TOPICS/トピックス
身近な出来事や話題を、二十四節気ごとに記しています。

2017年 1月5日(旧暦12月8日)
  小寒:しょうかん
「冬至より一陽起るがゆえに、陰気に逆らうゆえ益々冷ゆるなり」(暦便覧)

明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。

下手な字ながら、賀状の宛名だけは手で書いています。 そうでもしないと、手で字を書く機会がなくなってしまうので。 横尾忠則さんの字の美しさは有名ですが、当人は 「書道は独学。ぼく、ずっといろんな絵を模写してたでしょう? 書道というのは、つまり、抽象絵画の模写だからさ。写真や絵本の挿し絵の模写をしていて、その延長上に習字があっただけ」。その言葉どおりにひととおり手本を写し、それから宛名書きを始めるけれど、やっぱり字は下手なまま。何のことはない、才能が違うのですね。

年末、近くの手打ち蕎麦の店に寄りました。店の入口に飾られたカラスウリの朱色が美しい。 たった一日で「年が変わる」なんて変だな思いつつ、やはり元日を境に、日の色、日差しが変わってみえる。わたしは案外とまめな質でほぼ毎日掃除しています。年末だからと言って、大掃除をしなければならないわけではないのですが、やはり「大掃除」をしないと落ち着かない。

かみさんが仕事をしている市役所で、ベテランの職員が「いまは最終日も目一杯仕事だけどね。むかしは午前中に大掃除したら、午後はみんなで一杯やって御用納めしたもんだ」。わたしが20数年前にお世話になった老舗印刷所・精興社でも、大掃除を早々に切り上げて皆で乾杯、お疲れさま!でした。聞けば精興社の伝統は今でも変わっていないとか。何だかうれしくなりました。

子どものころ、松の内はどの商店も店を閉ざし、大晦日に買い出しに走りました。今では元日からスーパーが営業。可哀想なのは宅配便のドライバー。お歳暮、クリスマス、大晦日、新年の贈答にくわえて、昨今の怒濤のAmazonラッシュが重なり、絶対に遅れが許されないから青息吐息の状態。睡眠時間、食事、トイレの時間まで切り詰めて配達に奔走している。この物量では個人の努力では対応不可能。働いた分、手取りがどんどんアップするなら嬉しいけれど、手当はわずからしい。何のために働いているのか、何のために生きているのか。この時代の便利さが、膨大な非人間的労働に支えられているということを直視しなければいけないでしょう。

12/27に、作家で編集者の川崎昌平さん、図書出版「共和国」の下平尾 直(しもひらお・なおし)さん、月曜社の小林浩さんの鼎談を伺った折、「ブラック」ということをあらためて考えました。下平尾さんと小林さんが、「仕事のやりくりをどうやっているのか」と聞かれたとき、異口同音に「 最後は睡眠時間を削る」と答えていました。小林さんは仕事がボトルネック(隘路)にぶつかったとき、先輩編集者から「まともに生活してるんじゃないの? 俺は人並みに生活してるヒマなんかないけど」と言われてガ〜ンとショックを受けたそうです。出版社って本質的にブラックですね。強制されれば「ブラック」だけど、自分でやってしまうのならブラックではないということでしょうか。自営業の恐ろしさです。


「ロス」という言葉が流行りました。日常生活の楽しみが絶たれ、落ち込んで何をするにも張り合いがなくなるということらしいですが、2016年はなんと言っても「逃げ恥ロス」に「SMAP」ロス。そして個人的には「チューボーですよ!」ロスと、新年早々の「路線バスの旅」ロスが大きかった。 太川陽介&蛭子能収の名コンビはほんとうに絶妙でした。純粋に路線バスだけを乗り継いで(高速道路を通るバスは不可。バスがない区間は徒歩)の3泊4日の旅。25回の放送のうち、目的地に行き着けたのが17回、行き着けなかったのが8回と、筋書きのないガチンコ勝負が面白かった。でも、いちばん面白いのは旅する地域の素顔が浮き彫りになる点。バス路線の減少と日本の「高齢化」が切実に感じられました。番組が始まって10年。開始時にくらべてバス路線自体がどんどんと消え、蛭子能収さんも69歳。番組をこれ以上続けるのはかなり厳しいでしょう。チューボーの巨匠・堺正章さんと同様、キャストや番組にも「高齢化」の波が押し寄せています。


わが家でいちばん最初にロードバイクを買ったのは次男坊。中学生のときにキャノンデール製のそれなりのバイクを買ったものの、ほとんど部屋のアクセサリーと化しています。大掃除の折、ほこりをかぶったバイクを指して「ずいぶん嵩張るディスプレイだな」といやみをいったら、正月を過ぎて「自転車、乗ろうかな」とポツリ。こんな機会を逃す手はないと、飯能の奥にある天然温泉さわらびの湯までいっしょに走りました。わが家から往復80kmほどですが、成木川や入間川の清流沿いを走り、標高400mの小沢(こさわ)峠を越えるなかなか味のあるコースです。  

わたしは「ハンデを付けてやるから」と20インチの折りたたみ自転車で出かけましたが、年末から正月の休みですっかり身体が鈍っていて愕然。坂道ではスイスイと追い抜かれ、おのれの不甲斐なさにがっくりです。 さわらびの湯からのぞむ入間川沿いの景色は、なかなかのもの。きびしい冷え込みながら、風のなかに春の気配を感じます。早咲きの桜がちらほらと咲いていたのに驚きました。

手打ちうどんを食し、温泉で羽根をのばしたら、親子ともども小沢峠をまた越える気力がなくなって、楽をして入間川沿いを戻る道を選びました。その途中に、なんだか異様な光景が…。

野菜をレリーフ状に塀の上にかたどっているのですね。えらくシュールだけれど、ずいぶんお金もかかったのでは。

入間丘陵の茶畑に沈む夕陽を見て、次男坊が「この辺りの写真を撮りたいから先に行って」というので、「家まで15kmほどだし、お好きなように」としばらく走って後ろを見たら、まだついて走ってくる。もう一漕ぎして振り向いたら今度はどこかに消えていた。「いつまでもついてくる訳はないよな」と思いつつ、何だか一抹の寂しさが。まあ、いろいろ思い出の詰まった一日でした。


昨年4月に訪ねた山口県周防大島の「みずのわ出版」が6年越しの企画「花森安治装釘集成」を刊行しました。2017年1月上旬号の『出版ニュース』コラム「装丁」で取り上げました。ぜひご一読ください。

「みずのわ出版」はミカン農家と写真館を兼業する柳原一徳さんが営む“ひとり出版社”です。本と前後して届いたミカン、ポンカンも何とも滋味深い味。昨今の天候異常による病害やイノシシの食害がひどく、出版以上にきびしいミカン栽培ですが、その労苦は作ったものにあらわれます。

▲周防大島を訪ねたときは、ミカンの苗木を3本植えるのを手伝いました。
軽く考えていたら、4人がかりで半日かかりました。


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BOOK REVIEW:書名索引BOOK REVIEW:著者名索引

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2016

1.6 1.21 2.3 3.5 3.20 4.4 4.20 5.5 5.20 6.5 6.21 7.7 7.22
8.7 8.23 9.7 9.22 10.8 10.23 11.7 11.22 12.7 12.21

2015

1.6 1.20 2.4 2.19 3.6 3.21 4.5 4.20 5.6 5.21 6.6 6.22 7.7 7.23 
8.8 8.23 9.8 9.23 10.8 10.24 11.8 12.7 12.22

2014

1.5 1.20 2.4 2.19 3.6 3.21 4.5 4.20 5.5 5.21 6.6 6.21 7.7 7.23 8.7 8.23 9.8
9.23 10.8 10.23 11.7 11.22 12.7 12.22

2013

1.5 2.4 7.7 7.23 8.7 8.23 9.7 9.23 10.8 10.23 11.07 11.22 12.7 12.22

2012

1.6 1.21 2.4 2.19 3.5 3.20 4.4 4.20 5.5 6.5 7.7 8.7 9.7 10.8 11.7 12.7

2011

1.6 1.20 2.4 2.19 3.6 3.21 4.5 4.20 5.6 5.21 6.6 6.22 7.7 7.23
8.8 8.23 9.8 9.23 10.9 10.24 11.8 11.23 12.7 12.22

2010

1.3 2.4 2.19 3.6 3.21 4.5 4.20 5.5 5.21 6.6 6.21 
7.7 7.23 8.7 8.23 9.8 9.23 10.8 10.23 11.7 11.22 12.7 12.22

2009

1.1 1.5 1.20 2.4 2.18 3.5 3.20 4.5 4.20 5.5 5.21 6.5 6.21 7.7 7.23 10.19

2008

1.6 1.21 2.4 2.19 3.5 8.7 10.8 10.24 12.7

2007

1.6 7.16 10.22 11.8 11.23 12.7 12.22

2006

1.26 2.25 9.18

2005