以下は、NIFTY-Serve シアターフォーラム FSTAGE 94年演劇ベストテンで 手塚(PXF00472)が行った投票です。 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【女優部門】 早速、女優部門から投票させて頂きます。★の数が点数です。 ★★★ 高橋紀恵(所属:文学座) 文学座小劇場『マイチルドレン!マイアフリカ!』東京芸術劇場小ホール1(7/24) 文学座『背信の日々』紀伊國屋ホール(12/04) 紀伊國屋演劇賞個人賞受賞には驚きました。屈託のない女学生役がはまり役です。 特に、『マイチルドレン!』は素晴らしい舞台でした。 それから、以下の三人はほとんど別格なんですが、 ★★ 佐藤オリエ T.P.T『ヘッダ・ガブラー』(5/28),『エリーダ〜海の夫人』(7/30) ベニサン・ピット 『エンジェルスインアメリカ』銀座セゾン劇場(12/9) 好きだったのは『エリーダ』、感心したのは『エンジェルス』冒頭のユダヤ教のラビ。 ★★ 白石加代子 サードステージ『ゴドーを待ちながら』芸術劇場中ホール(4/9) T.P.T.『夏の夜の夢』ベニサン・ピット(6/18) 『百物語』第九夜(7/10),第十夜(10/16) 岩波ホール 第一夜(10/19) 府中の森芸術劇場・ふるさとホール 『虎〜野田秀樹の国性爺合戦』日生劇場(12/25) コミカルなとこよりか、威厳を感じさせる演技の方がどちらかというと好きです。 ★★ 麻実れい 『ゴールド家のたそがれ』PARCO劇場(4/23) T.P.T.『双頭の鷲』ベニサン・ピット(9/10) 『エンジェルスインアメリカ』銀座セゾン劇場(12/9) 今年は作品的にはどれもあまり好きにはなれませんでしたが、でもやっぱり素敵です。 それから、個人的に今年ファンになってしまったんで、 ★ 植野葉子(所属:ドリームコート) T.P.T『エリーダ〜海の夫人』(7/30),『双頭の鷲』(9/10) ベニサン・ピット 劇工房ライミング『マクベス』ベニサン・ピット(11/20) T.P.T.の二つの作品のキャラクターはどちらも気に入りました。 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【男優部門】 つづいて、二番目は男優部門です。 7点・加藤健一 加藤健一事務所『パパ、I LOVE YOU』(3/19),『It's SHOW TIME!』(7/2)        『審判』(10/2), 以上全て本多劇場 今年最後の『ブラック・コメディ』は観てませんが、『審判』の鬼気迫る一人芝居は、 観といてよかった。本多劇場で当日券を求めてあれだけの人が並んでるのを見たのは、 個人的には初めてでした。でも、客入れがとても丁寧で行き届いてて、きついながらも かぶりつきで、加藤さんの本当に顔つきの変わってゆく演技を十分に堪能できました。 また、『パパ』も初めてのOFF体験だったので印象的でした。 3点・渡辺いっけい NODA・MAP『キル』シアターコクーン(1/30) 『虎〜野田秀樹の国性爺合戦』日生劇場(12/25) 本当は違うのですが、今年の観劇は野田に始まり野田に終わったような気がしてます。 その野田秀樹の舞台でもっとも輝いて見えたのは、いっけいさんでした。『虎』の あの赤ん坊はきっと彼(ガツガツ)の子供なんじゃないかなって思います。 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【作品部門】 一番悩みそうな作品部門についてもさっさと投票をしてしまうことにします。本当は 四つを同点にしてもよかったのだけれど、敢えて差をつけることにしました。 4点・RoyalShakespeareCompany『冬物語』セゾン劇場 (3/27)    作=W.シェイスクピア 演出=エイドリアン・ノーブル 初めての英語劇を全く予習なしに観て、かえって先入観なく観れてよかったのかもしれ ません。やはり言葉の壁は厚かったですが、でも分からないなりに、心のゆれが直に伝 わってくる台詞は気持ちよかった。視覚的にも洗練された夢のような舞台でした。 3点・NODA・MAP『キル』シアターコクーン (1/30 ソワレ)    作・演出=野田秀樹 以前『ちょマソ15』の#15に亮さんの書かれた短い詩のR(いまはアーカイブ#324の 演劇・お芝居の会議室(71)にあります)は印象的でした。それと2番会議室の#10に ある門さんの『フル』の書込みは、よくはわからないけど、すごく面白そうでした。 2点・文学座小劇場『マイチルドレン!マイアフリカ!』東京芸術劇場小ホール1(7/24)    作=アソル・フガード 訳=安達紫帆 演出=西川信廣 たった三人の限られた舞台なのに、空間的にも時間的にも広がりを感じる舞台でした。 1点・T.P.T.『夏の夜の夢』ベニサン・ピット (6/18 ソワレ)    作=W.シェイスクピア 訳=小田島雄志 演出=蜷川幸雄 蜷川さんは、この劇の構造をはっきりと解り易く示してくれた気がしました。 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【演出部門】 先の作品部門とほとんど重なってしまいましたが、点差はあまりつけないことに しました。同点のものは、順番も特に意味はありません。★の数が点数です。 ★★ デヴィッド・ルヴォー David Leveaux  T.P.T.『エリーダ〜海の夫人〜』ベニサン・ピット (7/30 ソワレ) 「昨年から観始めたルヴォー作品の中で、これが一番好き。  悪人が一人も出てこないし、なんといってもハッピーエンドですから(^^)」 ★★ エイドリアン・ノーブル Adrian Noble  RoyalShakespeareCompany『冬物語』セゾン劇場 (3/27) 「本場の一流の舞台はやっぱりすごいです。自分にもっと英語力があればなぁ。」 ★★ 野田秀樹  NODA・MAP『キル』シアターコクーン (1/30 ソワレ) 「こんなすごい舞台を作れるなんて、やっぱり天才なんでしょうね。」 ★★ 蜷川幸雄  T.P.T.『夏の夜の夢』ベニサン・ピット (6/18 ソワレ) 「役者の力と戯曲の魅力を十全に引出す演出の力はやはりさすがです。」 ★ 西川信廣  文学座小劇場『マイチルドレン!マイアフリカ!』東京芸術劇場小ホール1(7/24) 「他にも、みなと座『女相撲』、PARCO劇場『オレアナ』、文学座『背信の日々』と  今年は演出作品を随分観たのですが、でも10月に俳優座でやったスタインベックの  『二十日鼠と人間』を見逃したことに、ちょっとだけ悔いを感じてます。」 ★ 鈴木 聡  ラッパ屋『阿呆浪士』青山円形劇場 (7/6) 「どうしてだか、あんまりよくわかんないんですが、すっごく楽しめました。で、  次の『三十郎大活劇』は期待を裏切られるのが怖くて、観そびれてしまった(^^;)」 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【戯曲部門】(ちょっと長文 46L) 戯曲部門には、昨年は再演・翻訳物ばかり上げたので、今年は日本の作家から選ぶ ことにしました。同点のものは観た順です。★の数が点数です。 ★★★ 野田秀樹  NODA・MAP『キル』シアターコクーン (1/30 ソワレ) 「言葉遊びが、どうしてあんなスケールの大きさにつながるのかいまだ不思議です。」 ★★ 後藤ひろひと  遊気舎『とかげ親父』駅前劇場 (5/7 ソワレ) 「一昨年の『じゃばら』の方がインパクトはあったかもしれませんが、こっちの方が、  うまく話の世界に入り込めた気分になれました。だんだん慣れてきたのでしょうか。  11月のギャグ公演はパスしてしまったので、2月の新作は必ず観ようと思ってます。  あと、4月の立身出世劇場で作・演出の新作というのも楽しみにしています。」 ★ 坂手洋二  MODE『わたしが子供だったころ〜瀬戸内版』本多劇場 (2/26 マチネ) 「もとの戯曲T・ワイルダーの『わが町』を読んで、松本さんの「北海道版」の方が  原作の町を俯瞰する感じはよく出てたと思いました。でも「瀬戸内版」のより身近に  寄り添うような感じの視点の方に親しみが湧きました。3月の東京芸術劇場での  オリザさんの池袋版はどんな感じになるんでしょうか。」 ★ 山崎 哲  転位・21『エホバの使者は現れず』大田区民プラザ大ホール (3/19 マチネ) 「でかいホールで大した仕掛けもなしにあれだけの緊迫感を出せるのはさすがです。」 ★ 平田オリザ  青年団『東京ノート』こまばアゴラ劇場 (5/26 ソワレ) 「青年団は、去年はこれしか見てなくて、『転校生』も見逃して、とても残念です。  フェルメールは知らなかったのですが、すごく寡作な画家だったそうですね。」 ★ 渡辺えり子  うらら舎『水の街のメディア』シアターX (12/10 ソワレ) 「同じ日のマチネに近くのベニサン・ピットで二兎社の『時の物置』を観てて、  そちらも見応えがあったのですが、こちらの方がより印象深かったということで。」 ★ 飯島早苗  自転キンCプロデュース『法王庁の避妊法』スペース・ゼロ (12/18 ソワレ) 「もととなった伝記小説もロビーで購入して読んでみました。それはそれで面白かった  ですが、作品の視点はかなり違っていて、舞台は飯島作品と考えてよいと思います。  フィクションとして見るなら、舞台の方が上だと思いました。藤真利子と鹿賀丈史の  TVドラマというのも観てみたかったな。」 ---------------------------------------------------------------------- SUB:投票/【舞台美術部門】 10点 T.P.T.『エリーダ〜海の夫人〜』ベニサン・ピット (7/30 ソワレ) 美術=ヴィッキー・モーティマー Vicki Mortimer 照明=沢田祐二 「気持ちとしては、一昨年からT.P.T.がベニサンで行っているルヴォー演出作品全てを  含めて、称賛したい感じです。劇場・照明・美術が演出と一体となって、舞台の  方向性を明確に示してくれて、観るものを戯曲の世界へと誘ってくれます。」 同じような印象をアートスフィアの「インスペクター・コールズ」からも受けました。 ただ、全体としての出来が今一つに感じられたので、今回は外しました。(11/27観劇)