2001/6/2 「年金資金運用基金」住宅ローン、600億円こげつき 朝日新聞ニュース速報

厚生年金などの積立金を運用する特殊法人「年金資金運用基金」が行う住宅ローンの融資に多額のこげつきが発生、6月から一部の融資で信用保証がつかなくなったことが1日明らかになった。すでに一部で新たな融資の受け付けをやめている。所管官庁の厚生労働省は融資事業を大幅に縮小する方針を決め、具体策の検討に入った。

同基金は小泉純一郎首相が厚相時代に廃止を決めた「年金福祉事業団」を4月から引き継いだ組織。特殊法人改革を進める首相は改めて見直しの対象にしており、事業の改廃につながりそうだ。

信用保証が受けられなくなったのは同基金の住宅ローンを扱う53の公益法人のうち19法人。これら法人から資金が流れている保証会社「年金福祉信用保証」(本社・東京都新宿区)が、事実上の経営破たん状態に陥っているためだ。

保証会社は、会社員など個人の住宅ローンの返済が、7カ月ストップすると肩代わりをする契約だが、昨年9月時点で肩代わりができないローンが8千件近くの合計約600億円になり、19法人はこの時点で新たな融資の受け付けをやめた。融資は住宅が完成して引き渡す時に行われるため現在も続いているが、6月からは保証もつけず、基金が直接、物件を担保に取る形に切り替えた。ただ、融資受け付けをやめた19法人が営業している地域では、残りの法人が融資を続けている。すでに融資を受けている人も直接影響はない。

同省は保証会社と19法人を整理することも含め検討。ほかの法人は、大手の保証会社などを使っているため、融資は継続しているが、こげつきが出ているところもあり、同省は事業全体の見直しも視野にいれている。

住宅ローン破たんが増えてきたのは96年ごろから。19法人などは「年金福祉信用保証」への間接的な出資の形で計約40億円の支援をしてきた。

新規の住宅ローンも、53法人全体の96年度の契約は約24万件、計約2兆3千億円だったが、99年度には約5万9千件、計約5800億円まで落ち込んだ。都銀などが住宅ローンに力を入れていることも影響している。

住宅ローン金利は超低金利で、基金が年金積立金から借りている金利のほうが高い「逆ざや」になっており、その穴埋めのために年金積立金から年間400億円余りの資金援助が続いている。[2001-06-02-03:04]


(個人的なコメント)

年金福祉事業団の時から、逆ざやなのにいまさら何をいっているのか。特殊法人「年金資金運用基金」は年金福祉事業団の垂れ流した赤字を非難されないように、姿を変えるための隠れ蓑です。

長年、運用が逆ざやにもかかわらず景気がよくなればなんとかなるという厚生族の利権政治家と中央官僚の先送り体質は、サラ金の多重債務者とは比較にならない、莫大な借金を国民に与えていても恥じない恥知らずです。上記の新聞の論調も、報道の使命を忘れた「真綿にくるんだ報道」で、何を言いたいのかわからない。遠回しに非難したって、一般の国民にはその裏が分かるはずがない。

年金福祉事業団が貸し付けて行って、各地に巨大な利用されない保養所建設や資金提供がどれほど建設利権、天下り先確保、選挙対策、政治資金の提供などにむすびついていたことでしょう。かくれた第2の国家予算の提供等で利権創造の原資を提供してきたか? 、郵便貯金・簡易保険などの運用の実態を国民が知ったらきっと「ずるがしこい」と、驚きます。

だから、小泉首相はその隠れた弊害を念頭に郵政三事業の民営化を言っているのです。

郵便貯金や簡易保険などで預かった国民の財産は、国民が知らないうちに官僚の天下り先で高給をとっている年金福祉事業団などが運用し、財政投融資という第2の隠れた国家予算に流用されていて、国家予算にあらわれない赤字を垂れ流し、かつ、逆ざや運用になっています。要するに、官僚や政治家は、国民から借りたお金を赤字事業(逆ざや運用・むだな公共事業)に垂れ流して無策・無能ですが、国民の目から隠す能力・利権を創造する能力は抜群です。


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