問題 12(人権)の答え・・・「b.2日間手錠をかけられる」が正解です。

「タイム」(1996年10月28日号)の能登路雅子氏による翻訳によれば、「1993年、32歳になるアメリカ人ケビン・ニール・マラは・・・府中刑務所に送られた。日本にマリファナ11キロを密輸しようとしたかどで有罪となり、4年半の刑に服するためだ。ある日の昼食どき、マラは規定よりも早く目を開けた・・・・マラはこの最初の過失により、手錠と革ベルトで拘束されて2日間両腕の自由を失う羽目になった。食事もできず(もっとも看守が匙でたべさせてやろうかと親切にも言った)、排泄もズボンの切り口を通してしか許されなかった・・・」

その後、マラはこの処置に抗議して、日本政府を相手どって賠償請求訴訟を起こしたが、これがさらに事態を悪化させて、記事の取材時点で、マラは36週連続で独房で1日8時間ひとこともしゃべらずに袋貼りをする日課が義務づけられているそうです。

この処置に対して同誌は「その刑務所の不可思議で残忍な世界は意外であり、中世的時代錯誤ですらある。日本の刑務所は1908年の法律に支配され、きわめて秘密主義的で事実上独立した官僚機構の管理下にある」とか「日本では、刑務所とは身体のみならず精神までも檻にいれるところだ」としています。

府中刑務所では、喫煙は禁止され、大半の者は1カ月に読書は6冊以内、手紙は1本だけ、会話は夕食後の3時間半、静かに話す以外は禁じられているそうですが、米国では、最厳重警備の刑務所でさえ、囚人は頻繁な運動や(健康のためにはよくありませんが)喫煙を許され、書籍や筆記用具の利用も無制限だそうです。

ただ、刑務所内での、暴行、けんかの発生は日本の方が少ないことや、日本の方が犯罪発生率が低いことが、このような「矯正プログラム」の成果であるという趣旨の府中刑務所の反論も、12月16日号の同誌には掲載されてしました。

私はこの「矯正プログラム」というものの全体像がわからないため、はっきりしたことは言えませんが、目を早く開けたくらいで、2日間も全く非人間的な状態に置くという処置は、囚人の人権を踏みにじる、きわめて重大な問題なのではないかと思います(98年1月15日)。

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