真勢中州と其の弟子たちの流れ


彼は、2千年に一人出るほどの、天才と謳われた、本筮易を生み出した人物です
彼は江戸時代の人物で、新井白蛾の弟子として、易学を習っていました
日本で、はやった易は略筮といい、(高嶋易断が有名)筮竹50本のうち49本をつかい、それを策して、陰陽を六卦だして、物の吉凶を判断したものです
真勢中州は、易をするものが古代中国で天子の位にあり、政治、戦略を指示し、皇帝の上の位にあったとされたのは、もっと優れたものであったはずと想像し、古代の中国の書物を調べて、自力で本筮方をうみだしました
隸書(レイショ)によると,古代中国の書物は竹に書いてあったそうで、占いの書物が王の命令で焼かれるのを畏れたものが,家の壁の中に隠したそうで、それがでたころには、字も読みにくくなっていたであろう,そのため八と九を間違ったのではないか、筮竹を49本で策すると,あまりが出るが、48本で策するとあまりが出ないと言う事に着眼した
真勢は、自分の師の略筮を疑問に思い、古文書を研究し,当時の易はこうであったろうと、編み出した。

繋辞伝によると、本筮方法の陰陽の出し方が、十有八変して卦をナスとあるので、18回陰陽をだしています。真勢の編み出した方法は、中国の古文書にたいして、18回の陰陽を出す点でも、当時の方法に近いのではないかと思います
又、略筮では、卦の判断を爻辞で判断するのが特徴ですが、本筮は、象で判断するのが特徴です
本筮の判断力がみにつきますと、いろんな面白い事がわかってきます
今まで私は試した事がなかったのですが、私とある人物と二人で秘密の会話を会議室に入ってしておりました、なにを話しているのか気になったアル占い師が、本筮方で私の会話は何かと占っていました
其の卦を見せてもらった私は、とても楽しい気持ちになりました。そこには、本当に私が話していた会話の内容が見事に出ていたのです

真勢中州の占例を読みますと、江戸時代の風習などもわかり面白いです
とうじ、彼らは冠婚葬祭には、脇差を帯にさしてでかけたようです
ある人物が、人から借りた脇差を元の持ち主に返しに言ったところ、「この脇差は自分のものではない」といわれ、実際に借りた脇差の行方を真勢に占ってもらいに来ました
すると、真勢が答えるには、冠婚葬祭の帰り、お風呂屋さんに行った様子が占った卦にあり、其の時に、よその人の脇差を間違って持って帰ったが、当人の脇差を持った人は、東の方位の親類で、其の人は、其の脇差を質屋に持っていったので、この脇差を持って説明にいくべしと、判断したそうで、果たして結果が其のとおりだったとのことでした
借りた方も、間違って持っていった方も、質屋に行っていたり、知り合いに借りたりしている様子が、江戸時代の質素で、支えあって生きている人々の状況がみえて、よんでいるだけで、一寸、江戸時代を覗いた気がしました
冠婚葬祭のあとの風呂屋さん・質屋・借りる・、人付き合いが今よりも蜜のかんじがしますね?
真勢の評判は高く、当時の瓦版をにぎわしたそうです
門前列をなすという人気で、外に並ぶ人物の名前まで、占って当てた事も書物にのっています
真勢の高弟に、谷川龍山と松井羅州がいます
谷川龍山は、医者であったため、真勢を経済的にも支えたそうです
明治時代の、真勢の流れを汲んだ弟子に、松田龍山がいます、今の鶯谷(東京)のちいさな家に住んでいたそうで、生活ぶりは豊かではなかったそうです
松田龍山の著書、<易象大林>は、今でものこっています
松田龍山の占いがよくあたると評判を聞いた当時の読売新聞の編集長が、ここに取材にいき、この占いに魅了され、松田龍山について弟子となった人物が、大島皐龍といいます
松田龍山氏は、大島氏に「あなたなら本筮が出来る」とおっしゃったそうです
大島皐龍氏は、易象神隋という本を残しました。(本筮の占いの占例集)この大島皐龍を父とした人が、中根光龍氏(現在85歳横浜在住)です。中根先生は、大変頭の回転が速く、判断力や洞察力の凄さは、非凡の人ですが、全く能ある鷹はつめを隠すような生き方の人で、見た目は穏やかで平凡の人に見え、隠れた仙人のような女性です。
わたしは、先生から本筮だけでなく、生き方も指導をされ、今日あるのは、この先生のおかげと心から感謝しております
わたしは、この中根光龍先生の弟子となり師範の免状を頂き、真勢の流れを汲んだ本筮易宗家として次代の責任を受け継ぐ事になりました

真勢中州先生の神業のような占術の足元にも及びませんが、心を中庸に保ち、真摯な気持ちで絶えず勉強の姿勢をもって、先人たちに恥じることのないような、立派な本筮の読解者となるべきと、一生涯勉強する思いでおります

運勢は流されるものではなくて、運転の仕方が運を左右させます
自分の運勢をよくする為の運転の仕方を、わかっている人が運の良い人になれるのです。
本筮占いで運勢を質問すると、あなたの運勢のための運転の技とか特長を、示してきます
生き方にマイナス的要素があれば、あなたにとって、よりよい人生を歩むためのコツが示されます
あるべき生き方や、望ましいやり方を身につけることができれば、人生は生きやすくなります
占ってもらっても、何の努力もしなければ、未来を変えることはできません。
痩せるほうを、聞いても、それをしなければ痩せないのと同じです
生き方のコツを身に付けること,其のコツをつかむ事,此れが,運勢をよくするのです。


参考文献
漢籍国字辞典 (早稲田講議録)
周易本筮指南 (谷川順祐・龍山著)
易学大全   (柄澤照覚著)
真勢易秘訣  (加藤大岳著)
易象大林   (松田龍山著)
易象神隋   (大島皐龍著)
本筮易入門  (中根光龍著)