問題 7(心理学)の答え・・・a.肥満度、 b.がんにかかりやすい体質、c.狭心症や心筋梗塞などの心臓病、つまり虚血性心疾患にかかりやすい体質の三つが正解で、d.血液型については性格との関係は認められていません。

a.肥満度・・・西丸四方著「やさしい精神医学」(南山堂)によれば、ドイツの有名な精神病理学者のクレッチマー(問題4-2の答えの「心理学者ユングについて」を参照)は、体格と気質の間には密接な関係があることを明らかにしたそうです。つまり、肥満者は暖かい心を持ち、周囲との感情の調和の中に生きる。躁うつ者は一般にこの体質の型に属する。これに対して細長者はごつごつして冷たく、人と調和しない。こういう人から分裂性精神病がでてくるとされています。このような見方は、普通の人の実感とも重なっているのではないでしょうか。

b.がん体質つまりがんにかかりやすい体質・・・スチーブン・ロック、ダグラス・コリガン著「内なる治癒力, The Healer Within」(創元社)にはいろいろな種類のガン患者の性格の統計的な特徴についての研究が紹介されています。私の独断でこれをまとめると、ガンにかかりやすい性格(英語でがんのことをさすCancerのCをとってタイプCの性格と名づけられている)は、第一に自分の感情、特に怒りなどの否定的な感情を率直に表現できない(p186)、そのため内心の寂しさをおし隠して楽しそうによそおうこともある、第二にわびしく感動することがあまりない、第三に不幸な幼少期を過ごしたため、人に対する基本的な信頼感を失っている。ちなみに、私の父親は胃がんで死にましたが、めったに怒りを表したことがなく、不幸な少年期を過ごしたという点は当たっていると思います。

c.狭心症や心筋梗塞などの心臓病、つまり虚血性心疾患にかかりやすい体質・・・アメリカのフリードマン、ローゼンバーグ両博士が虚血性心疾患にかかりやすい性格があることを明らかにしています。イミダス98年版(集英社)によれば両博士は、タイプAタイプB(血液型とは関係ない)という2種類の性格の人を比較して、タイプAの人はタイプBの人よりも虚血性心疾患にかかりやすいということを発見しました。タイプAの人は、競争心が強く、他人を疑う傾向があり、自己主張が強く、仕事熱心ではあるが性急で、およそ待つことのできない性格とされています(790ページ)。一方、タイプBの人は、おっとりと着実に仕事をこなし、周囲との競争よりも平和共存をめざす。一度にあれもこれもではなく、一事に専念し、のんびり型を身上とするそうです(1147ページ、同ページには「タイプA行動パターン判定法」という性格検査も掲載されています)。どうもタイプAの人は、回りの人から嫌われそうな利己主義者という感じもします。このような性格は、働きすぎの原因となって過労死 につながる可能性もあるのではないでしょうか。実際、過労死の多くが虚血性心疾患が原因となっているようです。イミダスの790ページには、タイプAの人が、心疾患にかからないために、注意すべき心がけが挙げてありますので、自分がタイプAだと思う方には参考になるかも知れません。

d.血液型・・・血液型と性格の関係について触れている、心理学や精神病理学の専門書はみたことがありません。一種の、占い、遊び、宗教と考えた方がいいでしょう。戦前はこの問題を研究していた人がいたようですが、意味がないのでやめたようです(この話は、10年以上前にクオークという雑誌にのっていた記事の記憶によっていますが、手元に記事を持っていないため、違っているかもしれません)。

血液型によって人を評価したり、むやみに、人に血液型を聞く人には、次のような特徴があるようです。第一に、主な情報源が週刊誌とテレビである、第二に、心理学や精神病理学についての知識に欠けているだけでなく、論理的思考が苦手で、教育水準が低く、第三に、人の評価が一面的で、思い込みが激しく、第四に、多くの場合血液型がA型で、自分の血液型が一番「良い」血液型だと思っているため、AB型のような少数派に対して優越感を持っており、第五に、自分が週刊誌で読んだ説と違う説を唱える人が、目の前に2人以上いると、容易にその説を受け入れるという意味で付和雷同型で、日和見主義の、寂しがりやである。というわけで、俗物と思われたくない方は、人を血液型で評価するようなことは避けた方がいいでしょう(97年11月12日)。

・問題集に戻る ・最初のページに戻る