」
 吹雪を止めようとした大和は、これまた裾を踏み付けてしまい、鼻の頭を床にぶつけたのだった。

 

 

〜小林燕&斉藤あげはの場合〜

「どう考えても配役間違ってない?」
 吹雪の顔を見るなり、あげはが問う。
「そう、かなぁ」
「そうよ。どうして私が鬼側なのよ? それに衣裳地味過ぎよ。どうしてちびっこが十二単着るのよ? 私の方が似合うでしょう?」
「え、そ、そうかもしれないけど、小林クンも似合ってたわよvvv それがとってもかわいくって……じゃなくて、ほら、『蘭』は美少女だもん、これはあげはしかできないでしょう?」
 あげはの役は鬼に連れ去られた少女『森村蘭』である。健吾扮する天真の妹で、神子と八葉と敵対する彼女は、口数の少ない長い黒髪の美少女だった。
「それにね、鬼側とはいえ燕センセも一緒だし。センセと離れるのはイヤでしょう? って、センセ、サングラスははずしてください!」
「サングラスがないと落ち着かないんですよねぇ、吹雪サン」
 鬼組副官のイクティダールの衣裳を着つつも、サングラスだけははずせない燕である。
「センセだって、どうせやるならアクラムの方がいいじゃない! 私もセンセも地味だわ!」
 確かに八葉や神子の衣裳に比べて地味である。あげはの気持ちもわからなくはない。
「京を滅ぼそうとする鬼の首領……とてもワタシにはできないです」
 あげはの後ろで燕は頼りな気に首を左右に振る。
「こうなったら、2人で京を手に入れるわよ!」
 どういう訳か開き直ったあげはは、こぶしを握りしめて叫ぶ。
 あげはさん、蘭が仕切っては話が違って来てしまいます……。
 いや、鬼組が京を手に入れようとしているなら合っている、のか……?
「と、とにかく今回はその役だから、よろしくね!」
 これ以上はつきあえないとばかりに、吹雪はその場を離れた。

 


 

〜出演者集合、そして小林吹雪の場合〜

「みんな、指定の衣裳着たわね。じゃ、台本」
 吹雪はテキパキとこれから始めようとする台本を手渡した。
「で、吹雪ちゃんは何役なの?」
 千尋はぺらぺらと台本をめくりながら訊く。
 台本には役名しかないため、吹雪が誰を演じるのかはわからない。
「わ、私は裏方よ! 裏方!」
 慌てる吹雪に、千尋は何かを感じる。
 あげはや燕にまで衣裳を着させたのである。『おまけの小林クン』のヒロインたる吹雪がただの裏方であるはずがない。
 千尋はにやりと笑ったかと思うと、サッと吹雪が手に持っていた紙を取り上げた。
「ちょ、ちょっと返してよ!」
「どれどれ、吹雪ちゃんは……。なんだ、やっぱり神子役じゃないか」
 やはりヒロインにはヒロインの役をやってもらいましょう。
 それなのに、吹雪は首をぶんぶんと左右に振って抵抗する。
「わ、私は着ないわよ。そんな桜模様のかわいい水干に、ミニスカートの衣裳なんて似合う訳ないじゃない!」
「似合うかどうかは別として、みんな指定の衣裳を着たんだから吹雪ちゃんも着ないと。それにヒロインはやっぱり吹雪ちゃんしかいないでしょ? 『さぁ、かわいい人、私のためにその衣裳を着てはくれまいか?』」
 某少将を真似た艶っぽい声音と視線に、吹雪はドキリとした。
「な、何言ってんのよ?! アンタは友雅じゃないでしょう!」
「そっか。じゃ、こっち。『神子殿、私が一生をかけて貴女をお守りいたします。ですからどうぞ私の言葉をお聞き届けください』」 
「や、止めてよ! その声音で言わないでよ!」
 管理人は聴きたいです……。
「『さぁ、神子殿……』」
 千尋は吹雪の肩を抱きながら、耳元でささやく。
「その手を離せ! 『召雷撃!』」
 何を思ったのか突然健吾が叫ぶ。
 ちなみに、『召雷撃』は天真が使う術のひとつである。
「お、健吾くん、やる気だね。それなら俺も♪ 『東天を守りし聖獣青龍よ、我が呼びかけに応えよ!』」
「ちょ、ちょっと待て! いきなり青龍を呼ぶな!」
 ちなみに、『青龍』は八葉の天地の青龍の2人のみが召喚できる技である。
「ふふん♪ 早いもの勝ちだよ。使えるものは使わないとね♪」
 千尋はにやりと笑みを浮かべた。
「仲間同士でケンカはダメよぉ。うわぁ」
 重い衣裳を身に付けた大和は、よいしょと千尋と健吾の方へ行こうとした途端、お約束のように裾を踏む。畳に鼻をぶつける音と、金色の冠の飾りがシャラリと鳴る。
「お次は、っと。『西天を守りし聖獣白虎よ、我が声に応え来れ!』」
「お前が使うな!」
「『問題ない』♪」
「センセ、仲間割れしているわ! 今のうちに呪詛よ! 呪詛するのよ!」
「そんな恐ろしいことできませんよ〜」
 それぞれがそれぞれの術を用い、その場は術の応酬となり、どんどんひどい状況になりつつある。
「ちょっと、管理人! どうにかしなさいよ! 収拾つかないわよ!」
 思わず吹雪が叫び出す。
 う〜ん、やっぱり無謀だったかな(笑)
「笑い事じゃない!」
 じゃ、吹雪ちゃん、神子の衣裳着てくれる? そしたら言ってあげる。
『神子、お前の願いを叶えよう』

「管理人のバカ〜!!!」

どうやら、こばやしーず達には遙かなる時空は超えられそうにないようです(笑)

                                   Fin


<ちょっとフリートーク>

ついにやってしまいました、こばやしーず in 遙かワールド(^^;)
いや、だって声優さんが同じなんですもの。
私の好きなちーさんと頼久さんが同じvvv
嬉しいじゃないですか♪
タイプは全然違うけれど、ちーさんには頼久さんの台詞を一度言ってみて欲しいなぁ
なんて思っちゃったりしたんですよね。 
HCD出た時から実は一度やってみたかったんです(笑)
遙か仕様のCGも描きたいと思ったのですが、ちーさんには頼久さんの衣裳よりも友雅さんの
衣裳の方が似合いそうとか思ったり、アクラムもいいかもなんてことになり、
それこそ収拾つきそうになかったです(^^;)
なので、今回は文章となりました。

この話、思わず作ってしまったとはいえ、わかる人にしかわからなくて申し訳ないです(^^;)
このテのお遊びはたぶんもうやらないと思いますので御容赦を〜。

    

   

  


 

●感想はこちらからでもOKです。ひとことどーぞ♪     

お名前(省略可)            

感想