問題2(健康)の答え・・・a.1971年


伊佐山芳郎著「嫌煙権を考える」(岩波新書)の35ページに以下のような記述があります。

・・・・・このような経緯ののち、1970年の公衆衛生喫煙法によって、1971年1月から紙巻たばこのテレビ・ラジオでの広告がアメリカ全土で全面禁止となった。・・・

また同書のあとがきには、次のような指摘もあります。

・・・非喫煙者保護のための施策がすすむ一方、未だテレビのたばこCMが温存されている。先進国では日本だけになってしまった。アメリカでは(同書を執筆した83年より)12年前の1971年にすでに法的に禁止されているのにである。子供たちや若い女性の喫煙増加は目に余るものがあるが、その最大の原因は、テレビのたばこCMである。たばこの有害表示もない。アメリカのたばこには「喫煙は肺ガン、心臓病、肺気腫の原因となります」などと具体的な有害表示が書かれている。ところが同じアメリカのたばこが日本で売られる時には、「あなたの健康をそこなうおそれがありますから吸いすぎに注意しましょう」となる。日本の消費者はばかにされていると考えるがどうだろうか。大きな課題がいくつも残されている。嫌煙権運動の正念場と言っておこう。

これまでが引用で、以下は私見です。

私も50歳くらいになって、ショートホープを3箱も机の上に重ねてこれを1日で吸うことを日課にしていた元上司が50代半ばで、失礼ですが、やはりという感じで肺ガンで死んだり、比較的若死にする人には喫煙の習慣を持った人が多かったことに気が付くなど、喫煙の影響は単なる統計上の問題ではなく、健康をむしばんでいるのは確実らしいということを実感するようになりました。大量にたばこを吸うことは、一種の静かな自殺と考えてもいいかも知れません。たばこを吸われる方は、この辺の実情と、自分が吸うことによって、自分だけでなく家族や回りの人の健康も害しているということをはっきりと認識するべきだと思います。

たばこの消費の拡大につながるために、米国では禁止されているテレビCMを厚生省がなぜ25年間以上も放置してきたのかは理解に苦しみます。公衆衛生の向上増進を任とすることになっているはずの厚生省が、エイズ薬害事件の場合同様に、国民の健康を無視したなんらかの利害関係のために、あえてテレビCMの禁止を先送りしてきたと疑われても仕方がないのではないでしょうか(97年9月25日)。

[伊佐山芳郎様、入力ミスを指摘していただいてどうもありがとうございました、ご指摘の通り訂正させていただきました。]

〔2011年11月22日追記〕禁煙運動のその後の動向については、問題39(健康)最近気付いたこと「アイルランドの禁煙事情と当日券でセンターコートに入れた話」風景写真アルバム浜松町駅前の喫煙所もご参照ください。

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