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●単行本/歴史・地理・伝記

『醜の歴史 STORIA DELLA BRUTTEZZA

ウンベルト・エーコ=編著/川野美也子=訳

東洋書林/2009年/170mm×天地235mm 上製
ISBN978-4-88721-769-0 C0022 Y8000E

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「どのページでもいい、めくってごらん。きっとあなたは「オエーッ」と言いたくなる図像が目に刺さってきて、次の瞬間「やべぇ」と思い、音を立てて本を閉じるだろう。この本は、博覧強記で知られるウンベルト・エーコが「醜」をテーマにキュレーションした悪趣味な“空想美術館”である。大半は絵画が並び、おなじみの作品が占めているが、僕はまず、彼の解説や論評には一切触れずに、とりあえず自分の目の自由度に委ねて鑑賞することにした。いつも美術館でする仕方で。
 『醜の歴史』は必ずしも編年体ではなく、作品は「黙示録、地獄、悪魔」「醜悪なもの、滑稽なもの、猥褻なもの」という具合に15の部屋にカテゴライズされて展示されている。僕は彼の空想美術館の各部屋をたっぷり時間をかけて回った。(中略)
 エーコは醜いモチーフを選んだが、決して醜い作品を選んだわけではない。その点で彼は、「醜の美」を十分に理解している。だからモチーフにおいては「醜」は「美」と対立するが、その美術作品の表現においては反発どころか、むしろ融和を図ろうとさえする。
 だけど、『醜の歴史』のキュレーターたるエーコが読者のナビゲーターの役割を果たすとき、彼は醜の観念を構築する。そこが面白いではないか。創造者は「眼の人」であろうとするが、キュレーターは「観念の人」であろうとする。僕はこの書物に対して、実作者の立場から、「見る」ことを最優先した。そして、この空想美術館を立ち去った後、ロビーで『醜の歴史』のウンベルト・エーコの解説を実に愉しく読んだのだった。彼は醜の魅力を見事に引き出している」

(横尾忠則氏評より/朝日新聞:朝刊 2009.11.22)


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