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2000年09月〜12月まで。
こちらのページにはこのHpを立ち上げてから世紀末までの「小説を読んでみました」を移しました。およそ100日くらいで63冊分。多いような少ないような? 少なくとも、お世話になっている小説系サイトOmniStoryの読者アンケートを見るに、私などは一番の小者!って感じなのですがね。(苦笑) で、架空戦記とライトノベル以外、読んでないなぁ。昔は結構、いろいろなジャンルを読んだものですが、嬉しいことに私の大好きなこのテのジャンルが読んでも読んでもつきない程、出版されていますから....他の本を手にとる余裕がない。とりあえず至福の時代ではありましょう。あと何年、時代の流れとして、また私個人の事情でこの本達にめぐりあいつづけることができるかはわかりませんが.....とりあえず、ここに読んだ印を刻めたことに感謝しつつ。
2000年12月23日
焦熱の波涛9 救国作戦!ホワイトハウス爆撃指令!! 林 譲治 歴史群像新書
C 兵隊元帥欧州戦記から数えて14冊目。完結篇。なんだかねぇ。このサブタイトル。途中から物凄くなってきたな。意味ナシもいいところだ。
あとがきにもある通り、このシリーズは何度も路線変更を行っている。正直なところ終盤の数冊はあまりおもしろくない。兵隊元帥のころの凄い戦術的御都合主義はナリをひそめて、ひたすらに真面目。涙が出てきそう。登場人物たちまで真面目一本槍。最終巻においてはパロディすらないのでは?
まぁ、シリーズ最初から中盤にかけての愛すべき登場人物達では戦争を終わらせることはできないだろう。いや、そういう視点から終わらせてしまう方法もあった筈だ。戦術的な勝利の積み重ねによって米が根をあげるというヤツ。でも林譲治先生はそうしなかった。そのこと自体は私は支持する。
結局、林譲治先生には書きたいことっていうのが山程あるであろうってことだ。そしてこのシリーズに片端から詰め込んだ。
林譲治先生は他の出版会社からも沢山の作品を出版している。でもこのシリーズにたくさんのエピソードを織り込んだ。この作品ほど、成功した?世界っていうものはないという裏返しではないだろうか。中堅将校による戦争のコントロール、フォッケウルフの日本量産における困難、個艦能力の否定、潜水艦運用の方法、酸素魚雷の否定。その他、思い出せないが感銘を受けたストーリーは多い。
どれもひとつの作品の根幹としておくことも可能なお話だ。実際、そういう他作家の作品は多い。いや、林譲治先生自身がそういう作品をいくつか手がけている。紆余曲折を経て、正直まとまりのないシリーズとなってしまった感はあるものの、私はこのシリーズが大好きでした。数々の登場人物達。最高に格好良かったです。戦後世界において、幸多からんことを。
レディ・スクウォッター 都築由浩 電撃文庫
C イラストを見て買いました筆頭。だって可愛かったンだもの。
私は美少女が好きである。よって可愛い女の子のイラストが書いてある小説は兎にも角にも手にとる。作者を確認して9割がたは購入する。で、読まないことが結構多い。(苦笑)
この本は幸運にも購入直後に読み始めた。架空戦記ものが連続していたので気分転換もあったのですな。それにイラストパワーが特に強力だったわけです。で、かなり良かったかな? 「トップをねらえ」の宇宙怪獣のような人類の最強の敵を零細宇宙船会社の男性社員2人と、たまたま?巻きこまれた美少女デリヴァランスが知恵と勇気で倒しちゃうというお話でした。幸運がやたらめったら必要でしたが、上手い具合に宇宙怪獣を倒してめでたしめでたし。
ただ、不幸に見まわれた観光船の乗客達は主題の添え物のクセに人数が多くて説明的にすぎましたな。後半にかけての展開を見るに必要なことだったとは思いますが、もうちょっとスマートになるとよかったと思います。で、船内倉庫に向かったデリヴァランスの行動はおかしいですよね? ヘンですわ。あそこだけ特別に。
あとは....裏表紙と口絵イラストに可愛い女の子がおるのですよ。ヒロインのデリヴァランスの妹、キャサリン。でもただの脇役だ。パセリのような添え物だ。どうしてそんなにイラストにいるのだあぁぁ。可愛いのにぃ。活躍しないぃ。ちょっと騙された感じ。(笑)
2000年12月21日
マリア様がみてる 今野緒雪 コバルト文庫
A 最高最高最高最高最高!!
この作品は、どこかのHpで主催していたライトノベル人気投票において、私の大好きな樹川さとみ先生の「楽園の魔女たち」よりも上位にあった、ということで興味を持ち購入したものです。今までにも似たような経緯で読み始めた本もたくさんありました。が、この本ほど、評判に違わずに私が気に入った作品はありませんでした。なかったと思う。
「女子高なので女の子ばかり。まるでケーキバイキングみたい」とは、あとがきで今野緒雪先生が自ら記したこの作品の印象ですが、正に然り。素晴らしい比喩です。舞台はキリスト教系列のお嬢様学校、リリアン女学園。百合を連想させる数々のシステムを組み込んだこの学校で物語は進行します。
いい。とにかくいい。勿論、架空のお話ではありますが、私が近年読んだお話の中で数少ない現実世界で、現実に理解できる小道具だけで完成された物語です。オーバーテクノロジーな技術も出てこない。想像上の怪物も出てこない。魔法も超能力もまったくない。
だがしかし。お嬢様を純粋培養させるリリアン女学園。この世界は私にとって未知の空間であり、それはある意味、SFでありファンタジーであり架空戦記であるといえる。謎の姉妹システムはファンタスティックでありマーベラスである。あまりの可愛らしさに私の心はメロメロっす。仕事なんぞしないで読みふけること数日。以下の通りシリーズを凄い勢いで読んでおります。無茶苦茶怪しげな題材ではあるものの、男性を含めて人様にお勧めできる素晴らしい作品です。
マリア様がみてる 黄薔薇革命 今野緒雪 コバルト文庫
A
マリア様がみてる いばらの森 今野緒雪 コバルト文庫
A
マリア様がみてる ロサ・カニーナ 今野緒雪 コバルト文庫
A
僕にお月様を見せないで2 背中のイモムシ大行進 阿智太郎 電撃文庫
C 3章構成。新キャラクター、懐かしキャラクター盛沢山。ちょーっと前作「僕血」と全く同じような仕掛けをしつつあるのがナニだけれども良いです。この下の方、1巻の感想を読むと、ヒロインに魅力がないとか書いてあるけど、他のキャラクターが飛ばしまくっているおかげで「変な娘」である筈のヒロインが好ましく思えてきちゃっているのが自分的におもしろいです。健気なンだもの。おかげで主人公の朴念仁パワーが無償に腹立だしい今日この頃です。(笑) 阿智太郎先生の術中にはまっているのか? 私が単純なだけなのか? 購入してから読み始めるまで結構時間がかかる食指の動き辛い作品なのですが、次回も早々に出て欲しいですな。
帝国戦記 伊吹秀明 歴史群像新書
C 既に完結した伊吹秀明先生の「帝国大海戦」の外伝。短編4つから構成されている。外伝としては非常によくできていて好ましい。本家の「帝国大海戦」では戦術・戦闘的に結構無茶をやっていたのだが、このお話でも奇想艦スラバヤなどは「マグレあたり」を連発する。単装大口径砲は....あたらんじゃろ。まぁ「帝国大海戦」っぽくてよいが。そういう世界だったしね。
で、白眉が4つ目の短編の「帝国大海戦」が史実であるという世界における架空戦記出版事情物語。大丈夫ですか?結構ヤバイこと書いてありますけど。まぁ架空の世界のお話なんだから全然問題ない筈だけど。(笑) もし、実際のお話だったらコワイなぁ。(大笑) 本当に、もし、架空の人物が実在したならば喧嘩になりかねないですな。(大々笑)
いや、勇気があると思いました。
スカーレット・ウィザード4 茅田砂胡 C-NOVELSファンタジア
C おもしろい....のかな? 前作、デルフィニア戦記に比べてイマイチ感を否めない本シリーズでしたが、最近になって結構、楽しんでいる自分がいるのを発見。実感のわかないSF世界で「凄い」って言われてもやっぱり実感がなかったわけですが、慣れてきたっつーところでしょうか。で、今回、名のあるキャラクターをプチッと殺しましたな? これも「違い」を演出しているつもりなのかな? いまひとつわからん。まあ、とりあえず続きを読みたいと思わせる作品になりました。よかったです。
美少女市場 恥辱の肉玩具 御影 凌 マドンナメイト文庫
B 私が今まで読んできたいくつかの大々的売春組織モノの中では最高の評価を与えちゃう作品。アダルト小説として文章が読みやすいのは良いことだし、他の作品のH描写と比べてもワクワクとさせていただきました。趣味に合っていたのでしょうな。
舞台はハナゾノ園なる孤島にある学校法人施設で、裏で政治家とかなんとかに少女をあてがって法をすり抜け、巨額の富を得ているという設定。よくある物語ではありますが、いろいろ問題を起こして報道されている施設が実際にあるわけだから、真実味っつーか、そういうものが感じられてよかったです。御影凌先生もちゃんと意識して書いているのだろうし。
で、最初に壊されちゃった涼子ちゃんってナニをやったンでしょうね? 商品にならないじゃないか。あれでは。ま、普通はエロ小説にそんな事を突っ込んでも仕様がないのだけれども、最後があっけなさすぎではありましたが全体的には物語として一応の完成を見ているから、つい、いらんことをここにも書いてしまうわけです。アダルト小説って兎に角イイカゲンだから良かった作品くらいはイロイロ書きたくなっちゃうのですな。
鉄槌2 橋本 純 歴史群像新書
C 本土決戦。これがこの本のテーマである。九州に米軍を誘致し、これを内陸において攻撃し出血を強いて米世論に訴え停戦に持ち込むという戦略である。いいねぇ。「自決の禁止」「とにかく生き抜いて敵を妨害せよ」のおかげで、普通?の本土決戦よりはマシな戦いを演じている。ちょっと考えると穴だらけな気もするし、事実穴だらけだと思うけど、とりあえず楽しませていただいております。
大軍師伝3 大河原龍二 歴史群像新書
C 三国志が土台の架空戦記。さて。大軍師伝とタイトルにあるが大軍師とは何ぞや?タイトルだけ聞くと諸葛亮が大活躍する話っぽいのだが....このお話の諸葛亮、1巻では魯粛には張り合うものの周ユには完全に気圧され、2巻では満寵にも大敗する始末。被害妄想気味で独断専行の行い強く劉備とは全く相性がよろしくない。というか馬良と職業軍人を自任する趙雲以外とはまともなお付き合いができないヒドイ人物である。とはいうものの、3巻までに孫権を滅ぼし、劉ショウを降し、南蛮を平らげて北征を開始するところまでもっていく。中国の地図を荊州を中心にして上に曹操、下に劉備と二分した形にしたのですな。他の三国志モノ架空戦記よりは変化があってよいです。それと武将の性格付けかな? ちょっとイメージとは違うけどいい味出してますよ。どの人物も。
大軍師伝4 大河原龍二 歴史群像新書
C 連続して読みましただ。諸葛亮は遂に馬ショクにまで人間性を疑われ、馬ショクは暴走により演義どおり斬首。国力が史実?よりも多い蜀は荊州の関羽を救出。干禁も釈放されていないから生き残っているかな? でも逆に夏候淵、徐晃、曹仁、ホウ徳、李典、張コウ(シュンガイ)、孫乾、黄忠、魯粛などなどなどなど演義どうりに、または架空の展開で将軍達がブチブチ死んでゆきます。特に魏の国の将軍はヒドイ扱いだ。そんなに簡単に首にならないでよ。(苦笑)
で、4巻終了までに大どんでん返し。勢力地図は大幅に書き換わりました。曹操死亡により、廃嫡されていた曹ヒ+司馬イの偽魏国がエンショウの土地あたり、その北方は公孫賛の土地に実は生きていた孫権+陸遜の燕国、トウケンとか劉備とか呂布がいたあたりに斉国を建てた魏延!!+顧ヨウ。洛陽に正統な魏国である曹沖+カク? 長安には劉協!!!+諸葛亮!!? の漢帝国? 残りが一応劉備+徐庶、ホウ統。
ナニなところもありますが、結構、楽しんでおりまする。次回巻が楽しみですな。
2000年12月01日
楽園の魔女たち 〜星が落ちた日〜 樹川さとみ コバルト文庫
A 最高! 可愛い魔女たちの物語も13冊目ですよ? ついに一大転機です。次回からタイトルにZとかRとかRXとか♯とかWGPとか魂とかつかないものか心配です。(嘘) 今までのキャラクター総出演。かなりどうでもよいエピソードのどうでもいいキャラクターでも出てくるとそれなりに味があって感慨深いですな。まるで最終回のようで読んでいて心配もしていたのですが。最高でした。うん。
で、とりあえず、サラにはセクハラされたいですな。でで、我が愛しのダナティア殿下への悪口は最高でした。大きいよりは小さいほうが好きなのですが、殿下のものであればそれはそれでゴージャスでよろしいと思います。ででで、アシャ・ネビィ氏はもしかして最強登場人物の一人なのでは? 少なくともエイザードを殺せる唯一の人っぽいし。
それゆけ薔薇姫さま! 岡本賢一 ファミ通文庫
C 最高? 岡本賢一先生。凄いです。いろいろと。(笑)
ソノラマ文庫から出版されている岡本賢一先生の本は結構読んだことがある。正直なところイマイチの感が否めなかった。可愛らしい聖女のような精神の女の子達。でもハッピーエンドにはならない。どうにも私には歯痒くて仕方がなかった。イロイロな意味で。
で、この作品だ。ぶっ飛びすぎ。(笑) 聖女はいったいどこへ? まさか宇宙の平和を守っているのが「うくっ、うくくっ」とか笑う変態女だとはお釈迦様でも思うまい。あまりの低劣さに苦笑しつつも読み進んじゃう妙な魅力。こんな本をニヤニヤしながら読む自分がマゾであるのではないかと自問したりして。まぁ、今までの歯痒さを全部ふっとばしてくれました。楽しかったです。でもこのお話の続きはいらないかな。出そうだけど。(苦笑)
2000年11月25日
戦国の長嶋巨人軍 志茂田景樹 実業之日本社JOYNOVELS
A たった今、読み終わりました。すっげー。最高。続き読ませろ!!
過ぐる架空戦記コンベンション、IFCON-ZEROにおいて御紹介いただいきましたトンデモ本の筆頭が本作品でした。95年に出版された本書は、私自身が志茂田景樹先生の本を敬遠していたこともあり先日まで眼中にない作品でした。また、読み始めるまではあくまでトンデモ本として期待していたのであって、小説としての評価は期待していませんでした。が。しかし。これほど良い方に期待を裏切られたものも多くはありません。志茂田景樹先生の作品らしく、イイカゲンな(失礼) 文体での始まり方にちょっと引いていた私でしたが、読み進める内にとまらなくなって、気がついたら最後のページを読んでおりました。最近ではめずらしい引きこまれ方をしたものです。
あらすじは。
95年当時の長嶋巨人軍は冬季の自主トレーニングに自衛隊での演習を加えていました。軍隊の訓練が実戦での役にたつと長嶋監督は考えたようです。そして90式戦車、給油車と64式小銃を中心とした軍装一式を持った長嶋巨人軍19名は戦国時代は桶狭間の戦いの当日にタイムスリップしてしまいます。合戦にちょっとだけ寄与したあとに、新しいもの好きの織田信長は長嶋監督と意気投合し、野球の面白みを理解して尾張領内に幾つものチームを作り、楽市楽座や関所撤廃と並んで野球場を設営、領国経営に役立てていきます。そして全尾張軍と巨人軍の対決。桑田が投げて強打者で赤バットの柴田勝家が打つ!! 速球投手の滝川一益が投げて落合がホームランを放つ!! 遊撃手の木下藤吉郎は巧打者で、ゴジラの前にポテンヒットを決める!!代打の信長は青バットを持って槙原を粉砕する!! なんて心踊るストーリーでしょう。巨人軍の野球は明智光秀を引きつけ、併合後の美濃や三河の徳川家康もチームを作り、武田信玄の甲斐や今川氏真の駿河にも文化使節として赴き、広がっていきます。長嶋監督は野球に興味を示さなかった今川氏真、馬場信春、山県昌景などは「器量がない」と斬って捨て、野球を好んだ秋山信友などは優れた将の器があると論評しております。そして遂には京の町でも長嶋巨人軍の名前は鳴り響くようになるのです。最後は三方ケ原の合戦に参加した長嶋巨人軍が、武田信玄の上洛を阻止するところでいきなり終わってしまうのです。まさに尻切れトンボ。ある意味で潔し。
志茂田景樹先生の本というと、太平洋戦争モノはすっごくトンデモないものが多いが、戦国モノは結構、普通の作品を作るという風評を受けており、私個人が読んだ10冊前後の本も文体の下手糞な普通の架空戦記という捉え方でした。でも。ちょっと見方が変わってきております。
第83回の直木賞を受けられた作品も読んではいない私ですが、きっとこの「戦国の長嶋巨人軍」と同じように素晴らしい作品だったのでしょう。必要な情報は適当に抑えて読者に考えさせる手法、面倒くさい考証は無視して驀進し、うやむやにしてしまう技法。とりあえずエンターテイメント作品として最高です。久々のヒットでした。いや、場外ホームランでしょう。尚、通常の書店では最近、めっきり減ってしまた志茂田景樹先生の本ですが、K−Booksなどの古本屋では山ほど置いてあります。私がこの本を買った郊外型の大型古本屋では、50タイトル近い作品がありました。皆さん、結構読んでいるなぁ。と思っちゃいました。
布哇大戦記 高貫布士 経済界RYUNOVELS
C 高貫節、ばりばりぃぃぃぃぃっっ。舞台は1940年初頭。米国が日本の同盟国である王政復古なったハワイに奇襲攻撃を開始したところから始まる。が、頭の第1章と最後の第7章を除けば、この世界がどのようにして成り立ったかを延々と考証する。要点は。
米国は空軍を独立させた。
米国空軍は戦略空軍であり、超長距離爆撃機を擁している。
米国海軍航空隊は空軍との確執の結果、旧式機しかもっていない。
布哇は英国、日本国の思惑で王政復古し、独立をはたしている。
日英布は王室の婚姻戦略によって強固な同盟関係を築いている。
凄いよねぇ。古くは1850年頃から歴史を構築して本作品を作っている。最近の架空戦記の流行が根本からの歴史改変にあるとはいえ、高貫布士先生ほどの綿密な歴史構築は他に類を見ない。まぁ、それがタルイといえばそれまでだが、凄いことだと私は思う。こういう作品もたまには良いではないか。打ち切りにならないといいなぁ。他の高貫布士先生の作品みたいに。(苦笑)
そそ。これだけ真面目にやりつつもパロディ臭いところがたまにあるのは何故? ハーフハイドとかボライソーとか言う人物がグラッドストンとかに混じって何気に出てくるんですけど。(笑) それともパロディではなく実在の人物なのでしょうか? ううむ。1900年頃のイギリスの海軍卿となると流石に架空か史実か区別がつかぬ。(苦笑)
2000年11月23日
第七航空艦隊戦記4 橋本 純 コスミックインターナショナル
C 橋本純先生のスチャラカ戦記4巻。もうちょっとだけスチャラカ度を下げてくれると最高評価に値するンだけれどな。羅門祐人先生の「独立愚連艦隊」と同じになっちゃつまらんでしょう。
さて。架空の登場人物の大半が誰かさんであるらしいのですが、肝心の西尾看護婦と松田大尉がわからんのじゃよ。これがわかれば他の不明人物もある程度、目星がつくのではないかと思っちょるンですが。とりあえず空戦隊のプロレス御一行様、艦爆隊のお笑い御一行様はわかりやすいンだけれども。
そそ。米海軍の至宝、栄光のエンタープライズをここまでこき下ろした作品は他に見たことがありません。大丈夫? 暗闇に注意した方がよろしいのでは? 橋本純先生。(笑)
トリシア先生、奮闘中! 南房秀久 富士見ファンタジア文庫
C 同社から発売されている南房秀久先生の本は全部、読んでおります。時代には差があれど、全ての作品舞台を統一している作り方は結構好きです。今回もデビュー作と月蝕戦記からゲストが出演しています。なかなか良いと思います。
が。しかし。個人的に南房秀久先生の作品ってあんまし好きではないのですな。全作品を読んでいるからには惹かれるものがある筈だし、実際に惹かれているところも自覚しているつもりです。でも新刊が出るたびに購入を躊躇しているのも事実です。どう言ったものかな。うむむ。
フルメタル・パニック! 終わるデイ・バイ・デイ(上) 賀東招二 富士見ファンタジア文庫
B 発売日を延ばしまくってついには上下分冊かい! まぁ、とりあえず発売されて何よりです。
富士見ファンタジア文庫一押しの作品。ある程度、冊数を重ねた作品群の中でアニメ化されるとしたらこれかな? 出版側にその力がいまだに残っていればだけれども。
で。内容的には文句無し。楽しませていただいております。私個人としても富士見ファンタジア続刊作品では一番好きです。がんばって続きを書いてください。賀東招二先生。
2000年11月16日
ダブルブリッド4 中村恵里加 電撃文庫
C 片倉優樹さんがどんどん人間離れしていってるンですけど。アヤカシ度ばりばり。より一層、猟奇的だし。いや、シリーズ全体において起承転結の「転」なあたりだから仕様がないんだけどさ。おもしろいといえばおもしろいんだけどさ。うう。久々に猟奇度ばりばりじゃよ。おねがいだから指突っ込んで眼球の交換とかすんなよ。うううう。次巻あたりで終わらない? あんまし「結」を待たせないで。期待しているから。
南国戦隊シュレイオー 神野オキナ ソノラマ文庫
B 簡単にいうとヲタクがロボットに乗って沖縄を守る! って話なンだけど。(苦笑)
ヲタクといっても「こみパ」とか「デ・ジ・キャラット」とかに出てくる記号としてのオタクではなく、「こみパ」の主人公くらいのスタンスのヲタクです。あとから膨れていったタカヤノリコ像とかよりもソフトですな。まぁ、それがいきなり「君には力がある」「ロボットに乗って戦え」って言われて、ヲタクとしての自分を認識した上での反応はおもしろいかも。で、タイトルの「南国戦隊シュレイオー」はちょっといただけない。今後、続いていくのであれば別だが、この本一冊ではちょっとナニではないですか? まぁ、購買層を狙ったタイトルだとは思いますが、このタイトルからくるイメージよりも余程良い感じを私は貰っちゃいました。
2000年11月11日
若草野球部狂想曲2 一色銀河 電撃文庫
C また物凄い設定のピッチャーがでてきたなぁ。小説としては良いのかもしんないけど。
このシリーズの一作目はパロディの塊でした。「野球狂の詩」「童夢くん」「無敵のビーナス」「プリンセスナイン」「ドキドキプリティリーグ」などなど古今東西の女子野球選手の出てくるものを中心とした野球モノの。 そういうあたりが好きなものには感銘を与える、与えた一冊でした。この作りでは続きなんて出ないだろう。とか思っていたら2冊目、出ちゃいました。パロディ抜きのただの野球モノになっていたけど。(苦笑) 夙川奈留緒。伊那市鈴音。おいしい脇キャラクターなのだがイラストが可愛くない。可愛くないったら可愛くない。なんとかしてくれ。
女の子の出てくる野球モノが好きな人には無条件でお勧めな一冊。あー、でも二巻はダメかな。(笑)
星くず英雄伝8 新木 伸 電撃文庫
C 前巻から何ケ月たった? 間が空きすぎです。名前だけポロっと出てくるような一部のキャラクター、忘れちゃっているし。(苦笑) 途中からパラレルワールドものになってしまって結構キビシイ展開になっている同シリーズですが、8冊も続くと慣れちゃったし、テンションは維持しているので結構おもしろいです。続きを是非読みたいと思わせるほど、評価の高い作品だす。ラブひな属性を持っているものの、あまりに赤裸々な女性陣のおかげでイヤらしさを全然まったく感じさせないというなんとも不思議な作品です。ああ。ラブひなもイヤらしくはないか。(苦笑)
ピカッと光ると強くなって終わっちゃうという私の嫌いな作品の典型にあるのですが、物語中の「ヒーロー」はそういう非常識なものって最初から書いてあるので、ピカッて光るまでの過程を読むことが出来るのですな。同じく光って勝っちゃうモノでも、与えられ方によってどうにでもなるっていうのを実感させてくれている作品です。
2000年11月08日
ブルー・プラネット 星のパイロット4 笹本祐一 ソノラマ文庫
A 楽しかったです。文句無し。スーザン・フェイ・チョム最高。ところでスウ、君はいくつ?初登場の時は「小学生よりも年上らしい」くらいだったのだが....何年たってるんだ?この話で。
「星のパイロット」の第一巻は、あまりおもしろくなかったという印象がある。確か、発表一ケ月ほど前に「少女パイロットの初めての宇宙飛行」という、題材の非常に良く似た野尻抱介先生の「ロケットガール」が発売になっており、そのアニメライクな思い切りの良さに比べて、真面目さが仇になってしまった感があったのだ。スケールが小さく感じたのですな。
勿論、軍事オタクの端くれとして、また、弱小ジャンク技術オンボロなどのキーワード溢れる世界が好きなものとして、それなりには楽しく読んだ気もするけど。バルキリーとかハスラーとかってやっぱり好きでないとわからんじゃろ?うん。
ところが。以後のシリーズは随分評価が上がっている。独自に世界展開しているあたりは流石というべきか。実際に舞台である「近未来」が巻を重ねるごとに分厚く深みを増しているのは読んでいて楽しい。まあ、前巻、今巻と、主題の宇宙における活躍が少々、減っているのはナニですが。理由は主人公の交代ですが、主人公が変わっていくのはARIELでもよくあったし、スウに乗っ取られたのは個人的には大歓迎であるからよしとしよう。(笑) そうそう。スウのイラストは可愛くてよいです。
焦熱の波涛8 猛襲!ブリスベーン大空襲作戦! 林 譲治 学研歴史群像新書
B サブタイトルに偽りあり。どこが猛襲で大空襲作戦なんだ? まあそれはよいとして。このシリーズは私が大好きな作品なのですが....今回は右近中佐でてこないし別人になった落合中佐と船引中佐が中心なので....真面目だ。かなり真面目だ。盛り上がりに欠けるなぁ。繋ぎって感じ? あとナニが悔しいって。パロディらしい場所が何のパロディだかはっきりしないところなのじゃよ。例えば。時速775km/hで尚、増速中に「ドラゴンを見た」とか言い出すンだけど。何? 777か?パチスロかなんかか? 気になる。すっげー気になる。次回巻、大期待。がんばってくれー。いや、がんばってください。
不沈戦艦紀伊12 子竜 螢 学研歴史群像新書
D 紀伊と姉妹艦の尾張は超大和級の戦艦である。世界最強の51センチ砲を装備し、航空魚雷200本に耐えられる設計になっている。一般に航空雷撃の命中率は10%を切るから、単純計算で雷撃機ばかり2000機ほどないと紀伊級は沈まない。太平洋戦争での最強の米機動部隊が正規空母15隻、軽空母8隻程度とすると、その艦載機のすべてを雷撃機として配備しなければならない。それは事実上不可能である。故に。紀伊は不沈戦艦なのである!!
さて。太平洋戦争時における優秀な提督というものには定番がある。山本五十六、小沢治三郎、山口多門などが筆頭であろう。井上成美、大西瀧次郎、源田実なども有名所だ。だがこのお話は航空主義を唱えるものは全て国を誤らせる国賊であり、大鑑巨砲こそが全てというめずらしいお話である。他のお話では最強の彼らも、このお話では先の見えない無能共なのだ。そして。主人公は幾人かいたものの現在はなんと神重徳。史実においてあの第一次ソロモン海戦やレイテ湾殴り込み、大和の沖縄水上特攻を立案、強行した男である。熱い。熱かった。最高だ。最初の頃は。(苦笑)
さてさて。大鑑巨砲はいい。歴史を顧みるに作戦行動中に空母艦載機によって沈められた戦艦というのは大和と武蔵しかいない。陸上航空隊を考えてもプリンス・オヴ・ウエールズとレパルスの2艦が加わるだけだ。ちゃんとした防空能力や護衛戦闘機が上記戦艦に付与されていたならば歴史は変わっていたかもしれない。というのが最近の架空戦記のひとつの道だ。実際にハリネズミのような防空能力をもつアメリカの戦艦には戦没艦はいない。戦闘レンジが長い空母の方が便利なのはわかる。でも海の王者は戦艦なのではないか?
で。このお話。もともと敗戦直前の日本海軍で大活躍しようっつー物凄い話だ。無茶もある。小破したフネが次のページで元気に走り回っているような単純で最低なミスも多々あった。作戦参謀の神重徳が魔術師ヤンばりに思い付きで艦隊を操るのもイヤだけどなれた。日本国の運命は彼の双肩にかかっている。(笑)
だから。本土決戦色が強くなったここ何冊かはもう早く終われっつー感じなんじゃよ。いわゆる本土決戦における最悪なシナリオなわけだ。非戦闘員も兵隊もぶちぶち死ぬ。老若男女を問わずぶちぶち死ぬ。まさに一億火の玉。一億総特攻。さっさと紀伊と尾張でぱーーーっと勝って終わりにしようよ。子竜螢先生。
翔竜正宗戦記3 坂上天陽 歴史群像新書
C この間、2巻の感想を書いたような気がするのだが早いものですな。
このホームページを立ち上げたとき、シリーズものの次の巻の感想?を書きこめるとは思ってもみませんでした。記念すべき作品です。
この巻は中休みといった所でしょうか。前巻において小田原北条氏を攻めていた豊臣氏を寡兵をもって破るという壮大な展開でしたが、このお話では占領地の下野と後方の奥羽平定が中心でした。ちょっと勢いが鈍ったかな? で、歴史は改変されて時系列は崩れつつも原田宗時は討ち死に、伊達成実は出奔と史実に近い展開をする方々がいる一方で、伊達小次郎宗盛とか芦名・二階堂盛隆はどんどん出世していきます。いいねぇ。これが架空戦記の醍醐味ってもんでしょう。人気からいけば真田昌幸か上杉景勝、直江兼次あたりが伊達家と共闘となるはずですが....今更、伊達の下風には立たないか。とりあえずは北条残党と佐竹、里見、結城秀康あたりが次の仲間候補かな?
大魔王アリス あすか正太 電撃文庫
E この頃、小説を読むスピードが遅くなっていた原因はこの一冊にある。性に合わないんだ。古き良きマガジン系マンガの強烈なやつって感じの本。いや、コロコロコミックあたりか? 折り返しのあらすじを読む限りは良い感じなんだけれども、実際に読み始めると全然ダメ。よく読み終えたよなぁ。途中で捨てなかったよなぁ。と感動に震えちゃっているよ。わし。
偽神の翼 ホルスマスター9 嬉野秋彦 ファミ通文庫
C それなりに楽しいもののお話が展開しないのはいつもの如し。まず広大な世界があって。その中を主人公達が歩き回っている感じ? 主人公の目的ってぇのがかなり視野の狭いもので、その進路上にたまたま存在した目的を持って必死に生きている脇役と戦っているだけだもんなぁ。軽いノリと萌え属性にて突き進むいわゆるライトファンタジーかと思いきや、普通の「敵役」ってものを巻毎におかないで話を展開している稀に見る逸品なのかもしんない。
2000年10月30日
サムライガール「明鏡止水篇」 召還教師リアルバウトハイスクールEX3 雑賀礼史 富士見ファンタジア文庫
B いいね。この短編集。本編がダラダラダラダラダラダラダラダラと続いているもンだから、この1話完結式はなかなかよいっす。外伝とかってぇのはこんな感じじゃないとね。外伝と本編の区別がつかないで混ぜこぜになっている他のシリーズもあるし。で、あらためてこの作品の主人公って本当はダレ?とか思っちゃう私でした。このシリーズ、売れているらしいけど、アニメ化とかは難しいだろうなぁ。ストリートファイトとかの扱いが難しそう。いや、ただの格闘集団かナニかにしちゃえばどうにでもごまかせるっぽいが....全然、別物になっちゃうと嫌だし。
双色の瞳2 ヘルズガルド戦史 霜越かほる スーパーダッシュ文庫
B このシリーズはいいっすよ? 多少、力不足なところはあるけれども、雰囲気としては「銀英伝」とか「デルフィニア戦記」みたいな感じ。つまり、化けられればかなり良い評価の本になるってことだ。ただなぁ。問題はスーパ−ダッシュ文庫っつーあたりと、寺田克也のイラスト。このチグハグな購買層のどちらからも敬遠されると厳しい感じ。結局売れなければ打ち切りだし、実際にこのシリーズは小休止って書いてあるし。残念だす。ヒットしないかなぁ。
この作品では、主人公の立場とか気持ちのありようが、矛盾を含みまくっているわけだが....今のままでは一般に、いや私に受け入れられないってあたりがちょっと問題。この矛盾が主題のひとつではあろうが....うまく収めてほしいものだす。どちらにしても是非続きを読ませていただきたい一品。がんばってください。めずらしく萌え〜っていう本じゃない本を推しています。わし。
R.O.D 2巻 倉田英之 スーパーダッシュ文庫
B 読書狂の紙使い、ザ・ペーパー=読子・リードマンの物語。第2巻。メディアミックス展開しているけれども、この小説のイラストレーター、プリティーサミーでおなじみの羽音たらくの絵が一番可愛い。漫画の方はちょっと趣味じゃないかも。で。いいなぁ。ビブリオマニアってぇだけで、その属性の一部なりとも持っているつもりの私なんか一発ですよ。いや、この読子くらいになるとちょっと異常だけど。(笑) そういえば女子高生作家である「菫川ねねね」は可愛くなったね。一巻では生意気なだけだったけれども、もう最高。「ねねね」って名前もいい。最初はばりばり抵抗あったけど、慣れてしまえば気持ちいいってもんさ。今回はダイ・ハードなお話。勢いだけで書かれてしまった気もするけれど、勢いだけで読めちゃったから良しとしよう。あまり深く考えさせない本ってイイっすよ。うん。
そういえば「近藤るるる」って漫画家もいたなぁ。
聖刻群龍伝 昇竜の刻3 千葉 暁 C-NOVELSファンタジア
C 発売から、かれこれ15年前にもなろうという国産RPG、ワースブレイドの世界を舞台にした物語。シリーズ11冊目。だらだらと読んでます。ソノラマ文庫の聖刻1092とは違った「普通の」操兵物語として始まった本シリーズですが、5冊目くらいから怪しくなりはじめ、もう同じ系列のお話と化しております。一応は戦国物語の一線を踏まえてはいるけれどもね。さて。お話は二転三転。どうにもフラフラと国情が変わる。そりゃあ変わらなければウソさ。でもこちとら文書として与えられた情報で物語世界を把握しているわけで、どうにも状況が掴み切れない。求心力の無い、どうやらそれが魅力らしい主人公のおかげでお話は流される流される。バルーザ、やっぱ仲間になるのん? なんとも歯痒い物語である。結構楽しんではいるのだけれど、波がありすぎ。もっと強力な指導者を!!世界に秩序と活力を!!って感じ。(c)銀英伝
2000年10月18日
ザ・サード5 惑いの空の凶天使 星野 亮 富士見ファンタジア文庫
B 刀使い(ソードダンサー)な女の子が主人公な物語も5冊目。1冊目から比べてどんどん進化している作品。週間ジャンプ的な変化っぽいところがナニですが。(苦笑) 今回は敵でありライバル?である機械知性体、酸素魚雷の救済物語。いやー。よかったねぇ。青い殺戮者。どんどんおいしいキャラクターになっていく。一番、人物描写のしっかりした機械だし。そそ。このシリーズ、人物描写がすっげー淡く感じるのさ。いやいや。文章の量としてはそれなりにいろいろ描写している。でもイラストの後藤なおの絵とのギャップでどうにもキャラクター像がはっきりしない。主人公の火乃香なんて、この4、5冊目でやっと掴みかけている感じ。なんとも形容しがたいのだが、「そこにいる」っていうイメージが全然ないのですよ。なんでかなぁ。どうにも存在が希薄なのですけれど。私の読み方がマズイのでしょうか? ま、その辺りはいいや。いまさら。もう5冊目だし。で、3冊目くらいからシリーズとしての方向性が出てきているのですが、私としては、「そういう方向にいくなぁ」って感じなのですが。やめない? あの謎の悪者。火乃香を語るのに彼はいらないでしょう? ああ。心配だ。おかしな展開にならなければよいのですが。可愛いのになぁ。絵。(笑)
僕にお月様を見せないで1 阿智太郎 電撃文庫
C 出世作、「僕の血を吸わないで」の流れを組む作品。推測でしかないけれど、「僕血」から、この作品にたどり着くまでの数作品ってあまり売れなかったのでは? これが売れるかどうかってぇのは難しいところだけれども、「僕血」を読んでいる人ならば買うでしょう。それくらい、イラストの宮須弥とのタッグって強力だと思う。あとは....ヒロインは人間だし可愛いし主人公の境遇からすれば彼女は素晴らしい女の子なンだろうけれども....「僕血」のジルと違って、変な娘でしょう? そう。ちょっと変な娘なンですよ。 いやいや。変な娘は好きですよ? 大好きさ。でも僕は主人公みたいな境遇じゃない。もうちっとなんかこう.....魅力が欲しいな。いやいやいやいや。可愛いンだけれどもなぁ。ナニかが。ナニかが足りない気がする。今後に期待。
東の太陽西の鷲10 中里融司 学研歴史群像新書
C 長いシリーズがまたひとつ、完結しました。中里先生とは過ぐるIFCON-0にて他の参加者よりもたくさんの時間を共有させていただきました。その直後にこの最終巻を読ませていただいております。
このシリーズの主要人物は逢瀬大将とその一族、海兵37期の提督達でした。たくさんの主人公級が存在し、逆にいえば主人公不在の状態であったといえます。例えば。山本五十六がひとりで戦争を切り盛りして大活躍のすえに大勝利。ってぇ作品よりも好みにあっているのですが、10冊にわたって活躍された各登場人物達に対して、決着のつけ方が中途半端ではなかったでしょうか。シリーズ前半において活躍した桑原虎雄提督などがフェードアウトしてしまっているのは非常に残念です。また、来星中尉を戦死させた意図もはっきりとしません。いや、戦争なのだから、どんな魅力的な人物であろうが愚物であろうが死ぬときはプチっと死にますわ。ただ、プチって死ぬのを如何に読者に届けるかを命題のひとつとして書いている先生もいますから、この来星中尉への決着のつけ方は画竜点睛を欠く。と言えなくはないでしょうか。まぁ、物語として彼は死ななければならなかったと思えなくもないですけど。
作品全体を振り返れば。仮想戦記としての体裁は悪くないです。ただ、物語の大元であったイギリス殴り込みにおいて得たモノが少なすぎる気がする。戦術的にも戦略的にも。ちょっと消化不良ではないですかな? むしろ日本的な思考、または武部鷹雄提督が自分で語っている通り、日本人が考えた戦術、戦略ってぇのが根幹にありすぎる気がする。大村益次郎が提唱した作戦に乗っ取っているっていえばそれまでだけれども、各提督たちが経験によって学習しているようには感じないのだな。物語を作る上で、テーマを決めて目標を絞って書くっていうのは非常に大事なことさ。でも10冊に及ぶ作品の中で、進歩を感じられないっていうのはちょっと寂しいのではないでしょうか。お話に流されて支離滅裂になるよりも余程、よろしいとは考えますが。
最後に。私の架空戦記読破作品の中に、この作品を加えることができたことを幸せに思います。素晴らしい作品をどうもありがとうございました。
格闘少女スズ 上を向こうよ 白石かおる 角川スニーカー文庫
C この物語におけるスポーツ格闘とは、発展途上国におけるサッカーとかボクシングみたいなものに相当するのだろうか? スラムとそうでないところとの偏見とかなんとかが主題。日本人である私にはピンとこないのだが、通り一本隔ててスラムとブルジョアな世界が広がっちゃっているのですな。このスラム関係の描写がどのあたりまでリアリティがあるのか難しいところだが、とりあえずライトファンタジー小説なんだから、よくできているって評価にしといていいと思う。スポーツ格闘については、格闘ゲームの世界なのな。主人公スズは最初、9歳で大斧かついで登場するのだ。もうこの時点で結構シュール。で、月日は流れて16歳の大斧使い少女の物語。いろいろあって格闘会最高峰の大会に出て、3秒で世界ランキングの上位選手に勝っちゃったりするのだが...こういう興行じゃあやっていけないよなあ。スポーツ格闘。タイソンの15秒だっていろいろ言われたくらいだ。 ううむ。ナニを書いているのかわからなくなってきてしまった。あー。うー。人物の外見的な表現とかってほとんどないから、イラストが大事になってくると思うのさ。でも敵役バーバラは金髪ポニーテールってくらいしかわからん。ライトノベル全般に言えることなのだけれども、いわゆる売れ筋なイラストレーターだったらもっとこの本、売れたろうなぁ。この新人、白石かおる先生は独特な文章の使いまわしと場面転換をするから、ナニ書いているンだかわからなくなる時が結構ある。そのマイナス点さえなければ評価を高くしてもよい。次回作に期待である。
デ・ジ・キャラット1 菜の花こねこ 電撃文庫
C この本は早朝の雨降りしきる有明で長大な行列に埋もれながら読んでいたものだ。読破するまで2ケ月を要したことになる。困ったものだ。さて。物語はドラマCDとかアニメとかで語られたエピソードの複合体である。ゲーマーズで働くでじこ達の日常、回想によって表わされるアナローグ軍侵攻によるデ・ジ・キャラット星からの脱出、秋葉原を徘徊してゲーマーズの店長さんに拾われるまで。で。この小説を読んで思ったことは。わし、結局、コゲどんぼの描く絵が好きなんだなぁ。ってこと。あの女性らしいってゆーかおたくらしいってゆーか、そういう感じの絵が大好きなのじゃってことなんだな。あの、露骨に媚びている絵にはハマるものか。とか思っていたけど、結構グッズ持っているし。(苦笑) でで。この本はアニメ系列のノベライズとしてはよくできているんじゃないかなーとか思う。けれどもだからこそ活字になったでじこって単に可愛くないだけなんだな。ぷちこは無愛想なだけだし。うさだは....可愛いようだが生かしきれてない。..........なんだ。出来悪いんじゃないか? この小説。 むちゃくちゃ前言撤回しているけど。(苦笑)
2000年09月29日
独立愚連艦隊8 羅門祐人 コスミックインターナショナル
E シリーズ最終巻。終わってよかったよ。うん。一巻は良かった。聯合艦隊からのはみ出し者達が寄せ集め、余り物の兵器で大活躍するという痛快で胸踊る作品であった。拿捕艦というのも大好きだ。ある意味で私の理想を具現化したような物語がコレであった。ところが三巻でタイフーン艦隊が出てきてから雲行きが怪しくなる。真面目に戦争をするヤツがどんどんいなくなって馬鹿さかげんばかりが目立つようになった。惰性で8巻まで読んだが、久々に苦痛を伴うWW2モノとなってしまった。この8巻までが刊行される間に、林譲治先生や橋本純先生は似たようなお気楽雰囲気をまとわらせつつ真面目に戦争を語るという手法で成功を収めている。この作品は失敗作ではないのか?どのような層に受け入れられているというのだろうか? わたしにはよくわからない。 パソコン通信の頃からWebな世界では架空戦記の第一人者として君臨する羅門祐人先生。先生の作品の8割以上を読んでいる私だが、それが示している通り期待を込めて本をレジに持っていくわけだ。実際にどの作品も最初は私を惹きつけてやまない。だがしかし。途中から波長が合わなくなっていっちゃうンだよなぁ。完結作品のエンディングはほとんどが気に入らない。せめて休載中の「天軍戦国史」くらいはまともに続いて、また終わってほしいものだ。
2000年09月28日
鉄槌1 橋本純 歴史群像新書
B 橋本純先生の新シリーズ。これだよこれ。これが橋本純節だよ。深すぎず浅すぎず丁度良い感じの歴史背景、設定。ああ、九州築城はちょっと浅すぎかも。そして日本勝利または日本優勢における講和というエンディングをめざしている作品群の中で、最悪な部類に入るほど開戦直後にボロボロになっている日本軍。武蔵をはじめ戦艦の半数が沈没。飛龍と龍ジョウを除いた雲龍級以前の正規空母が全滅。隼鷹、飛鷹すら売却済。いやいや。徹底的だね。あとは前回読んだ「帝国艦隊猛烈戦記」のように打ち切りみたいな終わり方をしないのを祈るだけだ。
この作品冒頭では戦艦長門、空母瑞鶴、重巡羽黒など、史実はもちろん、架空戦記モノでも沈みにくい艦がボコボコ沈められている。逆に戦艦陸奥を残したりしたのはおもしろいところだ。ところで雪風を沈める豪の作家はおらんものかね?いや、大勢に影響がない以上、わざわざ名指しで一駆逐艦を沈める必要などないのだけれども。反響が怖いし。(苦笑)
女子合宿 いけない果蜜啜り 斉田石也 マドンナメイト文庫
C 斉田石也先生の久々の新作である。「・・・・先輩ィ」などなど語尾にァィェゥォがつく喋り方をする女の子は本作でも健在だ。とても良い。年齢は多少あがって高校一年生が主役となっている。10年程前に雑誌に掲載していた、知恵袋一番のイラストがついた初期作品を愛していた私なのだが、何故か本作は今イチと思っているのですよ。なんとなくとしか言いようがないのだが....ちゃんと物語として結ばれているあたりが嫌なのかもしれない。淫乱女になって終わっちゃうっていうのはどうよ? なんというかなぁ。うむ。ああそうか。私にはヤラセてくれんのか? 奈緒ちゃん。って言いたいのかもしんない。わし。(笑)
キノの旅 時雨沢恵一 電撃文庫
D 言葉を話す二輪車エルメスとイロイロな国を旅するキノの物語。短編6話で構成されている。 良いンじゃないの? 文体は上手いし物語りも悪くない。キノが少女であることを最終話まで意図的に明記しない書き方も上々だ。で、キノは良い子だ。好感が持てるキャラクター。でもよ。だからなに? って作品なんだよな。いやいや。前半で誉めた通りに、悪い評価ではないのだ。ただ私とは水が合わないらしい。風刺が入っているのか? 哲学を語ろうというのか? 深いテーマなど実は無いのか? いろいろ穿ってしまう作品であった。
バトルシップ・ガール3 ファリナス襲来 橋本紡 電撃文庫
C 上記「キノの旅」の対極にあるような作品。一般受け狙いまくりっつーか、世界観の薄っぺらさっつーか。出来の悪い「機動戦艦ナデシコ」って感じ? ストーリーの適当さっつーか頭悪さっつーか良くありすぎっつーかそのあたりが。「ラブひなブレンド」とかいう言いまわしはどうであろう。でもでも。キノの旅よりも読めちゃうあたりがワシ自身の軽さってところか。もう3巻だよ。 とりあえず銀河連邦の軍人さん達ったら馬鹿すぎ。腐れてる。こんなのだから主人公みたいなヤツをのさばらせておくのだ。これ以上に阿呆な軍人さん達ってほかの作品にいたかなぁ? なんとも作者の意図が読めぬ。
どかどかどかん 瀧川武司 富士見ファンタジア文庫
C 本年のファンタジアの長編小説大賞の特別賞をもらった作者の初公開作品。文章は上手。物語もオーソドックスながらしっかりしている。富士見ファンタジア初期の受賞者たちと比べて十分に上手いと思う。私が気にいらない独特な表意的文字の使い方はこの「どかどかどかん」という作品だからだろう? ならば許す。 登場する女の子は可愛い。良い感じ。だからこそ。コミネちゃんはなんとかならんか。ならんのか? なあ。巻末の解説に、特別賞受賞作は富士見ファンタジアっぽくないって理由で封印されたって書いてあるじゃん。もしかしてこのコミネちゃんのあたり? いや、全然違うかもしれないが、このコミネちゃんみたいな扱いを小説全編でやられたら結構イヤかも。ああ。角川スニーカーのラグナロクが近いことやってるかな? でもこっちの方がイヤだな。うん。兎にも角にも最大悪の一人がのうのうと生きているのが問題じゃろ? これによって続きが読みたい票を集めるつもりなのか? 僅か数文字の間に「消えた」コミネちゃんが帰ってくるならば続きを読みたい票を入れてやろう。でも帰ってきたらそれは瀧川武司先生の作品そのものを許せなくなるかもしれない。読者とは私とはなんと我侭なものなのか。でもよ。読後に消化不良を起こしたような感じがする作品は読みたくないっていうのは本心だ。全体的な作りが軽いだけに勧善懲悪っぽいだけにその点がキビシイ作品だったよ。
星に願いを レスト&ハーウィン2 吉村夜 富士見ファンタジア文庫
B これも富士見ファンタジア長編大賞の準入選作品が元で、その2巻目だ。上記「どかどかどかん」が格闘ファンタジー系なのに対して、こちらはSFもの。しかし真面目でヘビーなお話だけれどコミカルな主人公たちのおかげで可愛くホンワカした物語になっているのは二つの作品とも良く似ている。だけれども、こちらの作品にはコミネちゃんがいない。なんと読後の気分の違うことか!! もっとも、コミネちゃんがいる作品って生まれてこの方、ほとんど見たことないけど。(苦笑) で、いいねえ。このお話。人死にって意味ではライトファンタジー系でも最大級に死にまくっているハズなんだけれども、ほとんど行間に埋もれてしまっているからなぁ。その辺りを主人公レスタンティがちょっとでも心に留めるのも良い感じだ。物語は超々大型宇宙人が小柄な少女に恋愛してお付き合いするところから始まる。でも少女の住んでいる惑星は巨大な帝国の従属惑星で、時は銀河大戦の真っ最中。帝国と反乱軍の間で恋愛する不思議なカップルは世界を救えるかってそこまでは言っていないけどそんな感じ。一巻のイラストレーターはOKAMAだったが、二巻でC-SHOWになっている。より一般受けするように可愛くなったレストに私の心はメロメロさ。あ、今、私、酔っぱらってます。(笑)
2000年09月18日
回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター 小川一水 ハルキ文庫
B ハルキ文庫創刊?またなんか増えちまっただよ。で、私が読んだ小川先生の作品はこれで...4冊目くらい。今までで一番楽しかったっす。ソノラマの郵便局の話が似た感じの小説でしたが、前作が公務員が経費使いたい放題でなんでも郵便配達して大活躍するお話だったのに対して、今度は貧乏ヘリコプター屋が、お国の機関とルールを相手にしつつ国際救助隊?をめざすってゆーお話だったから、こっちの方がロマンに満ちていて楽しいと思いましたでふ。
例えば。実際に自分が当事者であるときはさておき、最新のロボットだの戦艦だので活躍するなんてのは当たり前のことで、旧式だけれども知恵と勇気で戦うってぇのが架空の物語である小説世界の醍醐味だって私なんかは思うわけだ。古くはサブマリン707とか青の6号とか。
タツモリ家の食卓2 古橋秀之 電撃文庫
C 宇宙最強の怪獣が変化したものを手なずけて、それを地球ごと浄化しようとする謎のピースメーカーとノラリクラリと交渉して地球を守っているヘンな主人公の物語2巻。前作ブラック・ロッド シリーズは暗かった。物語としてはおもしろかったが、主人公が死ぬのなんて当たり前だったし、サイバーバンク系なせいも手伝って結構グロかった。決して、後味のよいお話ではなかった。この物語だって終わりはわからないけれども、とりあえずヘンな登場人物達が真面目に生きている。まさかただの脇役であるグロウダインの可愛くない鉄鋼お姫様がこんな良いお話を展開するたぁ思わなかった。この辺は古橋先生っぽいと言える。シリーズ通してのお話は何一つ前進していないのはなんとかして欲しいが、今後に期待するもの大である。で。今回のヒットは、「うしゃっ」って笑う美咲ちゃん。脇役の中でも最たる脇にいるのだが....「うっしゃっしゃ」って笑い声はツボかもしんない。最近、こういう女の子キャラに惹かれている気がする。美紗さんの「てひひ」とか。
時空のクロス・ロード ピクニックは終末に 鷹見一幸 電撃文庫
C 主人公の男の一人称で書かれた物語。私が読んだ中では大変に珍しいタイプだ。第三者的な視点での男一人称はそれなりに読んだことがある。剣だったりカラスだったりしたが。ま、お話は良かった。楽しかった。大分、良い評価だ。設定も嫌いじゃない。でもなぁ。主人公一人称はツライよ。共感できないンだもの。特に主人公成長ものときては。いきなり思いついたが、ハヤカワから出てる大元帥のSFで一人称のヤツあったなぁ。士官候補生モノの。あれは最後まで読めなかったなぁ。
砂漠の花嫁 フィールド・オブ・スターライト 高野良仁 角川スニーカー文庫
C これ、「新任艦長はいつも大変」の続きだったンだなぁ。主役の新任艦長は美少女な高校生で、学校の授業で使う駆逐艦が舞台の学園スポコンものの物語だった。いや、そうだと思っていた。それがナニ?地方で反乱を起こした惑星を舞台に、前作で当然脇役だと思っていた生真面目反戦元副艦長が主人公なハードな物語。登場したときから不幸になることが見え見えの新ヒロインを使った「愛」をテーマにしたという作品。これが同じシリーズなのか?いや、この2作目が本筋だとすれば、前作がこのお話に付随するものだとすれば理解できる。が、なんか騙された感じがするのは気のせいか? ....実はこのシリーズ、かなり時間的なスケールが長いシロモノなのかもしんない。今回はすでに美少女艦長は24歳になっていた。次巻が出るとすれば30歳は超えそうだ。すでにライトノベル系のヒロインは張れない。結局、彼女らは権限と責任を得て物語を展開できる立場に着き、また新しい主人公が用意されるのであろー。なんだかな。どうすっかな。つまらないわけじゃないンだけれどな。説教くさいしな。
大地物語 逃亡血路 グレイト・ブレイス 荻野目悠樹 ファミ通文庫
C 荻野目悠樹先生の作品を初めて読んだ。いかにもクサイが良い感じ。文体も悪くない。主人公の剣士がただの最強クラスの剣士ってゆーのはポイント高し。ピカッと光って勝ったり、千切れた腕が生えたりするのはナニだからね。まぁ、次巻がでたらわからないけど。(笑) 国を失った放浪のお姫様と護衛の剣士のラブロマンス。ファンタジーを書く作家ならば一度は挑戦してみたいストーリー。これは成功作といえるでしょう。そういえば美樹本晴彦先生がイラストを買いている作品ってあまり売れない気がするのは気のせい? いやそういう感じがするってだけだけど。
レッドサンブラッククロス パナマ侵攻1・2 佐藤大輔 中央公論新書
A なぜ、発売から数ヶ月たってから読んだかってぇと。この中央公論社から佐藤大輔先生の本が何冊かタイトル変えて再販されているからなンですねぇ。レッドサンブラッククロスってたくさん出版されているから、完全新作かどうか自信がなかったのです。で、架空戦記界の巨匠、最高峰である佐藤大輔先生!! 良い。良いっすよ。「死線の太平洋」からくらべてパワーダウンしている気もするけれど、良いっす。兎にも角にも次巻期待っすね。グレイザー少佐、戦死しちゃうかなぁ。結構、殺しちゃうからなぁ。いいキャラクターなのに。心配。で、この佐藤大輔先生については言うことなし。もう手放し。続きが出版されない事故が多々あるけれども手放し。最近、すごいペースで執筆しているようでちょっと心配。でも嬉しくてたまらない。
この頃、昔読んだ本を読みなおす。必要に応じて。または現実逃避のため。(苦笑)
ロケットガール・シリーズ3冊 野尻抱介 富士見ファンタジア文庫
海の勇士ボライソー・シリーズのうち2冊 アレグサンダー・ケント ハヤカワ文庫
図南の翼 十二国記 小野不由美 講談社X文庫
2000年09月01日
比島争奪大作戦 帝国艦隊猛烈戦記3 橋本純 実業之日本社・JOY NOVELS
D 架空戦記作家の中で個人的ランキング上昇中の橋本純先生の新刊。
ある程度本格的であり、且つ私の感性に合う程度の「イイカゲンさ」がたまらない魅力だった橋本純先生なのだが、今回、全体的に真面目な語り(パロディもないではないが)でイッキに終わらせられてしまった。打ち切りっぽいやり方で。前巻までの中身の濃さだったらば3巻で終わるような話ではないのだから。
この新刊においては、物語そのものが「イイカゲン」な感じがしてならない。1、2巻の頃の新兵器「ハチ公」はよいさ。どんな大戦果があがろうとも。架空の新兵器なわけだし。でも、今巻の昭和19年って時代背景に対して、新型機であろうとも通常の雷爆撃しかしない航空機が強すぎやしないだろうか? チャフを使用したとはいえ、たかだか370機程度の航空機でアメリカの機動部隊の空母が5隻も沈むか?書いてはいないが大中破した空母はやはり5隻ではきかないはずだ。
描写されていないところの曖昧さとか都合の良さは語るつもりはないが、文字として小説中に書かれたものが胡散臭いのはたまらん。これでは私の評価ランキング下位の霧●那●とか馬●祥●とかと同レベルになってしまうではないか。>橋本純先生
あー。まずい。文句しかでてこない。
期待が大きかっただけに反動も大きいのだ。次回作、がんばってください。
2000年08月31日
上杉軍神伝2 福田誠 学研・歴史群像新書
C 上杉謙信モノとしては結構好きな作品。正直なところ他の同系列作品に比べて大雑把で荒い書き方なのだが、そのあたりにも助けられた展開の早さには好感がもてる。ダラダラとした作品多いから。うん。
しかし情けない武将が多いなぁ。これ。(苦笑) 光秀、氏政、義重なんかもう可愛そうなくらい評価低いし。その点、評価低い中でも佐久間信盛とかは討ち死にしててよいかも。
そういえば上杉謙信の養子って景虎、景勝のほかにもいたよなぁ?出てこないけど。
翔竜正宗戦記2 坂上天陽 学研・歴史群像新書
C 本がちょっと行方不明で読み始めてから一月もかかってしまった。
わし、正宗とその周りって結構知らないンだなぁ。と読んでて感じさせる作品。今回の2巻中盤まではどこまで史実でどこまでフィクションかわからない点がありすぎ。精進せねば。
保春院に対する解釈ってぇのは普通の小説と比べて新しいものなのかなぁ?よくある展開の気もするけれども..どうだろお?
で。屋代景頼の死に様はよいね。支倉常長はもちあげすぎじゃない? 二階堂盛隆も格好良いなぁ。清正の実力を認める当たりも、「らしくて」よい。こちらの作品の氏政はかなりマシだが...氏照などの一族集の評価の方が高いのはいっしょだ。
そそ。前田慶次、若すぎるかも。
ブレイブ・ハイスクール あおしまたかし スーパーダッシュ文庫
D 読破するのが厳しい作品だった。
読み始めるまで不覚にも気がつかなかったけれども、ブリッツオブハイスクール?の、あおしまたかし先生の作品でした。内容もブリッツオブハイスクールとほとんど同じ。キャラクターの名前が違うだけで外伝とかいわれても通っちゃうかも。
とにかく元気。勢いはある。ギャグ漫画やアニメの古典的な「画」「動き」などなどを文字として現わす。
で。これはもう感性っつーか趣味っつーか波長っつーかが、わたしとは完全にズレてる。小説としての出来がどうとかいうものではなく。
たとえば、少年ジャンプは読めるけれども、コロコロコミックは読みづらいっつー感じ? なかよしは読めるけどマーガレットは読めないっつー感じ?
いまのところではあるが、「スーパーダッシュ文庫」というシリーズは読ませてくれるシリーズだと思っている。他の読破作品は結構、好きだ。
この類の小説が混じるのならば次回発売本からちょっと気をつけよう。
2000年08月29日
H.O.P.E. 一条理希 スーパーダッシュ文庫
C 若干16歳の天才外科医のガキが主人公の物語。ガキっぷりが板についていてよい。また、ヒロインの女の子の外見の描写が好みでよし。陳腐とも言えるけど。(笑)
文章がたまに荒れるなぁ。数行の間、ナニがおこっているかとかナニを言っているのかがわからなくなったりする。ま、次巻以降、「外科手術」で物語の根幹にある事件をどうやって解決するつもりなのかには興味がある。
関係ないけれども、縫ったり切ったりが得意な外科医ってぇのは救急医療を除けば働きどころが減っているような気がする。そりゃあうまいに越したことはないだろうけど、臓器移殖とかってものは感染症とかなんとか面倒くさい面の方が主なのではなかろうか?まぁ、近未来物語だからそのあたりを突っ込むつもりはないのだけれども。そもそもそういうあたりを突っ込むとその他の私の好きな小説すべてが否定対象になってしまうし。(苦笑)
2000年08月27日
ダブルブリッド3 中村恵里加 電撃文庫
C あやかしと人間の混血の女の子、片倉優樹の物語。1巻ではあまり物を食べないってことだったンだけれども、どんどん、食うようになってるなぁ。お酒はよいのだけれども。
1話読み切りならばまた評価が違うのだが、とにかく救われないお話が続く。これ、最終巻までこんな感じでいくのかいな。毎回血みどろ、ぼろぼろ。で、根底にあるあたりもどろどろ。死闘の間にある束の間の平和っつうかそういうのを体験してるって感じ?
昔、笹本祐一の「妖精作戦」シリーズの最終巻を読んだとき、泣いたさ。ヒロインの小牧ノブ?の、一巻からのお話はなんだったのさって思って。あまり、細かい心理描写のあるお話ではなかったけれども。
クサかろうがナニだろうがハッピーエンドで終わらんかなぁ。
放課後宇宙戦争6 秋津透 ファミ通文庫
C 平凡?な高校生の地球などの運命をかけた戦いも一段落つきました。秋津透先生の作品は久しぶりに読んだのですが、なかなか、よかったっす。
1巻から、だだだだとスケールがでかくなっていき、後半は少々、スケールダウンしてしまったのが残念です。とくに厳妙寺部長の株、下がりっぱなし。結局、技術的には鏡、戦術的には鏡を応用した戦いってぇのを考案しただけなんだな。大見栄きっておいて。あとはなぞの「喝」男。
外伝がでるらしいけど..わし、買うかなあ?
おお。それとこちらにはイラストがちゃんと入っている。「楽園の魔女たち」にはイラストがないのに。なぜ?>むっちりむうにい
亜欧州大戦記9 青木基行 学研・歴史群像新書
C 発刊ペースが遅いからなぁ。他のシリーズと混同しちゃって記憶があいまいなンだけれども。
数々の主人公?達が達者で結構。だれも戦死せんな。特にソ連側。毎回絶望的な戦いをしてる割には。
このお話ってスケールがよくわからんのだよ。世界地図的な戦略は大雑把。黒海などの地域的な戦略を延々と解説。で、各作戦での戦術的な戦いが寄り集まる。
軍団長クラスが一番上位者。それも表現されている限りにおいては中隊長くらいの仕事しかしてないような。あとはまさに中隊長くらいの人ばっかりだからなぁ。
これがこの作品の持ち味ではあるのだが。うん。難しい問題だ。
ワンポイントは。
FW190の評価が高い。共産特攻隊ってぇのはどうよ?って感じ。
革命暮れて皿洗い 川崎康宏 ファミ通文庫
C 前作、富士見ファンタジアの「進め!双角小隊」に比べて格段に良い点数をあげよう。前作の主人公っていわゆる「無能指揮官」丸出しだったから、仮にも戦争小説を読むモノにとって結構厳しいものだった。
今作においての主人公たちの間抜けぶりは愛らしくてよいし、軽妙な語り口も読みやすくてよし。これぞライトファンタジーって感じ。
イラストの幡池裕行先生の描く女の子ってこんなに可愛いかったっけ?アウトロースターからの影響か?ゾルダの帽子と髪の毛、変でよし。
2000年08月21日
ピニェルの振り子 銀河博物誌1 野尻抱介 ソノラマ文庫
C お気に入り作家の一人である野尻抱介先生の作品。私が読んだ数少ないSF小説世界においては、かなり独特な印象のある宇宙世界。ヒロインが私の好みでないのか今一つ楽しめなかった。氏の描く女の子としてはめずらしいタイプであろう。今後に期待するものである。
ハッピー・アイランド 楽園の魔女たち 樹川さとみ コバルト文庫
B またまたお気に入り作品である「楽園の魔女たち」の新刊である。序章では我らのサラがいつものごとく飛ばしまくってくれて読破意欲を盛り上げてくれたが、本編の根幹がどうでもよい話だったので読後の感触はよろしくない。私の殿下の役回りがナニなのも原因か。終章で小さな魔女たちが組合に対して自己を主張したのはシリーズものとして良いところだ。ところで本文イラストがないのは有明イベントのせいだろうか?だとしたら残念なことである。