1997年度国際教育研究会 資料
’97国際教育研究会
外国籍児童生徒の教育分科会
1997.11.15
大和市立下福田中学校
国際教室担当 大沢一郎
1.下福田中学校の概要
大和市の南部に学校は位置し、比較的田園風景豊かな場所にある。学区
東部には、県営いちょう団地があり、多くの外国人家族(主にインドシナ
難民及び呼び寄せ家族)が居住している。学校は現在、普通級10、障害児学級1の市内では小規模に属する学校
である。尚、外国籍生徒は全校生徒の1割を越えている。
国際教室国別生徒内訳 全校生徒数351人
国 籍
1 年
2 年
3 年
合 計
カンボジア
5
3(1)
8(1)
16(2)
ラ オ ス
3
2
1
6
ベトナム
5(1)
4
1(1)
10(2)
中国
1
1
4(1)
6(1)
ペ ル ー
0
0
2
2
ブラジル
0
1
0
1
合 計
14(1)
11(1)
16(3)
41(5)
( )は帰化している生徒数
2.国際教室教育目標
(1)外国人生徒が日本の文化・習慣について理解を深め、学校生活や社会
生活への適応を図る努力をする。(2)外国人生徒との交流を通して、全生徒の国際性を高め、共に生きるこ
とを学ぶ。(3)外国人生徒に対して、日本語教育を中心とした学習指導をすると共に、
自国文化・言語・国際理解の素養などを育てる。(4)外国人生徒の学習の手助けとなるような教材を開発する。
3.活動内容
(1)取り出し授業(教科指導)
・目的
日常会話については、さほど問題はなくとも、読む、書くとなると、
十分に理解できない生徒が多い。会話力とは違った学習用語の獲得量
が極めて少ないことによって、学習面でのつまづきのある生徒に対し
て、補習を行う。・具体的活動
本校職員が生徒の実態に応じ、個人またはグループの形で行う。
学習内容としては、数学、英語、社会などを中心に、基礎的な部分
を学習する。場合によっては生活に直接結び付く、日本の慣習(七夕
飾り、年賀状書き)などを学習することもある。また、授業の中で必要に応じて生徒の心の問題に関わることもある。
(2)取り出し授業(日本語指導)
・目的
基礎的な部分で日本語力が不十分な生徒を対象に日本語指導を行
う。・具体的活動
日本語指導員の専門的な指導(週4時間)を核とし、その指導内容
をフォローする目的で担当職員2名が日本語指導(週16時間)を行
う。そのために、指導員と担当との連携を密にするよう心がけている。
その中で、日本語授業での生徒の様子、授業の基本的な考えやビジョ
ン等について多く話し合うようにしている。*(1)(2)の取り出し授業に関して、基本的には実技教科の授業時
間を除いた形で行っている。特に、日本語力に欠ける生徒については、
国語、社会の時間を中心に取り出している。ただ、時間割の調整が非
常に難しいのが現状である。*生徒一人一人の学習状況を常に把握するために、(1)(2)の取り
出し授業内容を記録している。(3)国際タイム
・目的
外国人生徒の家庭では、たとえ在日年数が長いとしても、母国語が
中心の言語環境にある。生徒達は、母国語を聞き取ることはできるが、
話したり、書いたりすることができない。また、母国文化、言語をあ
まり知らないのが現状である。親達の願いや、自分達のアイデンティ
ティーを育てる意味で、母国文化や母語を学習していく。・具体的活動
年間、各国10回程度の国際タイム(毎週金曜5校時)を企画して
いく。母国語の発音、読み、書きを中心に、教育相談員の指導を仰ぎ
ながら、進めていく。可能であれば、一つの国について月1回実施も
考える。(4)カウンセリング
日本語に不自由な生徒をはじめ、慣れない日本文化、習慣の中に身
を置く生徒にとって、国際教室に来ることが、同じ外国人同士ゆっく
り話が出来るなどの理由で、心を落ち着けるひとつの場としての役目
を担っていく。特に、いろいろな場面での生徒達一人一人が抱えてい
る問題に対して、的確な助言を組織的に行っていく。(5)国際教室交流会
外国人生徒同士の交流のみならず、日本人生徒の参加も促す。
・新入生歓迎会(カレーライス作り)
・卒業生を祝う会(各国料理)
(6)文化祭での取り組み
国際スピーチ(資料1参照)
国際教室展示コーナー(昨年度は母国語によるネームプレート作り)
(7)国際教室だよりの発行
・国際教室に関わる内容をできるだけ全校生徒に伝える。
・外国人生徒の文を掲載し、外国人からみた日本を伝える。
・日本語指導員、教育相談員の考えを伝える。
・人権教育に関わるものを掲載。
資料1,2参照
(8)テスト及び評価について
*定期テストについて
・日本語指導を受けている生徒に関しては、国際教室での別室受験。
・全教科かなふりテストとする。
・生徒の状況に応じては、問題の解説や教科書、資料の持込みを可
とする。・特に日本語力が低い生徒に対しては、教科担当者の判断により、
別な内容も有り得る。又、国際担当と協議の上、日本語指導の内
容に振り替えることも考えられる。・必要に応じ、相談員が側につき、テスト内容を母国語に通訳する。
・一般教室受験をする生徒の中で、かなふりテストを行う場合もあ
る。*評価等について
・通信簿の所見は、国際教室用の用紙に記入し、翻訳する。
・取り出し授業を受けている生徒の学習の様子(学習連絡表:資料
3)を担任が把握し、面談等で活用する。・日本語力の低い生徒については、通信簿に評価を入れられない場
合もあるので、文章による評価をするなど、励みになる方向を考
える。*年間計画
月
国際教室
具体的取り組み
4
・新入生外国人保護者顔合せ
(入学式)
・生徒との面談(4/8,9,10)・
・第1回国際研修会(4/17)
・新入生歓迎交流会(4/19)
・家庭訪問(4/28,30)
・該当生徒の環境調査表集約
・外国人生徒名簿作り
・授業参観、家庭訪問、保健関係等
・翻訳文書配布
・取り出し時間割作成
・国際研修会資料作り
・国際教室授業担当者会
・家庭訪問での相談員派遣
5
・家庭訪問(5/1,2)
・取り出し授業開始(5/6) ・国際タイム(5/9)
・遠足、キャンプ、修学旅行翻訳文
・書配布
・遠足、キャンプ引率
6
・ 進路についての説明
・外国人保護者会 授
・国際タイム 業
7
開
・ 個別面談、相談員派遣
・ 休み中の過ごし方翻訳文書配布
・国際タイム 始
・評価準備
・生徒との面談
9
・ 運動会の通知翻訳文書配布
・ 文化祭参加準備(国際スピーチ)・国際タイム 日 学
本 習
10
語 の
・ 3年個別面談相談員派遣
・ 文化祭の通知翻訳文書配布・国際タイム 指 補
導 助
11
・ 国際スピーチ、出品
・ 国際研修会(カンボジア語講座)準備
・文化祭参加(11/1)
・国際タイム
・第2回国際研修会
12・
・評価準備
・個別面談相談員派遣・国際タイム
・個別面談
1
・第3回国際研修会準備・国際タイム
2
・新入生保護者会相談員派遣
・国際教室交流会準備
・国際教室授業担当者会
・第3回研修会(2/12) ・国際タイム
3
・卒業式
・入学式の通知翻訳文書配布
・国際タイム
・国際教室交流会(3/7)
・年間反省
下福田中学校
国際教室
4.外国人児童生徒の教育に於ける問題点及び課題
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(1)日本語指導を必要とする外国人児童生徒の
増加に伴い、指導者の確保が最重要課題と
考えられる。特に、来年度3月には定住促
進センターが閉鎖され、日本語力ゼロの生
徒が直接転入学することになり、その対応
策(人的配置や指導方法等)を考える必要
がある。
・センター校形式
・公的な日本語指導センター
現時点では限られた指導者、指導時間の中で外国人児童生徒の受け入
れをどのように考えるのか。・受け入れ児童生徒への指導が不十分になることの弊害
・現場教職員の負担の増加
特に、途中編入、転入に関わる時間割再編成はかなり苦労を要する。
(2)各学校での指導体制の違いもあると思うが、日本語指導員の位置づけ
をどのように考えていくか。また、担当との連携をどの様な形で作っ
ていくか。このことから担当職員にどこまで日本語指導の専門性が必
要とされるものなのか。より専門性が高まれば高まるほど、担当職員
交代という時点での困難を抱えることが予想される。(3)一人一人の児童生徒の母語力と日本語の習得には密接な関係があると
考えられているが、かなり専門的な知識と理解が必要とされる。特に、中途半端な2言語教育はダブルリミテッドと呼ばれる確立され
た母語を持たない人間をつくる危険性を持っていると言われている。(4)学校全体で組織的に取り組める国際教育が大切と考える。
・学級担任や教科担任との関わりの中で、生活適応や日本語学習さらには教科学習 をどのようにすすめていくか。(組織的、系統的カリキュラム)
・校務分掌上の位置づけ
・職員研修会のあり方
本年度、本校では外国人児童生徒への理解を高める目的で、カンボジア語講座」を企画した。その中で言語習得時に於ける心理的プレッシャーの体験ができればと考える。
・人権教育や異文化理解教育とのつながり
人を人として認め、異なるものへの理解を深めつつ、共生していくことの意味
資料 日本語指導教材一覧
下福田中学校 国際教室
会話教材
・新日本語の基礎T、U(スリーエーネット)
・日本語で話そう1〜3(ELEC)
・文化初級日本語T、U(文化外国語専門学校)
・にほんごをまなぼう(文部省)
・ひろこさんのたのしいにほんご(凡人社)
・日本語の基礎(日本語指導員編)
かな教材
・日本語かな入門(日本語国際センター)スペイン語、ポルトガル語版
漢字教材
・BASIC KANJI T、U(凡人社)
・漢字が楽しくなる本
・漢字の道(凡人社)
・くもん式の漢字カード(くもん)
文法、語彙
・日本語総まとめ問題集(アスク講談社)
・外国人のための日本語例文問題シリーズ(荒竹出版)
音声
・「発音」教師用日本語教育ハンドブック6(日本語国際センター)
練習教材
・文化初級日本語練習問題集T、U(文化外国語専門学校)
・「わらべうた」谷川俊太郎(集英社)
その他
・絵で教える日本語(凡人社)
・絵で学ぶコミュニケーション(凡人社)
資料11996.11.8
国際教室だより
下福田中学校国際教室
NO.44
S中祭そして国際スピーチ
皆さん、11月2日のS中祭はいかがでしたか。今年初めて行われた全体合唱や学年合唱はとても感動的でしたね。歌っているときの皆さんの顔はとてもすばらしかったです。ところで、今回は2名の外国籍生徒によるスピーチが行われました。外からみた日本、日本での生活や印象、自分の生い立ち等について話されたと思います。3年生のA君のスピーチを再度紹介します。
<僕の道
3年 A君
僕は、中国で生まれました。僕の生まれた場所は、中国の長春です。日本の昔の満州です。長春は、とてもきれいな所で、さわやかでした。そこは、日本の会社も多くあります。僕は、長春が好きです。中国はとても大きな国です。人口も世界の中で一番多い国です。中国は、世界でも有名な万里の長城があります。あと中国は、4千年以上の歴史もあります。中華料理は、日本でも人気があります。僕は、中国が好きです。
僕は、中国の学校で勉強しました。中国の小学校のときとてもおもしろかったです。学校がおわって、友達と遊んでとても楽しかったです。いまから小さいころのことを思い出して、とてもなつかしいなと思いました。
僕は、日本に来た時13才だった。なぜ僕が日本にきたかというのは、僕のおばあちゃんが日本人で、日本にいたからです。戦争の時、おばあちゃんと日本のおじいちゃんが一緒に中国にいって、日本のおじいちゃんがなくなって、その後中国人のおじいちゃんと結婚しました。そして、僕のお父さんが生まれました。けれども、いろいろな事情でお父さんを残して、日本に帰りました。僕のおじいちゃんは、男手一つで、お父さんたち兄弟を育てました。お父さんは、おじいちゃんがなくなった後に、日本にいるおばあちゃんに会いに日本へ行きました。その1年後に、僕たちも日本にきました。
僕は、最初日本に来た時、日本語を一言も話せなかった、とてもむずかしかった。そして、小学校に入りました。その小学校は、国際教室がありました。6年生の途中で皆と一緒に勉強をした。僕にとってつらい毎日だった。何にもわからず、困ることが沢山あった。僕は、日本語がわからないから、生徒にいじめられた時もありました。けれど、どんな嫌なことがあっても、毎日学校へ行き、一生懸命勉強をした。早く日本語を覚え、友達を作りたかったからである。中学に入学してからも、大変な毎日が続いた。その時、一人の日本人生徒が僕の友達になりました。それから、僕は、わからないことがあったら、その友達がすぐおしえてくれて、毎日学校へ行くのは楽しいことになった。そして、たくさんの友達もできた。中学2年の時、この学校に転校して、この学校は国際教室がありました。僕にとっては、とてもうれしいことです。国際のA先生が日本語を教えてくれて、だんだん日本語を話せるようになりました。僕は、とてもうれしかったです。 僕は、日本に来てから、もう3年くらいになりました。今年の夏休みは、中国へ遊びに
中国からもどって、2ヶ月近くたったいま、僕は、こんなふうなことを思っています。中国の様子を見てますます勉強しなければいけないと思いました。
僕は、将来に日本と中国の貿易のような仕事をしたいので、これからも、中国語を忘れないように、そして日本語をもっともっと勉強して自分の夢に向かって、がんばりたいと思います。みんなも、自分の夢に向かってがんばってください。
資料2−1
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資料2−2
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