問題 10(人口)の答え・・・日本の人口は、2100年にはc. 5,500万人程度になり、さらに2200年には、e.1,900万人程度まで減少すると予想されます。

合計特殊出生率が1.42人、平均寿命が80歳で、ともに一定であった場合の総人口は下の表のように予想されます。

2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090
人口(万人) 12,660 12,821 12,247 11,232 10,517 9,556 8,390 7,689 6,894 6,052
2100 2110 2120 2130 2140 2150 2160 2170 2180 2190 2200
人口(万人) 5,547 4,973 4,366 4,001 3,587 3,149 2,886 2,587 2,272 2,082 1,867

合計特殊出生率がこのように急激に低下してきたのにはいくつかの理由が考えられます。わが家を例にとれば、子供は1人で家族は3人です。カミさんが再婚でもして張り切らない限り、カミさんの合計特殊出生率は1人となります。子供を1人だけにしたのには、いろいろと理由がありますが、第一の理由は教育費で、ご存知の通り、まともな教育を受けさせるのには金がかかり過ぎます。第二に、マンションが狭過ぎて、これ以上増やす気にはならなかったためです。わが家の場合には、カミさんは正社員で働いていたわけではなかったため、育児のための収入の減少はあまり問題になりませんでしたが、母親が収入のかなりの部分を支えている家庭では、育児のための収入の減少も問題になると思います。

「育児休業法」が92年に施行されたため、育児休暇がとりにくいという問題は、改善されていく可能性はありますが、この法律には罰則がないため、実際の運用次第という面があるようです。また、保育所の整備が遅れていることも子供を生む障害になっているとみられます。

さらに、大きな話をすれば、子供が安心して成長していける環境が整っているかどうかについて不安を感じさせる要因が多過ぎるのではないでしょうか。環境問題のように世界的な視野で解決しなければならない問題もありますが、住宅、社会保障、教育制度、学校でのいじめ問題など、戦後の政治が後回しにしてきた問題が、出生率の低下となって表れているということができるのではないでしょうか。暉岡淑子(てるおかよしこ)著「豊かさとは何か」(岩波新書)には次のような指摘があります。

「日本では、今日まで、産業への補助に国の重点政策がとられて、住宅、社会資本、社会保障は、いまもなお、なおざりにされている。西ドイツ(当時)では、住宅投資や社会資本投資は60年代の末にはほぼ終わっている。このことがどれだけ生活水準を高めるのに寄与しているかははかりしれない。日本と西ドイツの賃金水準が同じだとすれば、住宅のために多額な支出を家計から支出しなければならない日本と、ごく安価な住宅費ですむ西ドイツの生活水準には、大きな開きが出てくる」

日本の福祉行政がまともに機能していないことを表す例が時々報道される餓死(飢え死に)事件です。97年の年末にも、餓死事件が報道されましたが、最も痛ましい事件を「豊かさとはなにか」から紹介します(221-222ページ)。

『1987年1月22日ガスも電話も料金未払いでとめられ、暖房も使えず、母子家庭の母親が3人の子どもを残して餓死した。札幌市白石区でのことである。・・・・すでにガスもとめられ、市営住宅の家賃も滞納している本人が、体が悪い、といって生活保護の申請をしているのに、診療もすすめず、生活調査もせず、「若いから働けるでしょう」とか、9年前に別れた夫(ギャンブル癖のために別れた)から「扶養についての書類をもらってくるように」と言って、申請さえも受け付けなかったのである』

私は札幌の出身で、1、2月には、零下10度程度になることもまれでなく、そんな中で暖房なしで生活することは、とても考えられません。政府の言っていることと、やっていることがこれほど正反対な例もまれだと思います。

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