2004.1.10 オリジナルタイロッド
Play Rough Roadのページをじっくり見ていただくと判ることですが、何を隠そう私はこれまで、7本のタイロッドを曲げてきました。
こんなに曲げてしまった人は他に聞いたことがないので、よっぽど私の腕に問題があるんでしょう。(+_+)
そんな折、IBEX2 240に乗るとしきさんも同様の悩みを持っておられました。
TJは岩などから滑り落ちたときなど、運悪くタイロッドに車重が掛かるとご臨終になります。
しかし、IBEXはタイヤに掛かる外力と操舵力で曲がってしまうようです。
例えば、ステアリングを左いっぱいに切ったときに、右タイヤに右に向く力が掛かるとか。
似たような悩みを抱える者同士で会話が弾み、強化タイロッドは作れないかという議論に。
そうこうしてるうちに、としきさんが行動に出て、私が追随する形でタイロッド製作が始まりました。
※としき式強化タイロッドのページはここ。
タイロッドの作り方については、としきさんのノウハウになるので、ここでは内緒です。
【強度検討】
タイロッドを強化する時に一番気になるのは、タイロッドが壊れなくなった場合、次に壊れるのはどの部位か、です。
イメージ的には、トラックロッドがやばそうな気がします。
っと言うことで、強度の検討をしてみました。
一般的に応力σは下式で与えられます。
σ=M/Z
M:曲げモーメント
Z:断面係数
タイロッドは曲げモーメントを受けて曲がる訳ですが、その大きさなんて知る由もありません。
また断面係数は、素材の強度などには無関係に、断面形状だけで決まる係数です。
素材の材質、許容応力など調べようもありませんが、式から断面係数が大きければ応力に有利であることが判ります。
ということで、それぞれの断面係数を比較してみました。
トラックロッドは円柱の棒なので、
という断面形状で考えると、
断面係数:Z=πd3/32
一方、タイロッドは円筒のパイプなので、
という断面形状で、
断面係数:Z=π((d24−d14)/d2)/32
実際の寸法(私が現物から測定した値)から、計算すると、
トラックロッド | ノーマルタイロッド | |
外径[mm] | 25.4 | 21.7 |
内径[mm] | − | 14.3 |
断面係数[mm3] | 1608.8 | 814.0 |
トラックロッド比 | − | 50.6% |
つまり、トラックロッドとタイロッドが同じ材質だった場合、強度は約半分で設計されていることになります。
ただし、トラックロッドはタイロッドのマウント位置などで一様断面をしていないことや、各々のロッドの長さの違いからこんな単純計算ではまともな比較はできません。
御託を並べてしまいましたが、やっと本題です。(^^;
もの凄い偶然で、外径23.5mm、内径16.0mmのパイプを入手しました。
これは規格物ではないので、二度と手に入らない代物です。
同様の計算をすると、
トラックロッド | ノーマルタイロッド | オリジナルタイロッド | |
外径[mm] | 25.4 | 21.7 | 23.5 |
内径[mm] | − | 14.3 | 16.0 |
断面係数[mm3] | 1608.8 | 814.0 | 1000.3 |
トラックロッド比 | − | 50.6% | 62.2% |
ノーマルタイロッド比 | − | − | 122.9% |
という数値になりました。
雰囲気的には、もう少し内径を小さくして、トラックロッド比80%くらいがいいような気もします。
【タイロッド製作・取付】
ノーマルと比較です。
端部はネジ切りされているので、一見内径が同じに見えますが、ノーマルはネジ部の奥は内径が小さくなってます。
シャーシブラックを塗り、さっそく取り付けてみました。
外径が太くなるので、回り留めはロックナット式にしてみました。
さて、このタイロッドは一体いつまで持つことやら、、、