99/02/04 <バイアグラ>服用死に注意 ニトロ製剤との併用は絶対に避ける

毎日新聞ニュース速報

「バイアグラ」が、いよいよ日本に上陸する。この男性インポテンツ治療薬を世界に先駆けて昨年4月から発売した米国では、「服用死」問題が報じられるなど、使用に対する不安も少なくない。そこで、バイアグラの臨床試験の責任者であるファイザー中央研究所のクレイグ・サクストン博士と、日本のファイザー製薬常務取締役のデクラン・ドゥーガン博士に直撃インタビューし、米国での経験や今後の展望について聞いた。 【ワシントン・瀬川 至朗】

―米国で発売されて10カ月。反響はどうですか。

◆米国でもバイアグラの購入には医師の処方せんが必要です。これまで約20万人の医師が600万以上のバイアグラの処方せんを書いた。他の薬なら2年以上分に相当します。処方せんを受け取った患者数は300万人余りだから、繰り返して処方を受けるリピーターが非常に多いということでしょう。これは、多くの患者がバイアグラの有効性と安全性を実感し、使用を継続していることを意味しています。

――バイアグラを服用した男性の死亡例約130件が米食品医薬品局(FDA)に報告されました(昨年11月現在)。バイアグラの安全性は。

◆安全性を確信していなければ売りません。我々は、発売前から、性的不能の起きる年齢層などからして、バイアグラを服用する患者が心臓病にかかりやすい層である点を認識していた。性的不能そのものが心臓病が原因で起き場合もあるからです。また、性行為自体が血圧を高め、心臓の拍動をかなり早めさせるため、性行為に伴って心臓発作などの事故の発生率がわずかながら上昇することも認識していました。だから、ラベルにそう明記したのです。

これまでのところ、事故例の多くは以前から心臓病をわずらっていた患者で、バイアグラの服用が直接、事故を招いたという証拠はない。

事故を引き起こしているのはバイアグラと心臓病治療薬のニトロ製剤(ニトログリセリン、ニトロペン、ニトロールなどの硝酸薬)を併用するケースで、これは絶対に避けなければいけない。両剤の併用は禁忌(きんく)になっているが、米国でも発売間もないころ、ちょっとした不注意で両剤を併用する事例が見られた。ファイザー社としては教育プログラムを強化して、併用防止に取り組んでいます。

―130人の死亡例をどうみています。

◆開発段階からバイアグラの服用で心臓発作などの事故が増えるかどうかを慎重にモニターしてきましたが、他の疫学調査と比較しても事故例は増加しなかった。今回の130人という数字も、300万人余りという服用者人口から推定される死者数をはるかに下回る数字です。

バイアグラの服用者のうち4分の3は、50歳から80歳の男性ですが、彼らの多くは心臓病などの潜在的な疾患を有しています。先に話したように、性的不能自体が心臓病から来ているケースも多い。

米国心臓学会(AHA)の推定では、米国人の心臓病患者が仮に100万人いると、毎月、このグループの中の185人―275人ずつが心臓病が原因で死亡する。この推定に比べても130人という数字は多くない。

また別の調査で、米国の心臓専門医の93%が、バイアグラの安全性は期待通りかそれ以上だと考えているという結果が出ています。心臓病に詳しい医師の見方だけに信頼できると思う。

―バイアグラは性欲を高める効果はなく、性的刺激を受けたあとの体の自然な反応を支援する治療薬ですが、ニトロ製剤との併用はなぜ禁忌なのですか。

◆血管拡張のメカニズムが心臓でも、男性性器でも同じだからです。バイアグラ、ニトロ製剤ともに血管拡張作用を持ち、その作用の仕組みからして、両剤の使用が強力なリアクションをもたらすことは明白でした。

バイアグラとニトロ製剤を併用すると、性器だけでなく全身で血管が拡張しすぎる現象が起こり、急激な血圧降下が生じます。このため立ちくらみを感じ、心臓や脳への血流量が減って、好ましくない状態になります。だから我々は、臨床試験の段階から併用を避けてきました。

―ケンタッキー大が研究した鼻スプレー式のバイアグラが話題になりましたが?

◆ファイザー社としても、かなりの期間、鼻スプレー式の可能性を研究してきました。今の錠剤は服用して効果が出るまで30分から1時間かかり、鼻スプレー式の目標はより素早い効果をもたらすことで、効果を期待できる。しかし研究はまだ初期の段階で、安全性などを確認するため、錠剤とは別の臨床試験が必要になるでしょう。

バイアグラより優れた次世代バイアグラの物質探しも進めており、いくつかの候補物質を得ています。しかし、どんな次世代型を探しているかは言えません。競争相手の会社を手助けすることになるからね。競争相手もいろんな物質を出してくるだろうが、現段階では、バイアグラが最良の男性性的不能治療薬であることに疑いはないと思う。

●日本人男性における安全性と有効性は立証済み●

―バイアグラの開発はどのように行われましたか。

◆ファイザー社は米国、英国、日本の3カ所に研究所を有し、バイアグラの研究開発は英サンドウィッチで行われました。バイアグラの一般名であるシルデナフィルは1989年に発見され、その血管拡張作用から、当初は心臓病治療薬として小規模な臨床試験を実施したものです。

しかし、92年になって、狭心症などの治療にはほとんど効果がないことが分かりました。その一方、臨床試験に参加したうちの数人が予期せぬぼっ起現象を報告し、それから、シルデナフィルと男性性器への血流量増加との関係が研究対象なったのです。

その後、米国を中心に大規模な臨床試験が実施され、70ー80%の患者に効果があることが分かりました。

日本の厚生省に提出した臨床試験のデータは我々が世界で行った4005人分です。日本人の臨床データも数百人分含まれています。

―厚生省は今回、申請からわずか半年という異例のスピード審査で認可しましたが。

◆厚生省からは科学的な質問が山ほどきて、我々は世界のファイザー網を総動員して迅速に対応しました。厚生省は単なるスピード審査ではなく、医薬品の新しい国際基準であるICHガイドラインに対応した入念な審査を集中的に実施してくれました。厚生省の組織改革を反映したものと思う。

我々が元気づけられたのは、日本人グループと欧米グループの臨床試験の結果が非常に似通っていたことです。欧米同様、日本人男性患者における安全性と有効性を立証できました。

―厚生省のスピード認可の背景には、バイアグラ売買のヤミ市場が関係しているとの見方もありますが。

◆厚生省とそのことで会話を交わしたことがなく、よく分からない。ファイザー社は薬を売る相手がだれなのかを、世界どこでも厳しく管理しており、バイアグラも合法的な卸売りか、薬局にしか売っていません。

しかし残念ながら、盗難事件が何件か発生しているのも事実です。先日はベルギーでトラック1台分のバイアグラが盗まれました。欧州内を輸送途中の夜間、鍵のかかった倉庫にトラックを入れ、運転手が睡眠していた間に被害に遭ったのです。

―日本でバイアグラを入手できる条件は米国などと同じですか。

◆患者の条件などは基本的に同じです。しかし、米国などは1錠25ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラムのバイアグラが売られていますが、厚生省は50ミリグラムで十分という考えのようで、100ミリグラムを認可しませんでした。100ミリグラムを認可しなかったのは、いまのところ日本だけです。

我々の臨床試験でも50ミリグラムには反応しないが100ミリグラムだと効果のあった患者が何人かいる。我々は現在も100ミリグラム錠剤は効果的で、問題なく使えると考えています。[1999-02-04-12:54]

個人的なコメント

バイアグラは50mgの錠剤1錠が2000-1300円売り程度で(アメリカでは10ドルほど)、保険は効かないとのこと。一瓶が50錠入りですので、一瓶が10万円。仕入れはもっと安いが、医師や薬剤師が早死にしないように注意!1錠2000円はいかにも高い。通常血圧降下剤は、1錠30-50円ですから、66-40倍の価格でファイザーは、ぼろもうけでしょう。

処方箋は、顔見知りの薬局ではもらいずらいという心理が働くかもしれないとのことで、医院の近く・自宅の近くの薬局は避けて男の薬剤師のいる薬局にもってくるという話がもっともらしく語られている。処方医は最初、副作用を心配して様子を見るということで50mgではなく25mgが処方されるとのこと。

服用することには、おおいに賛成ですが。(ちなみに、薬の手に入る医療関係者の世界の死亡率は一般人より高いのではないか? 取扱は向精神薬より、厳しくないとのこと。それは、そうです。こっそりつかうのは法律を作る権力者。自身が処罰されますからね。)

いかにもな値段です。もっと安くてもよいと思います。しかし、薬の処方には奥様の承諾が必要と考える医師もいるようです。配偶者から、いまさら、めんどくさい、うっとおしい、地獄の日々だと言われないよう。

<130人死んでも副作用ではない?>

米国では130人も副作用死がいるのに、専門家は統計をもちだして同年代の通常の死亡率より少ないから安全だといいますが、そんな理屈がとおるものでしょうか? バイアグラを服用中に、死亡したのですから、薬と死亡の間に因果関係があります。同世代の死亡確率との比較は、副作用死の問題とは関係ありません。

たとえて言えば、家の中に居て、車がとびこんできて車にひかれたとします。

通常 家の中にいて車にひかれて死亡する確率は、道路で交通事故に会い車にひかれて死亡する確率より低いものです。家の中にいて車にひかれる確率より、道路での交通事故の方が死亡率はずっと高いから、家の中で死亡したのは車のせいではありません、と言っているのと同じことです。死亡率と死亡との因果関係を混同しています。

死亡率の問題ではない、因果関係の問題です。真に、権威者の言うことは信用できない!と肝に銘ずるべきです。薬の開発研究者の言葉が、すべてであるはずがない。上記の詭弁は専門家馬鹿のたわごとにすぎない。とはいえ、法律をつくる権力者は認可を翻さないでしょう。権力者が使いたいのですから。

<ニトロ剤との併用注意よりも、多用に注意>

貝原益軒の言葉に、「接して漏らさず」とあります。生命力は心臓も動かしていると考えられています。心臓を動かす生命エネルギー力の弱い人が、生命エネルギーである精力を消耗すると早死にするのはあたりまえという、あたりまえの事実は重いものです。

<どんな人に効いて、どんな人は無効なのか?>

若い方のストレス性インポテンツには有効と思われます。20-30%の人には効かないと言われていますが、どんな人には効かないのでしょう。それが明らかでなければ診断の意味はありません。たとえ効かなくても、20-30%の方には効かないのですと、言い訳できる合法的医学的な詐欺です。

<医療行為は不確定要素が多い>

考えてみれば、医学的権威で煙にまかざるを得ないのが診療行為というものでしょう。患者の個人差による結果のぶれは、大変大きくて、それを情報公開したら患者に大きな不安を与えて、医師の対処法は、はなはだ難しくなるという現実があります。診療結果に対する詐欺だ!訴訟だ!としないためには、医療行為とは不確定要素が元来多いものであるという謙虚な情報公開が必要です。

もともと医学には限界があって、たとえば脳内出血や心臓発作でも症状が軽ければ、救急医療で助かるが、重篤な発作の場合は、どんなに優秀といわれる病院に運んでも助からないものです。

しかし、昼間は一流病院?だが、夜間は無医村に等しい低医療レベルであるという人為的な危険な状況は放置されているというのが現状です。猛烈に救命にがんばれば助かるはず(検証する方法がないので責任は問われない)、しかし、人手不足で助からないとい綱渡りの状況は非難されるべきす。

社会のどこにその責任があるのかを究明する必要があります。おそらく、医師の人件費が大きなウエートを占めるのでしょう。そうであるのか、救急医療には経費がとてもかかるので行政の手厚い支援が必要だが、それが得られないというのがネックかもしれない。行政の理解を得るという努力が、関係者に足らないのかもしれない。行政よりも、市民が救急医療にかけるコストの意味を理解しないために行政が支出をためらっているかもしれない。いずれにしても、夜に心臓発作や重篤な発作を起こさないことです。どこにネックが有り、それを解決するためには誰が何をどうすればよいのかを研究するところがなければ、無駄な遠吠えに終わります。

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