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安保免疫論.白血球も心臓など他の臓器と同様自律神経の支配を受けるというのが「白血球の自律神経支配の法則」です

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安保免疫論abo immunology

安保徹(1947〜2017)

 安保徹先生は、1947年青森県生まれの国際的免疫学者です.
東北大学医学部卒業、新潟大学大学院歯学総合研究科教授(国際感染医学・免疫学・医動物学分野).
 米国アラバマ大学留学中の1980年に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製しました.
 1989年には、それまで胸腺だけでつくられるとされていたT細胞が、実は肝臓や腸管上皮でもつくられていることをつきとめ、胸腺外分化T細胞を発見しました.
 1996年に「白血球の自律神経支配の法則」を発見しました
 さらに、1999年には、マラリア感染の防御が胸腺外分化T細胞によって行われることを発見しました.
 2000年には胃潰瘍=胃酸説を覆す顆粒球説を米国の医学誌Digestive Disases and Siencesに発表しました.

 現在も国際的な場で精力的に研究成果を発表、活躍し続ける世界的免疫学者です.
 著書に『医療が病をつくる』1)『免疫革命』2)『自律神経と免疫の法則』3)などがあります.
1)安保徹:医療が病をつくる、岩波書店、東京、2001
2)安保徹:免疫革命、講談社インターナショナル、東京、2002
3)安保徹:自律神経と免疫の法則、三和書籍、東京、2004

白血球の自律神経支配の法則

顆粒球とリンパ球は自律神経支配を受ける

 安保徹先生の研究の中で特に歯周病(歯周炎、歯槽膿漏)との関連が深いと考えられるのが「白血球の自律神経支配の法則」です.
 白血球も心臓や腸や胃など他の臓器と同様自律神経の支配を受けるというのが、「白血球の自律神経支配の法則」です.

交感神経が緊張すると顆粒球の産生が促進される

 白血球には大別すると顆粒球、リンパ球、マクロファージがあり、そのうち顆粒球とリンパ球は他の臓器と同様自律神経の支配を受け活性化しています.

 顆粒球とリンパ球はアドレナリンレセプターとアセチルコリンレセプターを発現しており、交感神経の緊張が持続すると顆粒球が過剰に産生され、反対に副交感神経が優位になるとリンパ球の産生が促進されます.(1,2,3)
1) Suzuki S et al.: Circadian rhythm of leucocytes and lymphocytes subsets and its possible correlation with the function of the autonomic nervous system.Clin Exp Immunol. 1997 Dec;110(3):500-8.
2) 安保徹:生体防御、鴨井久一ほか編、Preventive Periodontology、医歯薬出版、2007、175-180
3) 安保徹:自律神経と免疫の法則、白血球膜上に発現する自律神経レセプターと白血球の生体リズム、三和書籍、2004、7-13

白血球の割合が変わると問題を起こしやすくなる

 血流中における白血球の分布はマクロファージ5%、顆粒球54〜60%、リンパ球35〜41%という割合で存在していますが、この値を大きくはみ出たときに問題が起こりやすくなります.

 交感神経緊張が長く続くと、その支配を受ける顆粒球の数は増加し、その比率が65%以上になると自らが放出する活性酸素や酵素によって細菌のみならず健全な組織をも破壊してしまうおそれがでてきます.

 一方、運動不足などで副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が増加してアレルギー関連の問題が起こりやすくなると考えられています.

過剰な顆粒球が粘膜組織を破壊する

 生体がストストレスにさらされると自律神経系の反応がまず起こります.
 交感神経緊張が惹起され、神経線維末梢から放出されるノルアドレナリンの作用により顆粒球の過剰産生と血流障害がもたらされます.
 顆粒球は骨髄で産生され粘膜に移行して死滅すると考えられており、この反応が強すぎると顆粒球の放出する活性酸素や酵素によって粘膜組織が破壊されてしまいます.
 常在菌の多い歯周組織や直腸がこの組織破壊のターゲットになりやすいと考えられています.

ストレス


ハンス・セリエ(1907−1982)
 現代人はさまざまなストレスにさらされて生きています.
 ストレスは生体に加わる刺激に対する生体反応です.
 この生体反応に“ストレス”という名前をつけたのはハンス・セリエという医学者です.

 セリエ先生はストレスに関連する一連の身体反応を生体の適応現象ととらえていました.
 そのメカニズムが働くことで生体のホメオスタシスは保たれるわけですが、破綻すると生体のホメオスタシスが崩れストレス関連疾患を発症してしまうということになります.
 歯周病もこのストレス関連疾患の一つだと考えることができます.
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