散逸物語
『みかきが原』『ちぢにくだくる』


『みかきが原』


散逸物語『みかきが原』は、『風葉和歌集』では「源氏物語」「宇津保物語」「狭衣物語」「風につれなき」 の四作の物語に次ぐ地位を占める大作です。

散逸した物語の中では最大の収録歌数四十二首を誇っています。

タイトルの「みかきが原」は、「みかき」が皇居をさすことから「皇居の庭」を意味します。

「ひとしれず御こころにもののかなはざりけるころ」に帝の詠んだ歌
「数ならぬ昔ならでもあやしきはみかきがはらの思ひなりけり」
に由来したタイトルのようです。

五代にわたる帝や院と、それを取り巻く貴族たちが織りなす大河ドラマであったことがわかっています。

帝をめぐる女性や貴族たちの複雑な恋愛物語であったらしいです。


『ちぢにくだくる』


『風葉和歌集』に、八首が収録されています。現在わかっている ストーリーは以下の通りです。

【主人公の貴公子は、将来は帝の后になるように育てられていた深窓のヒロインと恋仲になる。

邪魔が入ったために主人公はヒロインを自分の屋敷に連れ出すが、彼女は病に倒れ、なにものかに連れ去られる。

主人公は彼女を探して石山に祈るが、夢のお告げで、彼女を「雲居の月」と思ってあきらめろと出る。】

ヒロインが帝の后となる運命を知って悲嘆にくれる主人公の「ちぢにくだくる」恋心を主題にしたストーリーだったようです。

中世の人々に好まれたタイプの悲恋物語で、同時代の物語『しのびね』と似た展開を持つ物語です。


戻る