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●単行本/哲学・心理学・宗教

『選挙のパラドクス──なぜあの人が選ばれるのか?

ウィリアム・パウンドストーン=著
篠儀直子=訳(装画=今村麻果)

青土社/2008年/四六判 上製
ISBN978-4-7917-6451-0 C0010 Y2400E

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「民主主義は選挙による多数決の支配である、といわれる。しかし、民主主義は一つではないし、選挙システムも一つではない。さまざまな選挙システムは、それぞれ政治形態をも決定する。たとえば、アメリカのように勝者総取りシステムである相対多数投票の国では、二大政党制になりがちで、比例代表制の国では多数の政党が林立する傾向がある。また、近年の日本では、小選挙区と比例代表制の採用が、政治家のあり方をかなり変えてしまった。
 本書は、アメリカの選挙制度を検討しつつ、さらに、もっと原理的に投票システムを検討しようとするものである。(中略)
 本書にはその歴史的経緯がわかりやすく書かれている。著者は今後に、よりよき投票システムが得られるという希望を捨てていないようだ。だが、「投票のパラドクス」は民主主義の「致命的欠陥」だろうか。むしろそれは、民主主義の核心が投票システムなどに還元できるものではないということを、逆説的に示しているのではないか。」
(柄谷行人氏評より/朝日新聞:朝刊 2008.9.7)

「そもそも過不足なく投票者の意思を映しうる制度はあるのか。
 この問題には、約半世紀前に、ノーベル経済学賞学者のK・アローが「完ぺきな投票システムはあり得ない」との含意の不可能性定理を導き出しており、 いわば原理的には決着が付いている。しかし著者は、相対多数投票の他に、投票者が候補者を選好順にランク付けする即時決選投票、候補者を0から10の範囲で採点し、最高点者を当選とする範囲投票など、提案されている多くの投票システムを詳しく紹介、アローの定理は厳格な条件下で成立し、現実の投票では範囲投票がベストとしている。(中略)
 「投票の科学」を探索しながら、パラドックスを逆手にとる選挙コンサルタントの活躍など、米政治の側面をうがった好著としても読める」
(「この一冊」より/日本経済新聞:朝刊 2008.8.24)


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