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歯周病とは歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)に発症する疾患の総称です.日常的に問題となる歯周病は歯肉炎と歯周炎です.

東京都新宿区中落合2-20-6
TEL.03-3954-8844

歯周病(ししゅうびょう)periodontal desease

 歯周病には歯肉炎と歯周炎があります.

 歯周病の原因はプラーク(細菌)なので、プラークを除去すること(プラークコントロール)で、ほとんどの歯周病は治すことができます.
 プラークコントロールの基本は歯みがき(ブラッシング)です.

 歯肉炎を起こしているかどうかは、歯肉をみることで判別できます.

 歯肉炎と歯周炎の判別は見ただけでは分からないので、X線(レントゲン)写真で歯周炎の有無や進行程度を判断します.

このページの目次
1.歯周病とは:歯肉炎と歯周炎があります

2.歯肉炎とは:歯肉に炎症をおこした歯周病です 
 歯肉炎の診断:歯肉を見ることで判断します
 歯肉炎の分類:炎症のおこっている部位によって分類します
 歯肉炎の進行:歯間乳頭部にはじまり辺縁歯肉に広がっていきます
 歯肉炎発症のメカニズム:歯肉の血流障害によっておこります
 歯肉炎の原因:細菌のかたまりプラークです
 歯肉炎の治療:歯みがき(ブラッシング)で治します
  片山式ブラッシング法 
  ブラッシング(歯みがき)の3原則

3.歯周炎とは:歯周組織が破壊されてしまう歯周病です
 歯周炎は骨が溶ける病気です
 歯肉炎と歯周炎の判別:X線写真でおこないます
 歯周病の進行程度:X線写真で骨の吸収をみて判断します
 歯周炎の原因:細菌因子と宿主因子が原因だと考えられています
 歯周炎の治療:細菌、宿主、力の3因子に対するアプローチが必要です
 歯周炎の診断:X線写真が重要です
 歯周炎発症のメカニズム:歯周組織破壊によってはじまります
 歯周炎の予防:歯みがきです
 歯周ポケットとは:歯と歯肉の境目にできた深い溝のことです

4.歯周病のドグマ(誤った定説)
 「日本人の8割が歯周病」というウソ
 「歯周病を放置しておくと命に関わる」?
 「歯周病の歯を抜歯しないと大変なこと」にならない
 「歯周病は定期検診で予防できる」わけではない
 「歯周組織再生療法は効果がある」?

5.歯周病と全身疾患・ペリオドンタルメディスン

 ペリオドンタルメディスンとは
 不安を促すペリオドンタルメディスン
 歯周病と心疾患、脳梗塞
 歯周病と糖尿病
 歯周病と早産低体重出産


6.歯周病は治りますか?.歯ブラシの奇跡!? 


歯周病とは:歯周病には歯肉炎と歯周炎があります

 歯周病とは歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)に発症する疾患の総称です.

 アメリカ歯周病学会(AAP)では歯周病を8の項目に分類しています.
@歯肉疾患、A慢性歯周炎、B侵襲性歯周炎、C全身疾患の一症状としての歯周炎、D壊死性歯周疾患、E歯周組織膿瘍、F歯内病変関連歯周炎、G先天性および後天性の形態異常

 この中で日常的に問題となる歯周病は歯肉炎(@の歯肉疾患に含まれる)と歯周炎(@慢性歯周炎とB侵襲性歯周炎)です.
AAP歯周疾患の最新分類 アメリカ歯周病学会編 石川烈監訳 クインテッセンス出版 2001


歯肉炎(しにくえん)とは:歯肉に炎症をおこした歯周病です

歯肉炎は歯周組織のうち、歯肉だけに炎症をおこした歯周病です.
歯周組織は歯肉をはじめとして、歯槽骨、セメント質、歯根膜によって構成されます.
歯と歯周組織の模式図


















*歯周組織=歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨
・歯=エナメル質、ゾウゲ質、歯髄

歯肉炎の診断:歯肉を見ることで判断します

*歯肉に炎症があるかどうかは、歯肉の色、形、構造物によって判断します.
歯肉に炎症があるかどうかの判別
炎症歯肉(左側)と健康歯肉(右側)
歯肉炎の歯肉は健康歯肉に比べ赤味をおび、丸く膨れた感じになります.
《炎症歯肉と健康歯肉の判別をさらに詳しく》


*炎症のある歯肉(治療前)と健康な歯肉(治療後)の口腔内写真
炎症のある歯肉の口腔内写真
炎症のある歯肉(治療前)
歯肉炎の治癒した口腔内写真
健康歯肉(治療後)
《歯肉炎治療の症例写真はこちら》


歯肉炎の分類:炎症のおこっている部位によって分類します

歯肉各部位の名称の図
歯周病は怖くない-正しく理解し、抜かずに治す 小西昭彦、かず代 医歯薬出版 より引用
歯肉炎は、炎症のおこっている部位によって歯間乳頭部歯肉炎、辺縁歯肉炎などと分類されます.

歯肉全体に炎症の広がったものは、瀰漫(びまん)性歯肉炎といわれています.

歯間乳頭歯肉炎

歯間乳頭部がふくれて、少し赤くなっています.
歯間乳頭歯肉炎の口腔内写真
歯間乳頭歯肉炎の治癒時の口腔内写真

瀰漫(びまん)性歯肉炎

歯肉全体に炎症が広がった歯肉炎を瀰漫性歯肉炎といいます..
歯間乳頭歯肉はふくれ上がり、裂け目ができているところもあります.
びまん性歯肉炎の口腔内写真
びまん性歯肉炎の治癒時の口腔内写真

辺縁歯肉炎

辺縁歯肉が赤く充血しています
辺縁歯肉炎の写真
辺縁歯肉炎の治癒した口腔内写真


歯肉炎の進行:歯間乳頭部にはじまり辺縁歯肉に広がっていきます

歯肉炎は歯間乳頭部からはじまって、辺縁歯肉に沿っ広がり、隣の歯間乳頭部の歯肉炎とつながって、次第に歯肉全体に広がっていくのが一般的なパターンです.

健康歯肉の模式図歯間乳頭歯肉炎の模式図歯肉炎が拡大した状態の模式図歯肉全体に歯肉炎が広がった模式図
@:健康歯肉
A:歯肉炎は歯間乳頭部からはじまります
B:炎症は辺縁歯肉に沿って隣の歯間乳頭部の歯肉炎とつながります
C:炎症は拡大して歯肉全体に広がります

















歯肉炎発症のメカニズム:歯肉の血流障害によっておこります

歯肉炎発症のメカニズムの模式図
 歯と歯肉の境目にプラークが停滞すると、細菌が体内に入ってくるのを防ぐために、白血球(好中球≒顆粒球)がその部分に集まってきます.

 このとき歯肉の血管が拡張したり、血管から液状成分が滲出したりするので、歯肉は赤くぶよぶよと腫れてきます(発赤腫脹:ほっせきしゅちょう).
 これが歯肉炎です.

 白血球は細菌を排除するため歯肉に遊走してきます.
 したがって、細菌の集合体であるプラークを除去すれば、白血球をその部に送り込む必要がなくなるので、歯肉の炎症症状は消退します.


歯肉炎の原因:細菌のかたまりプラークです

プラークの写真
 歯肉炎の原因は歯の表面についているネバネバした白いものです.
 このネバネバは細菌のかたまりで、プラーク(歯垢)といいます.
 今から45年前、デンマークのハロルド・ロー(Harald Loe)という先生の研究から歯肉炎の原因がプラーク(細菌)であることがはっきりしました.


歯肉炎の治療:歯みがき(ブラッシング)で治します

 歯肉炎の原因はプラークなので、プラークを除去すれば歯肉炎は治ります.
 プラークを除去する一番効果的な方法は歯みがき(ブラッシング)です.

片山式ブラッシング法


 歯周病治療の歯磨きとして編み出されたのが“片山式ブラッシング法”です.
 片山式ブラッシング法は“突っ込み振るわせ磨き”と“フォーンズ法”の2つが基本になります.
突っ込み振るわせ磨き フォーンズ法
突っ込み振るわせみがきの方法 歯肉を活性化するブラッシング方法、フォーンズ法
細菌のコントロール 歯ぐきの賦活
歯と歯の間に毛先を突っ込み、細かく振るわせます 歯肉に刺激を与えるようにゴシゴシ磨きます
≪片山式ブラッシング法についてはこちら≫

ブラッシング(歯磨き)の3原則

 片山式ブラッシング法を行うときに注意しなくてはならない点があります.
 “痛くしない”、”出血させない”、”歯みがき剤を使わない”の3点です.
≪ブラッシングの3原則≫


歯周炎(ししゅうえん)とは:歯周組織が破壊されてしまう歯周病です


歯周炎の模式図

歯周炎とは

歯周炎は歯を支えている歯周組織が破壊されてしまう歯周病です.

かつて”歯槽膿漏”と呼ばれた歯周病は進行した重度歯周炎のことです.
 


歯周炎は骨が溶ける病気です

歯周組織の模式図
歯周炎は歯肉のみならず歯周組織()全体に炎症が広がります.
そして免疫システムの誤作動により、歯周組織が破壊されてしまう疾患です.
特に歯を支える歯根膜と歯槽骨が壊れてしまうことで、歯はグラグラしてきて最後には抜けてしまいます.


歯肉炎と歯周炎の判別:X線写真でおこないます

歯周炎は歯肉の下にある歯根膜や歯周組織が破壊されてしまう疾患なので、歯肉をみるだけでは判断がつきません.

歯周炎かどうかを判定する簡便な方法は歯周ポケットを調べることです.

さらに詳しい診査はX線写真でおこないます.

歯槽骨吸収のないX線写真と重度の歯周病のX線写真.
健康な歯周組織のX線写真重度歯周病のX線写真


















@健全な歯周組織:は歯冠の根元まで白い不透過像が認められます(白矢印)
A重度歯周病:周りの骨がほとんど溶けて黒っぽくなっています(赤矢印)


歯周病の進行程度:X線写真の骨の吸収をみて判断します

歯周病の進行程度は歯槽骨の残り具合に応じて6段階に分けられます.
歯周病の進行程度の模式図
《歯周病の進行程度についてはこちら》


歯周炎の原因:細菌因子と宿主因子が原因だと考えられています

 歯肉炎の原因は細菌であることが分かっていますが、歯周組織破壊を伴う歯周炎の病因に関しては現在でも不明なたくさんあります.

 歯周炎は原因がいくつかある多因子性の疾患であると考えられています.
 細菌が歯周炎発症の必要条件であることは間違いありませんが、歯周炎の原因は細菌だけではないと考えられています.

 十分条件として考えられるものとして宿主因子があげられます.
 宿主因子としては喫煙、糖尿病、加齢、ストレスなどが考えられていますが、安保免疫論の立場で考えるとストレスが大きくクローズアップされます.
《歯周炎の原因》


歯周炎の治療:3つの因子に対するアプローチが必要です

 歯周炎の治療は細菌に対するアプローチ以外に、宿主因子や力に対するコントロールが必要です.
 細菌に対するアプローチは歯肉炎の治療と同様ブラッシングが重要になります.
 宿主因子に対するアプローチは難しいのですが、ストレスや疲労、睡眠不足などが歯周組織破壊をもたらすのことを知って、ご自分の身体をいたわることが大切だと思います.

 歯にかかる力は硬いものを噛む力に加えて、歯ぎしりや噛みしめなどの不良習癖が大きな被害をもたらします.
 歯ぎしりなどの誘因となる歯牙接触癖に十分注意したいと思います.
≪歯周炎の治療を詳しく≫


歯周炎の診断:X線写真が重要です

歯周炎の進行程度や回復程度は歯肉の炎症の改善とともにX線写真で判断します.

中等度から重度の歯周炎では歯槽骨が溶けてしまうので、X線写真では歯の周りが黒っぽくなっています.(黄色矢印)
歯周炎が改善してくると白さが増してきます.(青矢印)
@治療開始時
重度歯周病のX線写真重度歯周病の歯肉の状態
@-1:歯肉の状態からは歯周病が進んでいるかどうかは分かりません.X線写真をみると、歯槽骨の支持量は1/3程度しかない重度の歯周炎であることがわかります.
@-2:歯間乳頭部が炎症をおこしています(白矢印).

A治癒
重度歯周病の治癒時のX線写真 重度歯周病の治癒時の口腔内写真
A-1:歯周炎が改善してくるとX線像で、白さが増してきます.歯槽骨のラインはへこんだ状態から水平になろうとします.(青矢印)
A-2:歯周炎が改善した歯肉の様子です.



歯周炎発症のメカニズム:歯周組織破壊によってはじまります

 歯周炎の組織破壊は歯肉炎に続発して発症するといわれています.

 しかし、歯肉の腫れが長い間続いているのに歯周炎にならない人もいますし、歯肉炎の徴候さえほとんどなかったのに、急激に歯周組織が破壊されてしまうこともあります.(下図)
ほぼ健康な歯槽骨のX線写真  急激な骨吸収のおこったX線写真
歯が急にグラグラして噛めなくなってしまったと来院しました.
ほぼ正常のレベルだった歯槽骨が1年間でほとんどなくなっています.
この1年の間に人生でもっとも悲惨なトラブルに巻き込まれていました.
《歯周病、組織破壊のメカニズムについてはこちら》


歯周炎の予防:歯みがき(ブラッシング)です

 歯周炎がいつ、どのようにして発症するかは現在でも解明されていません.
 したがって歯肉炎から歯周炎への移行することを阻止することはできないので、歯周炎の予防は歯肉炎をきちんと治療して、発症を阻止することになります.
 歯周炎の予防でも、歯みがき(プラークコントロール)がとても大切になるわけです.
片山式ブラッシング法はこちら》


歯周ポケットとは:歯と歯肉の境目にできた深い溝のことです

歯周ポケットの模式図  プローブを挿入した写真
 歯周ポケットというのは、歯と歯肉の接している部分にできる深い溝のことです.
 プローブ(青矢印)という器具を使ってこの部位の深さを測ったり、出血の有無を調べることで歯周炎の状態を探ります.
 歯周炎の有無を判定したり、進行度を推測したりするのに一番簡便な方法が歯周ポケット検査なのです.
プローブの写真
プローブの全体像


歯周病のドグマ(誤った定説)

 歯周病についてネットで調べてみると「日本人の8割が歯周病」あるいは「脳梗塞や心筋梗塞の原因となる」など、ずいぶん刺激的な文言が並んでいます.
 これらの表現はすべて嘘ではありませんが、ずいぶんと誇張があるというのが私の正直な思いです.
 これら針小棒大に語られている情報について、正確なところを書いてみたいと思います.
歯周病に関する誤った定説

1:「日本人の8割が歯周病」というウソ
2:「歯周病を放置しておくと命に関わる」?

3:「歯周病の歯を抜歯しないと大変なこと」にならない

4:「歯周病は定期検診で予防できる」わけではない
5:「歯周組織再生療法は効果がある」?


歯周病と全身・ペリオドンタルメディスン


 近年、歯周病は口だけではなく、全身とも関連するということが指摘されるようになりました.
 この概念をペリオドンタルメディスンといいます.
ペリオドンタルメディスンとは

1:不安を促すペリオドンタルメディスン
2:歯周病と心疾患、脳梗塞
3:歯周病と糖尿病
4:歯周病と早産低体重出産


歯周病は歯磨きで治りますか?

 歯周病治療の基本は歯磨きです

 歯肉炎は歯みがきで治すことができます.
 歯周炎も軽度から中等度のものは歯みがきだけで治すことができます.

 重度歯周炎でコロッケも食べることができなかった人が、歯ブラシだけで重度歯周炎を完治させてしまった驚きの症例もあります.

≪歯周病は歯磨きで治りますか?≫